ジーコジャパンレポート

2005.6.22 コンフェデレーションズ杯1次リーグ、日本ーブラジル戦

日本 2-2(前半1-2) ブラジル

▽得点者【日】中村、大黒、【ブ】ロビーニョ、ロナウジーニョ
▽会場 ケルンW杯スタジアム

出場選手
【日】GK川口、DF加地、田中、宮本、三都主、
   MF福西、中田英、小笠原(→中田浩)、中村、
   FW柳沢(→鈴木)、玉田(→大黒)
【ブ】GKマルコス、DFチチニョ、ルシオ、ホワン、レオ、
   MFジウベルト・シルバ、ゼ・ロベルト(→エドゥ)、カカ(→レナト)、ロナウジーニョ、
   FWアドリアーノ(→ジュリオ・バチスタ)、ロビーニョ

試合後、5万人近くまで埋まったスタンドはスタンディングオベーションだった。ファンはエキサイティングな展開に酔いしれ、日本の驚異的な追い上げにのめり込んだ。ブラジルファンが多数駆けつける中、試合終了間際には時間を稼ぐカナリア軍団にブーイングの嵐が浴びせられ、日本のミラクルな逆転勝利をだもれが望む展開となった。結果、2-2のドローで日本は1次リーグ突破ができなかったが、ドイツ、いや世界にその実力をとどろかせることに成功した。
当初の予想とは違い、ほとんどベストに近い布陣できたブラジルを相手に、日本は真っ向勝負を挑んだ。システムは同じ4-4-2。試合開始前は中田英とロナウジーニョが抱き合い、ジーコ監督のもとにもブラジル代表選手が訪れ、熱い抱擁を交わした。国歌斉唱ではジーコ監督はブラジル国歌を歌った。単純な「日本対ブラジル」という図式ではなく、「ジーコ対ブラジル」というストーリーも用いられた注目の一戦。試合が始まると、当初の和やかなムードは一変し、激しい打ち合いとなった。
開始4分、いきなり運命のシーンが訪れる。中央やや右よりにいた小笠原がゴール前にスルーパス。これで加地が抜け出した。シュートはGKマルコスをすり抜け、ゴールイン。スタンドも一瞬の静寂の後、爆発的な歓声が沸いた。だが、主審はオフサイドの判定を下した。だが、スローの映像を見ても、パスの瞬間、加地はオフサイドポジションにいない。日本はいきなり先制点を取り消されるという不運な幕開けとなった。
その後は、さすがにブラジルというべきか、すさまじいキープ力と破壊力で日本が受身に回った。ロナウジーニョとカカがフリーでボールを持つ場面が増え、日本は局所の1対1で負けるため、すぐに数的不利となる。前半10分、カウンターからロナウジーニョが加地を抜き去り、左サイドからゴール前へと侵入。その外側を巻くように飛び出したロビーニョに決定的なパスが通り、先制弾を許した。ロビーニョのシュートは川口の股間を抜いたものだった。
日本も時折、いい連係を見せるが、単発に終わる。逆にブラジルはキープ率が高いため、厚みのある攻撃を展開できていた。同17分、カカのシュートが右ポストを直撃。さらにロナウジーニョが至近距離から決定的なシュートを放つが、川口が間一髪、パンチで逃れた。
同24分、ようやく日本に2度目の決定機が訪れる。左サイドの直接FKを小笠原が右足で蹴った。鋭いクロスを、ニアサイドで飛び上がったFW柳沢が頭でシュート。バーを直撃し、ほとんど真下に跳ね返った。バウンドは惜しくもゴールラインの10センチ手前。完全な決定機だった。
同27分、ついに奇跡的な瞬間が来た。中田英の素早いリスタートが福西を経由し、中村へ。中村はファーストタッチでボールを前に転がし、ワンステップで左足を振った。30メートル近いロングシュートは、GKマルコスの左手を弾き、ゴールへ突き刺さった。度肝を抜く同点弾。会場が絶叫の渦に包まれる。鳥肌が立つシーンだった。
しかし、同32分、すぐにゴールを返される。左を突破したロビーニョから中央にパスが通り、ロナウジーニョが右足でゴール左隅をとらえた。マークにいった三都主が吹き飛ばされるほど、迫力のあるシーン。
ハーフタイム、ジーコ監督はすかさず動く。中田浩と大黒を投入。これでやや流れが変わった。
後半開始直後、大黒のパスから柳沢がGKと1対1になるが、ゴールならず。同10分には大黒の右クロスに中村が飛び込み、左足で合わせたがゴールライン上でDFチチニョにクリアされた。その後、両チームともチャンスを掴む中、徐々に時間が経過する。日本は引き分け以下で1次リーグ敗退が決まるため、ぜがひともゴールが欲しかった。日本の積極的な姿勢に会場全体も後押しする雰囲気となる。逆に、ブラジルの時間稼ぎともとれるプレーには激しいブーイングが出始めた。
そして後半43分、中田英がペナルティーエリアやや外でファウルを受ける。ほぼ中央の22メートルの直接FK。壁5枚。キッカーを務めた中村が左足でシュートを放つ。右ポストを直撃。跳ね返ったところを大黒が右足で決めた。同点!
しかし、反撃もここまでだった。ロスタイム3分の間に、大黒が惜しいヘディングシュートを放つなどしたが、逆転ゴールは最後まで生まれなかった。それでも、日本は世界王者相手に勝ちに等しいゲームを披露した。この試合は、確実に来年のW杯本大会へとつながるはずだ。
試合後、ジーコ監督はすかさずブラジル代表のパレイラ監督のもとにいき、抱き合った。全力を尽くした後の感動的なシーンだった。

