ジーコジャパンレポート

2006.2.28 ボスニア・ヘレツェゴビナ戦

日本 2-2(前半1-0) ボスニア・ヘレツェゴビナ

▽得点者【日本】高原、中田英、【ボスニア・ヘレツェゴビナ】ミシモビッチ、スパヒッチ
▽会場 ドルトムント

日本メンバー:
GK川口、
DF加地、中澤、宮本、三都主、
MF中田英、福西(70分・稲本)、小笠原(70分・小野)、中村、
FW久保(71分・柳沢)、高原(83分・大黒)

今年初めて欧州組合流して戦ったボスニア・ヘレツェゴビナ戦は多くの課題が出る内容となった。4-4-2の布陣は序盤はまずまず機能し、有利な展開となった。雪が降り注ぐピッチ状態にも対応。時折、サイドを崩されて決定的なクロスを上げられたが、無失点で切り抜け、両チーム合わせての初シュートを、前半11分に左を突破した高原が放っており、幸先も良かった。

前半42分にはビッグチャンスが訪れる。右でDFを交わした中村がDFラインの裏に浮き球を送った。絶妙の飛び出しを見せた福西がGKと1対1となるが、左足でのループシュートは相手の好セーブにあった。それでも前半44分、中村の左CKから高原がニアサイドで頭で合わせて、先制。リードを奪い、前半を折り返した。

しかし、後半から流れが一転する。前に出てきたボスニア・ヘレツェゴビナに対応しきれず、防戦一方となった。中盤でボールをつなげない日本は後方からのロングボールが増え、リズムを崩す。さらにDFラインからのビルドアップでミスが目立ち、ミスパスからカウンターを受ける場面が目立った。そして後半11分、ワンツーパスで抜け出した相手FWバルバレスをDF中澤がペナルティーエリア内で後ろから倒して、PKを献上。これをミシモビッチに右隅に決められ、同点となった。

さらに後半22分、右のセットプレーから中央でバルバレスのヘディングを許し、川口がつかみ損ねたところを、スパヒッチに押し込まれて、1-2。ここまでの時間帯は最悪の流れだった。

それでも、その後、小野、稲本らを投入した日本は徐々に流れを引き寄せ、試合終了間際に右にいた中村からのクロスを中田英がダイビングヘッドで決めて、同点。どうにか負けはまぬがれた。

ただ、仮想クロアチアとして臨んだ一戦で守備面の連係やチーム全体のバランスに課題を残しており、今後に向けて一抹の不安を残した。欧州組が合流できる試合は数少なく、このテストマッチでどこまでチームとしての完成度を上げられたかが重要な部分ではあるが、決して満足できる出来ではなかった。

ジーコ監督会見

「今日はピッチ状態も悪く、こちらの良さをなかなか出すことができなかった。欧州組がそろって練習ができたのも昨日だけだ。それでも、最後まで試合をあきらめずに、いいチャンスも作ることができた。練習時間が限られていた割には、動きも良かったと思う。同点ゴールは、とても日本らしいもの。絶対に試合を捨てないという強い気持ちが生んだゴールだ。本大会まで残り数カ月だが、万全の準備をしていくつもりだ」

-後半に稲本と小野を入れて、中田英がトップ下に入ったが。
「これだけ長くやっているので、それぞれの特徴はもう分かっている。うちの問題として、欧州組がなかなか合流できないことがある。最近はボランチの位置で中田英を使っていたが、稲本も小野も好調だったので問題なく、あのポジションにおくことができた。それで中田英を前に出した。中田英は前でも後ろでも、状況に応じてプレーを変えることができる。あの時間帯で、あのポジションにしたのは最初から考えていたことではなく、流れを見ての判断。自分のチョイスであり、オプションだ」

-アメリカ戦でもそうだったが、フィジカルの強い相手だとボール回しも難しい。
「私は体格的な差は感じない。相手の激しさに耐えられているし、慣れてきていると思う。2-2というスコアが示すとおり、昔のように体格差を心配する必要はなくなった。プレッシャーを掛けられても、逆に自分たちでもプレッシャーを掛けているわけで、それぞれの戦術の中で避けて通れない。本大会のメンバーを選考した後で、ポジショニングなど、自分たちのやってきたことの再確認は、時間を掛けてできる。日本の持ち味である素早さを生かす時間帯というものも、選手が集まった時点で引き出していきたい。今日のように、長い時間帯で相手にスペースを与えることはない、という自信はある」

-本大会でブラジルと対戦するスタジアムで試合をしてみてどうだった?
「とてもいい雰囲気のスタジアムだ。ワールドカップでは、雨や雪が降ることもない、いいコンディションで試合ができることを望む。お客さんもいっぱいだろうから、いいサッカーができる環境になっていると思う。ただ、今日は日本人のお客さんも多かったが、応援の元気がよかったのはボスニアの方だった。本大会では日本への大きな声援をお願いしたい」

-守備ではサイドを崩された。あとセットプレーで点が取れたことについて。
「クロアチアに限らず、ほかの国もそうだが、サイドをえぐって放り込むチームに対して、今日はポジショニングも悪かったと思う。こぼれ球の位置、全体的なセットプレーなど、見直しが必要なところはある。ただし、これまでできていたことでもあり、そのイメージはある。それについての修正はしていかなければならない。中村については、下が重い中、決して本調子ではなかったが、前半の福西へのピンポイントのラストパスとか、コーナーキックからのいいボールとか、中田へのアシストなど、視野が広く、自在にキックの使い分けもできる。彼の良さを、今後も日本の勝利のために使ってほしい」

-この試合の意義は?
「本大会はこのスタジアムでやるわけだし、宿舎についても慣れておくのは大事なこと。選手が長旅で疲れていたり、欧州組が合流に遅れたりしたが、これは今までに何度もあったことだ。むしろ悪いコンディションの中で何ができるか、見極めができたことに意義があったと思う。人数がそろわない中での気持ちの問題、最後まで相手にリードされながらあきらめずに同点にするという、一番価値あるものを引き出せたという意味でも、大変満足している」

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