ジーコジャパンレポート

2004.8.18 アルゼンチン戦(静岡スタジアムエコパ)

日本 1(前半0-2)2 アルゼンチン
◇得点者 【日】鈴木(後半28分) 【ア】ガレッティ(前半4分)、サンタナ(前半40分)

日本のメンバー
GK楢崎、DF宮本、田中(後半開始→松田)、中沢(後半開始→藤田)、加地、福西(後半12分→遠藤)、
中田浩、三都主、小笠原(後半12分→本山)、FW玉田(後半35分→山田)、鈴木

日本代表は親善試合でアルゼンチン代表と対戦したが、前半開始早々に失点されるなど、力の差を見せ付けられ2-1で敗れた。アルゼンチンはビエルサ監督がアテネ五輪代表を指揮しているため、来日できなかったほか、選手も五輪や欧州クラブでプレーする主力は参加できず。しかしスピード、技術ともに相手の方が一枚上手だった。
前半4分には左サイドをドリブルしたプロセンテに宮本、田中、中田浩が付く。しかしちから強いドリブルにボールを奪えずクロスを挙げられた。中央でノーマークのガレッティが押し込んでアルゼンチンが先制した。その後もボールはアルゼンチンが支配。前半40分にも右サイドからのグランダーのクロスを中央でリケルメがノートラップで左へ流す。それをサンタナが押し込んで2点目。
日本は後半から4バックに変更。後半22分には左サイド三都主からのグラウンダーのクロスを玉田が中央で右足ヒールで流そうとするが惜しくもGKに阻まれた。後半28分には左サイドCKの三都主のボールを鈴木が頭で決めて2-1。その後もやや押し気味に試合を進めるが同点にすることができなかった。日本のシュートはわずかに3本(アルゼンチンは16本)。ミスからボールを奪うと素早いドリブルで攻撃をしてくるFIFA世界ランキング4位の強豪。前半43分には自軍でボールを奪うと2本のパスで日本ゴール前まで運ぶなど、圧倒的な力を見せた。アジア杯優勝で自信をつけた日本、そしてジーコ監督だが会見ではアルゼンチンとの力の差を痛感したことを明かした。
日本は一度解散し今月下旬から国内で合宿をし、W杯一次予選インド戦(9月8日・カルカッタ)に向けて再始動する。

試合後のジーコ監督の会見

-今日の試合について。
ジーコ監督「今日は勝つべくしてアルゼンチンが勝った。まずは点の取られ方。早い時間にうちの選手3人がボールを取りにいって、あそこから蹴りだすための足が出なかった。また相手がシュートミスしたけどうちの選手のまたの下を通って決められてしまう。サッカーをよく知っているチームに対してあの時間に点を取られてしまうと非常にきつい。前半2点を取られて後半はだいぶ気持ち的にも返したが、アジア杯の気持ち的の強さ、体力的なギリギリのところで戦ってきたことの疲れがあり1点しか返せなかった。与えられた試合ということで選手も力を振り絞ったが勝つには至らなかった」

-アジア杯でも早い時間に失点したが。
「何試合かそういう状況があって、選手と確認しあったことは、まず立ち上がりの集中力の欠如につついて。相手の気持ちがひとつひとつのボール争いで勝っていると、2回負けるとほとんどシュートまで行かれてしまうという状況になる。失礼な言い方だが、アジアレベルではひっくり返せる。世界の強豪だと、そうはいかない。前半がいい例だ。早い時間に点を取られてしまうとどうしても浮き足立つ。今日みたいにホームでお客さんも早く同点に、という雰囲気になる。そうなると一瞬のバランスを崩す。あるいは攻撃陣と中盤があがってしまい、相手が攻めるスペースができてしまう。この種のチームではなかなかひっくり返せない状態になる。相手から出るというのではなくて、勢いでいかないといけない」

-気持ちの問題か。
「ご指摘の通り。これだけ技術的にもレベルが上がってきている。この前も先制されても技術的には相手を上回っていた。球回しもいい。それでもひとつの勝負どころでの球際、そこで負けてしまったり足を引いてしまったりすると、相手のレベルが低くてもルーズボールが敵に渡ってしまう。本当にサッカーとは怖いもので、それを直していかないと後手後手になってしまう。やはり気持ちの問題だ。今日先制された形、われわれはあの時3人のDFがいた。なぜ、アルゼンチンの選手が足を出す前に、誰一人としてクリアできなかったのか。やはりそこが勝負どころだと思う。疲れはあった。だがこれは勝負だから」

