インタビュー

Vitor Belfort(ビクトー・ベウフォート、前UFCライトヘビー級チャンピオン)

[2004.9.22]

午後4時ごろにジーコの末っ子、チアーゴ・コインブラから電話があった。"ブルーノ、今ビクトー・ベウフォートの横に居るんだけど、彼は今度12月中旬に日本へ行くことになっていて、その前にリオに来ているんだ。彼のインタビューが出来ると思うんだけど"。ビクトーは彼の幼年時代の友達であり、バーリ・トウードの選手。またノーバ・ジェラッソンの元サッカー選手でもあり、テニスの選手でもあった。チアーゴの意見を無駄にしないよう、翌日にはチアーゴの手助けも借りてインタビューをした。

サイト: ありきたりの質問だけど、どうやって格闘家になったのですか?

ビクトー: うん、もともとはサッカーもやっていたし、テニスもやっていた。いつもフラメンゴは僕の心のチームだった。フットサルもやっていた;ブルーノ・クアドロス、チアーノ、ジョアン・ヴィートルやフアンなどと。そしてジーコがノーバ・ジェラソンと言うチームを作り、僕等もそこでプレーするようになった。最初に父親がそれを言った時には僕も最高だと思った。サッカーはそこから始まったのかな、でも他のスポーツもやっていたよ・・・

サイト: そうだね、少年時代はサッカーをやっていたんだよね。

ビクトー: そう。僕は12か13歳だった。ジーコが練習したり試合をしたりするのを見ていた。アイドルだったし、それがすぐ近くに居たのだから。僕等の監督だったから凄いよ。僕等はいつも楽しかったよ。1989年の彼の引退試合にはマラカナンで僕等も試合に出た。だけど、その頃どうしてなのか良く覚えていないけど、ある日格闘技に進むことを選んだ。僕はあの頃フラメンゴの近くにあるセウヴァ・デ・ペドラ(スラム街の名)に住んでいたけど、不良グループがよく僕に絡んで来ていた。それがあったからかも知れない。僕はそれに対し防御する必要があった。決して問題を起こす気持ちなど無かったけど、僕がやられないように鍛えておきたかったんだ。でもそれだけが理由じゃないよ、結構競争するのが好きだからね、限界に挑戦するとか。だから個人競技も団体競技もやっていた。

チアーゴ: ビクトー、君がテニスをやっていたなんて殆どの人は知らないけど、興味深いね。あのグーガ(クエルテン)とも競い合ったとか・・・(グーガはブラジル・テニスのナンバーワン選手。ローラン・ギャロスで3回優勝している)

ビクトー: そう。だけどテニスは父親の影響でやっていたようなもの。父はテニスをやっていて、僕がプロ・テニス選手になるのを夢見ていたらしい。ブラジル選手権にも出場してその時グーガ(クエルテン)とも対戦したこともある。グーガが子供の頃から上手くて今も良い選手になっているのはとても気持ちいいよね。僕は彼ほどの才能が無かった訳。いったんはその道も選んだけれどね。父親も余りにもしつこくするから、逆にそれが嫌気をさしたのもあるね。自然に出来る事が自分には良かったのだけれど、テニスはそうでは無かった。柔道を子供の頃からやっていたのもあって格闘技に変更した。こうして柔術の世界に入ったんだ。

チアーゴ: それが一番気に入ったスポーツになった・・・・

ビクトー: そうだね。個人競技だったし、それが目上の人達に自分はもっと上達出来ると言うのを見せてやりたいという意欲が湧いて来るのを柔術で感じた。家族からはそれについては何も要求は無かったけど、反対に学校の成績が落ちると父親が柔術を辞めさせると言った。それがもっとやる気を出させる事になっていたね。

サイト: それで次はバーリ・トウード(何でも有りの意味)になったわけだ。格闘技だけどバーリ・トウードはどうも暴力的になってしまうね。君はそういう事にどうやって対処している?

ビクトー: ここブラジルでも海外でもイメージが良くないね。格闘技は暴力だが、それはコントロールされている。格闘家は何が起きているか判断出来る様に訓練されている。ホッケーやアメフトやサッカーの方が統計的にはもっと暴力的だ。乱暴なプレーもあるし、サポーターなども喧嘩を始めるのは予想もつかない。MAA・ミックス・マーシャル・アーツでは何が起きるかが予想出来るし、選手達も尊重し合う。一つの総合的な組み立てが出来ている。だから暴力と言ってもちゃんとコントロールされているものなんだ。そんなに予想外の事は無い。例えば、サッカーなどでは一人の選手が肘鉄を食らわすなどと言う事は事前に判っていないよね。それが一つの暴走のきっかけにもなる。リングではそれは無い。全員がコントロールされ集中している。もう何世紀も前にローマで生まれたスポーツで皆が好きなものだね。いつもスタジアムはいっぱいだし。悪気は心に潜んでいる、それはどんなスポーツにおいても同じだと思う。心が悪い奴だったらお終いだよね。格闘技をする人間はエネルギーをにじみ出させているね。

チアーゴ:ヴィートルは、暴力的になったことはないね。街中で喧嘩しないように相手に殴らせるようなリスクも有ったけど。

ビクトー: 相手が向かって来たら、チアーゴを代わりに出してやるよ。(笑い)

チアーゴ: 真面目な話に戻って、オリンピックにはレスリングがある。それとは全く違うものなのかな? 

