世界紀行

イギリス風に成長する街

前回のこのコーナーでも述べたけれど、どこの街でもやはり観光的な部分が表に出るものです。ただ、今回紹介する街は少し違います。5月末に日本代表と共にイギリスを訪れて、マンチェスターの街を少し知る事が出来た。ここには世界でも、もっとも強力で伝統的なチーム、マンチェスター・ユナイテッドが存在する。街は観光的な部分より、工業での歴史的な面が強調され、それに現在は新しいテクノロジーが加わっている。

およそ250万人の人口を抱えるマンチェスターは若い街。大学生の数が多いと聞く。街はコンスタントに成長しており、沢山の博物館やレストラン、買い物が出来る店などがある。珍しいのはイギリスでも雨がよく降る街で一週間の内で平均5日ぐらいは雨が降るそうだ。

我々はモットラン・ホールというホテルに滞在した。とても静かな場所でゴルフ・クラブでもあった。街から少し離れていて、マンチェスターでの滞在でいつもと違っていたのは、妻のサンドラや息子達家族も同行した事。末っ子のチアーゴが一番沢山の写真を撮っていた。最も良かったのはピッチ内の事がとても上手く行った事。アイスランドに勝ち、イングランドに引き分けるという好結果を土産に日本に帰ることが出来た。

興味深いのはマンチェスターという街はイギリス独特の住まいを保存している事だ。家々がみんな同じような恰好をしている。工業地帯でよく見られるような感じの、重なって作られた住まいが軒を連ねているのだ。それは街の歴史を物語っている。前世紀の第一次工業改革をここでも推し進めて来たからだ。

ブラジルもここと同じように家の周りの塀も無く、安全防止の扉も無く、車も防弾処理もせず、その他色々無ければ本当に良かったことだと思う。読者がマンチェスターの街の写真を見ても解かるようにね。この様に治安の心配をせず、隣近所同士扉を開け放しで付き合える生活をしている。そうなれば治安に対するストレスに陥る人々の数はかなり無くなると思う。バイオレンスの中で生きる我々には夢のようだが、しかしここでは現実である事が少なからず嬉しい。

このような和らいだ表情の家々以外で少し気になるのはスポーツの普及についてである。サッカーは情熱でもあるが、それだけではないのである。ここは本当のスポーツの街である。言葉で表現するのは難しいが、融合とでも言おうか。私たちが試合をした場所はあの伝統的なマンチェスター・ユナイテッドのオールド・トラッフォードではなく、公的機関が管理するスタジアムで、そこには陸上、テニス、スカッシュやら何でも出来る巨大な体育館も隣接して造られてあった。つまり一つのスポーツ・シテイでもあったのだ。

マンチェスターでの滞在では大変な栄誉にも恵まれた。このマンチェスター・ユナイテッドのチームでも輝き、今はレアル・マドリードに所属するあのデヴィッド・ベッカムが更衣室を訪れてくれたのだ。彼は紳士的に更衣室に現れて、息子・チアーゴの為に頼んでいたシャツを持って来てくれた。そして日本選手達全員にサインをしてくれた。とても感じが良く普通の人であった。だからこそこの彼は人気もあるのだろう。私が個人的に考えるのは世界でも珍しいくらい正確なパスの精度を持つ選手だと思う。

この様に私は家族と共にマンチェスターの街を過ごすことが出来た。過去の味がして、落ち着きがあり、スポーツに溶け込む機会を多く与えてくれる。ブラジルでは失われつつある幼年時代の良さを引き継いで成長を続ける街。このようにいろいろな味付けがされている街を世界紀行の中で楽しんで頂きたいと思います。

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