1次リーグB組 1位メキシコ(7点)、2位ブラジル(4点)、3位日本(4点)、4位ギリシャ(1点)

ジーコ監督のコメント

「小笠原が体調を崩し、本来の出来ではなかったので中田浩と代えた。後半はマークがしっかりとできて、だいぶ良くなった。流れの中で指示が通らないので、インターバルを利用して、選手に球際を強くいくこと、自由に回させたら最後まで回され続ける、と言い聞かせた。それで少しDFラインが上がり、中田浩を入れて、中田英を一つ上げたことで、前半ロナウジーニョやカカがフリーとなっていたのをしっかりとマークできるようになった。うちが1点取ることで相手は絶対に出てくると思っていた。柳沢の2トップも精一杯やってくれていたが、前半はイマイチだった。あの点(オフサイドの判定となった開始直後の加地のゴール)が認められていれば、だいぶ違っていた。でも、あれだけの選手たちに臆さずにやれたと思う」

-今後は?
「(7月末の)東アジア選手権ではこのいい流れを断ち切りたくないが、国内組でやるとこになると思う。10月に欧州遠征で2試合ということもあり、そこには彼らを加える。また、11月にホームで1試合。これはかなり強いところとやると思う。(8月の)イラン戦は勝ちにいく。勝って(W杯予選の)1位突破を狙う」

-今日は4-4-2が機能していた。
「確かに中澤、田中、宮本の3バックはシステムうんぬんというよりも、この3人で守りきってきたということがある。だからその辺を大切にして、システムじゃなく、今もっている選手がどれだけ効果的に働けるかということを考えると、3バックということ。でも、たしかに頭の中では4バックが一番バランスが保てるということもある。今、日本がどういう状況であるのか、3バックで結果を出しているのであれば、それを断ち切りたくはないし」

-中澤がいなくてもこれだけできるということが証明された?
「本当に中澤には1日も早く戻ってきて欲しい。大した選手ですから。自分以上に、選手たちがこのチームにすごい可能性を感じたと思う。まだ1年ある。精度を上げていきたい。悲しむべきはこれほどのサッカーをしても決勝トーナメントにいけなかったということ。ただし、W杯ではこのような審判の問題を許してはいけないし、このチームはとてつもないことをやれるという可能性が広がったと思う」

-監督は久しぶりに休むのか?
「少し。20日間くらい。体力的には大丈夫だが、使命を果たしたということもあって精神的に休みたいというのが本音だ」

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