-この時期に試合を組んだことについて。
「まずマッチメークをする際に、現場の指揮官として、この時期に試合をするのはどうかということを協会のスタッフと協議した。自分としてはもちろんアジア杯も勝つつもりでいたし、協会としても(試合を)組みたい。ただ(アジア杯が)アウエーだし、その後にはW杯予選も控えていることもあるから、厳しいかもしれないという意見の交換はした。ただし私は雇われている身。協会が自分の意見を聞いた上で「この時期に」ということであれば、従うしかない。それはどこの世界にもあるもの。逆に自分としても、選手たちを招集してそこで最高のパフォーマンスを求めるしかない。もちろん今日の試合も勝つつもりだった、アルゼンチンとも3回目の対戦ということで、時期的にずらした方がいいかもしれないということは何回か申し上げた。ただし相手があることで交渉ごとである。どんなときでも自分たちが出来る最高のパフォーマンスを見せるのがプロ。自分たちとしてもそういうつもりでピッチに立った」

-インド戦に向けて。
「当然、勝たなければならないということで、自分たちの大きな武器であるリスタートに磨きをかける。アウエーということで当然、相手も勝ちに来る。観客も100パーセント相手のサポーターということで、相手のペースにさせないということ。相手がどういう状況で、自分たちがどういう状況の中で戦うのかということ、ゲームのシチュエーションを考えながらいろんな面で強化をしていく。確認しながら精度をひとつひとつ上げていく。
また、相手も勝つために前に出てくる、後ろのスペースが空く、そこにスルーパスなりリスタートなりで突いていく。そのために精度を上げていく。オマーン戦についても、アウエーで事実上の決勝戦ですから、これまでやってきたことのブラッシュアップを考えている。メンバーについても、海外組がどのようなコンディションにあるのかチェックを含めて、メンバー構成を考えたいと思う」

-今日の試合がインド戦にいかせるものは。
「インド戦を想定した試合ではないとはいえ、局面局面でかなり貴重な経験になったと思う。われわれが1点取られて、勢いで行くべきところを(アルゼンチンが)うまくボールを散らしながらうちの攻める勢いを交わしてしまう試合運びのうまさ。あるいは、ここがポイントというところでのプレーの強さ。とてものんびりやっているように見えて、ここが勝負どころという部分での切り替えの早さ。そして球際の強さ。そうしたことは、今後の予選を戦う上で非常に役立つことだと思う。日本も技術的に上がっているので、南米のチームと対戦しても見劣りはしなくなったのが、やはり試合運びという部分ではかなり学ぶべきものがあったと思う。特にアルゼンチンはそういうところがうまい」

-加地とアレックス、両サイドの評価はどうか。
「両サイドは、かなりアルゼンチンも研究していて、うちの右サイドが強いことも知っているが、両サイドを消せというマークをした。普通の状態であればもっと出来たと思うが、やはり肉体的な疲れというよりも精神的な疲れがあり、この湿気が多い中でなかなか足が出なかった部分もあったと思う。ただ、彼らを代えようとは思わなかった。むしろ中央で彼らをサポートする選手を代えれば、もっと有効な形ができると思ったので、どちらかというと中軸の部分を代えた。その部分で流れができたし、ある程度は疲れて足が動かなくてもできている。中央からサイドへ、また逆サイドへといった感じで中央で多くの人数を絡ませれば、いい形ができるということで背骨の部分、軸の部分を代えて、両サイドについては代えなかった」

-この試合を本意ではないといったが、それでも選手たちはもっと高いパフォーマンスを発揮すべきだったか。
「今日のような状況の中で、選手たちは出来る限りのパフォーマンスを出し切ったとは思う。これ以上のものを望むのは難しかったとも思う。ただ、今日はたまたまアルゼンチンが相手だったが、これがドイツやイングランドといった世界的なチームでも、今以上のパフォーマンスを期待するのは難しい。ただ、プロとして、お客さんも入っている以上、日本代表のユニホームを着ているわけだから、気持ちとしてはやらなければならない。今日は、精神的に強いものをもって臨まなければならなかったが、それが非常に難しい状況だった。アジア杯では、精神的な部分、心理的な部分、技術的な部分、フィジカル的な部分、すべてを整えて大会に突入した。精神的に追い詰められた状況の中で、出し切ってしまったという部分もあったと思います。そんな状況で、今日の試合であの時以上のものが出せるのかどうか、難しいところもあったとも思う。もちろん、こういう試合は必要だとは思うが、ただ、もっと違う時期であったならば、もっと有効だったのではないか」

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