ビクトー: そう。オリンピックでの競技はそれほど激しくないし、蹴りも殴りも無いね。柔術も実際同じものなんだ。バーリ・トウードは要約すると、レスリングとボクシングを混ぜたようなものだね。柔術はもう少し別のものを取り入れている。だけど、名前の割にはちゃんとした規則があるよ。

チアーゴ: 柔術はオリンピックのスポーツ種目に入ってもいいのでは? テコンドーや柔道も競技種目に入っているよ。そう思わないかい?

ビクトー: だけど、それには強い政治的な問題があるね。総て興味本位から成り立つからね。報道関係も徹底してサポートしてくれないし、そうなると何でも難しくなってしまう。サッカーのスペースを脅かそうなんて気持ちはさらさら無いけど、どんな競技にでもそういう場所が与えられてもいいと思う。しかし誰もが入れないような一つの壁が出来てしまっているね。バレーなんかはもう少しスペースがあったよね。だけどそれは何時まで続くと思う?

チアーゴ: 例えば米国などではバスケットが凄く強いけど決して主な種目ではない。だから選手達の中で上手な者はもっと上達してプロになれるチャンスが大きい。

ビクトー: そうだね、いろんなスポーツへの道が開かれている。陸上競技にしてもね。ここではサッカーだけ・・・みたいな。そこでスポンサーなどはオリンピックの前にならないと心配もしない。その場限りみたいなスポンサーが多いね。だから下部組織などどうなっている?悲しい現実だよ。

サイト: 君は、問題はそこだけだと思う?

ビクトー:いや、僕はスポーツで生きている。スポーツ狂でもある。だけどジーコのような選手はもう居ないと思う。シャツに想いを込めて着る、真の選手というのがね。薬物もやらずになおしっかりした考えを持っている。あの頃僕はそういう所を凄く学んだ。父親がサッカーを辞めるように言った時は学業が優れていなかったからだ。学校内では最悪だったよ。サッカーをしていなくても、ひょっとしたら違う別の事をやっていたかも知れない。実際に学校サボって格闘技に通っていたんだ。米国では大学や高校などではサポートしてくれる。ブラジルではスポーツに対する愛情が欠けていると想う。大体がお金の事しか考えていないからね。例えば僕だったら、ブラジルのためにオリンピックで頑張るね。それは情熱だと想う。

サイト:バーリ・トウードは世界で増えていっている。ブラジルではスポーツに集中しているチャンネルもあるし、特別な雑誌等もあるね。

ビクトー:それは事実だね。ブラジル人は結構好きだし、ブラジルでは定着しているからね。低層庶民からハイソサエテイーまで幅広くバーリ・トウードを見ている。残念なのは低所得層がもっとも多く居て有料放送を見られない事だ。可能な人達は良く見ていて、それは有料放送でも二番目に視聴率が高いとも言われている。テニスや他のスポーツよりもね。世界でも異常なサッカーだけには勝てないけど。

サイト:それらは君たち選手達に結果をもたらして来ているのかな?

ビクトー:不幸なことにノーだね。まだ報道関係の厚い関心を見ていない。ところが、見て欲しいのは格闘技選手がスポンサーも無いのに海外でブラジルの名声を上げていることです。選手達は良い例になっても良いと思う。サポートがあるものばかりが出て、我々のイメージなんて後回しにされている。僕は、1月に一度世界チャンピオンを獲ったけど、新聞には小さく載っただけで、他の分野での事が優先される。翌日に載せても良いものが多いのにね。

サイト: そんな関係から、ブラジルの格闘技選手は海外での方が有名じゃないの?

ビクトー: 我々の中には5人も世界チャンピオンがいます。ヴァンデルレイとミノタウロなどは一番有名だね。もう経歴も安定しているし、日本でタイトルを獲った。僕は今から日本で闘う準備をしているところです。日本アルテイメットが12月16日に行なわれます。僕の相手はチット・オルチスで偉大な選手です。もう二回も試合が延期されていた。一回目は僕が怪我をしてしまって、二回目には今度は彼の問題で今度は3度目だけど、今度はやるぞ!

サイト: それはどんなやり方?米国とはまた違うのかな?

ビクトー:ルールが違うね。プライドはリングであり、金網に囲まれていない。肘を使ってはいけない。それがUFCでは使えるし、またリングも金網で囲われている。

チアーゴ:UFCにおいて有利になるのはアメリカ人だと思うんだけど?

ビクトー:誰もが自分が勝ちたいと思っている。だけど日本人は公平にやるし、それに勝者に対して凄く価値を与えるね。彼等は真にスポーツを愛し、僕も日本でいい格闘技を披露したいね。

チアーゴ:そこが重要な点だと思う。米国では外国人がアメリカ人戦うときに判定ポイントで決めようとする時には彼等が勝つ。

ビクトー:それが僕に起きたのはUFC49で闘った時。だけども過ぎ去った事。今は次のチットを目標に準備をしています。

チアーゴ: UFCはとても難しい大会でヴァンデルレイもミノタウロも出るし、彼等をもっと尊重して注目されても良いね。ビクトーも日本人を驚かせるといいね。

サイト: 最後になるけど、君が父親になる準備はできているの?

ビクトー:今、僕は妻の事が心配なんだ。お腹の僕の子供と一緒だしね。ぼくが妊娠を知ったのは米国でUFCの試合時だった。彼女は日本には行けない。心配するからそのほうが良いかもしれないね。僕とコンタクトしたい人は僕のサイトwww.vitorbelfort.com.br まで。12月の試合は応援して下さい。日本へ行くよ!よろしく!

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