ジーコジャパンレポート

2006.5.9 キリンカップ1戦目

日本 1-2(前半0-1) ブルガリア

▽得点者【日本】巻、【ブルガリア】S・トドロフ、ヤネフ
▽会場 長居スタジアム
▽観衆 44851人

日本の出場メンバー:GK川口、DF田中(61分・小笠原)、宮本、中澤、MF加地、阿部(83分・長谷部)、福西(61分・小野)、村井(44分・三都主)、遠藤、FW巻(77分・佐藤)、玉田

スタジアムに熱気がこもる。いつものキリンカップではない。ドイツW杯に向けた国内壮行試合の一発目。日程の都合で欧州組が招集されていないものの、世間の注目度は高かった。Jリーグも中断し、いよいよ本番モードへ突入。大声援を背に受けたイレブンにも、確実にその期待の大きさは伝わっていた。

この日の相手は、古豪・ブルガリア。欧州の中でも高い個人技を持つことで知られ、往年のスター選手、ストイチコフが指揮を務めていた。完全なメンバーでの参加ではなく、来日も試合前日とコンディションも万全ではなかった。しかし、試合開始の笛が鳴ると、そんな逆風を全く感じさせないプレーを披露した。

開始52秒、左サイドにいたペトロフから、逆サイドへ矢のようなグラウンダーのパスが通った。鋭いサイドチェンジに日本の対応が遅れる。ボールを受けたY・トドロフは完全にフリーな状態。左ストッパーの中澤が懸命に反応し、追いついたが、ペナルティーエリア内に進入された。Y・トドロフが左足でシュート性のボールをゴール前に蹴りこむ。これを、田中のマークを振り切ったS・トドロフが右足で合わせた。開始1分もたたない間に、ブルガリアが先制した。

日本の3-5-2の布陣に対し、相手は変則的な4-4-2で、どちらかというと4-2-3-1に近いシステム。両サイドが大きく張り出し、1トップのS・トドロフが中央のスペースに配置された。日本は相手のシステムに戸惑い、マークも混乱。最初の失点も、ルーズなマークからやられた形だった。

ただ、守備が崩れる一方で、攻撃の入り方はまずまずだった。先発予定だったFW久保が両足首の違和感で急遽欠場し、代わりにFW巻が先発。玉田との2トップは非常に運動量が多く、前線で起点を作った。玉田が広範囲の動きでボールを引き出し、時折、ドリブル突破。巻もポストプレーと裏への飛び出しで、攻めのオプションを増やした。左サイドの村井から何度か好クロスも飛び出し、ブルガリアゴールを脅かした。

日本の最初の決定機は前半24分。右サイド・加地から中央の遠藤にパスが通り、すかさず前線にボールが入る。パスを受けた玉田がドリブルで侵入。ペナルティーエリアやや外からミドルを放ち、右ポストを直撃した。さらに1分後、今度はDFラインの裏にロングボールが入り、これに巻が抜け出した。ゴール至近距離で右足で合わせたが、シュートは枠の上。これも完全な決定機だった。

前半終了間際、なかなか同点ゴールが奪えない日本に悲劇が襲う。MF阿部のロングパスを受けようとした村井が左ひざを負傷。そのままタンカで運び出され、三都主と交代した。左サイドでリズムを作っていただけに、痛い離脱。W杯前の故障という意味でも、日本に不安が走った。

迎えた後半、日本は徐々に守備での対応が明確となり、安定感が出てきた。後半途中からジーコ監督は小野と小笠原を投入し、4バックへと変更。攻撃の起点を増やし、逆転を狙った。指揮官の思惑通り、チャンスが増加。後半28分、小野の絶妙な縦パスから玉田が抜け出し、左足シュート。これもわずかに左ポストをかすめた。

後半31分、ようやく待望の瞬間がきた。左の三都主から低い弾道がゴール前に入る。相手DFが対応しきれず、こぼれたところを巻が左足でシュート。これが同点弾となった。巻は国際Aマッチ3ゴール目。W杯メンバーへの生き残りを、大きくアピールした。

しかし、試合終了間際に悪夢が待っていた。日本の右サイドで加地がファウル。そのブルガリアの直接FKが左隅に突き刺さった。決して鋭い弾道ではなかったが、飛び込んできた相手選手の動きなどにGK川口も戸惑い、素通りしてきたボールをセーブしきれなかった。

後半ロスタイムのゴールで敗れた日本は13日にスコットランド戦(埼玉スタジアム)に臨む。

ジーコ監督会見

「序盤に失点してそして同点にしてひっくり返すべくバランスの取れた形で、気持ちを前に出して戦った。同点にはできたがその前にあった数多くのチャンスを2本でも3本でも決めていれば違った形になったかもしれない。最後は点を取られて負けたがサッカーには大事な決めるときにしっかり決めることをしないと痛い目に遭う。ただ方向性は間違っていない。課題を修正しながら次の試合に臨みたい」

-15日のW杯メンバー発表に向けてまよわすような材料があったか。また久保はどうしたのか。
「数多くの選手がピッチに立ってどの選手も気持ちを入れてやった。迷いが出るのは嬉しい悲鳴であって全員が賞賛に値するプレーをした。選ばれるベースというのは頭にあるので、その中でも皆しっかりやってくれた。久保はドクターと話して練習で違和感があるというので起用しなかった。踏み込むときの怖さがあるといっていた。骨には異常がないが怖さがあるので急きょ巻を投入した。チームに迷惑をかけないように申し出てくれて非常にプロらしい態度だったと思う。無理をする必要もないので一日も早く治して次の試合に向けてやって欲しい」

-同点にしてからの守備への指示は?
「佐藤の動きはニアサイド、ファーアサイドに動くいいものを持っているのでボールを引き出すことができる動きを狙った。投入するときにちょうど同点になったが、ホームだったしもう1点が欲しかった。指示はDFには与えなかった。怖かったのはリードされているときにやみくもに前へ前へと行ってしまってバランスが崩れること。ブルガリアの左サイドの17番の選手を中心としたカウンターが怖かった。ただ逆サイドにボールがあるときも1、2人の選手が見れるようにはしていた。守備はそこまでしっかりやれたがなぜ2点目が入ったのか。相手が尻を向けているところにドンとファウルをしてしまった。背を向けている相手には寄せるだけでいい。(FKで)ゴール前にボールを入れられると失点してしまう可能性が高くなってしまう。その前まではミスはなかったと思う」

-ジャッジについて
「審判に文句をつけるなと言ってきたが見逃せることと見逃せないことがある。ホームでアドバンテージがあるはずなのに宮本のプレーに対しても止めるところでしっかりと止めていない。玉田に対するのもPKもそう。スタジアム全体が見えていたのに審判だけがみえていないのはおかしい。あの人たちが報酬を受けて母国に帰るのだが、こちらが被害をこうむる。これからも起こらないようにいい続けたい」

-浦和、鹿島勢は出られなかった
「この試合の日程ははじめから分かっていたし日曜日の試合(鹿島対浦和)は厳しいものだった。試合の日は休むというモットーを変えずスタメンを変えていくことを選手には伝えた。サッカーはフィジカル的なものが求められるしフィジカルが完璧でないと技術的にもいいものを出せない。大事な大会だが、この試合が木曜や金曜だったらニコニコしながら(勝利して)質疑応答ができたかもしれない。ただ厳しい中でも4年間の集大成見せるにはいい試合だった。全体的な攻めのボリュームについては昨日集まったとは思えないほど質の高いのを見せられたと思う。選手はよくやってくれた」

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