ジーコジャパンレポート

2005.2.9 W杯アジア最終予選、日本ー北朝鮮戦(19時半~・埼玉スタジアム)

日本 2-1(前半1-0) 北朝鮮

▽得点者【日本】小笠原、大黒、【北朝鮮】南成哲

ドイツへの最終章。埼玉スタジアムがある一角を除いて、青く染まった。5万9399人の観客の前で、ジーコ・ジャパンが披露したのは劇的な勝利だった。
前半4分、ゴール前に抜け出した三都主が倒され、直接FKを得た。距離約24メートル、壁6枚。キッカーを務めた小笠原がゴール左隅に見事に先制弾を突き刺した。ここまでは良かった。
この日の日本代表は持ち味のパス回しがおぼつかなかった。コースや呼吸のズレ、そして、ボールが不必要に浮いてしまう。グラウンダーでつなげずに徐々にロングボールが増え、こぼれ球を相手に拾われるという悪循環に陥った。ハーフタイムに修正しようとしたが、後半開始直後から相手の勢いが増した。後半16分、左サイドに数選手が固まる間に逆サイドに展開され、最後は攻撃参加してきた南成哲に左足で強烈な同点弾を叩き込まれた。
日本は後半19分に高原、同21分に中村を投入。3-5-2から4-4-2に代え、最後は同24分に最後の切り札であるFW大黒を投入した。
この采配で流れは徐々に日本に傾き始めた。特に中村と小笠原という2つの起点ができ、最終的には左サイドバックの三都主までもが高い位置で攻撃に専念し始めた。1-1という状況で後半45分が終了。ロスタイムは3分。そして、45分57秒、小笠原の右からのクロスを相手GKが弾き、それを福西が前線に流したところを、大黒が右足で蹴りこんだ。
ホームで圧倒的優位が予想された日本だが、思うように力を出し切れず、ぎりぎりのところで勝利。ボールポゼッションこそ58%を誇ったが、シュート数は12対11で相手を1本上回っただけだ。しかし、初戦の勝ち点3こそが、すべて。本大会へ一歩前進したことに変わりはない。

ジーコ監督のコメント

-試合を振り返って。
「いつも言っている通り、予選の難しさがあった。タフなゲームだった。早いうちにリードしたが、いつものうちなら確実にできるプレーが焦ったのか、うまくボールがつながらなかった。それがまた焦りになって縦に急いでしまった。後半になってうちがやっているいつものサッカーができはじめ、リズムがよくなってきたに同点ゴールを決められた。それでも前半よりは後半は出来が良かった。今の代表は何度も修羅場をくぐってきてレフェリーの笛が鳴るまで試合が終わらない、みんなで追加点を奪うという思いが実った。勝ち点3を奪うことができた。これからも難しい試合が続くと思うが、この気持ちを忘れずにやっていきたい」

-ボールが回らなかったのはなぜ?
「バックラインでボールをつないで中盤を経由してボールを回すということがうまくいかずに焦りが生まれた。前に高い選手もいるからそこを狙おうとするこもあって、うちのサッカーから逸脱してしまった。サイドからいってみようとしても、グラウンダーのボールがいかずに落ち着かない。後半同点とされてからは自分たちのサッカーができるようになったのは面白い現象だった」

-中村と高原に何を伝えた?
「2人には同じようなことを言った。彼らの良さを出してくれ、と。高原は幅広い動きから振り向いて勝負、中村は左右に動きながらサイドを変えて的を絞らせずに、前を向いたときに良さがでる。ただ、今日は小笠原がいい状態だったので組み手を代えることによって、また良さがいきると思った。本来のボールを転がしながらいくということができるようになった」

-DFが混乱したときにはどうするべきだった?
「中沢が引き出されたときの怖さというものはそんなに感じなかった。ただ、高いボールを弾いたときにボールを拾われると波状攻撃を受ける。また、つないだボールが浮いてしまうのが心配だった」

-大黒を18人の登録に入れて、試合にも起用したが?
「大黒は合宿から非常に彼らしさを出してくれた。練習試合でも、ボールを持ったら常にゴールを狙うという特徴が出ていた。ゴールも取っていたし。北朝鮮戦は相手が守りを固めてきて玉田と鈴木が相当の運動量を強いられるということも予想されたから、高原と大黒の持つ勝負強さが必要だと思った。それでFWを4選手にした。大黒のゴールに救われたが、あれも彼らしいゴール。相手を背負ってブロックしながら、シュート。よさが出ていた」

-勝ってホッとしてる?
「安堵の気持ちというより、これだけ楽しんで興奮してもらえる試合ができたということに喜びを感じている。勝った後に選手を迎えることができることがうれしい」

-監督にはツキがある?
「ツキというようりも、自分がサッカーを30年間現役でやってきて一番学んだことは最後の5分で試合がひっくり返ったり決着がついてしまうということ。それを何回も経験してきた。試合の中で選手がそれをやってくれていること自体がすごくうれしい。世界の多くのチームが最後の5分の勝負を見落としている」

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