インタビュー

TAKESHI SATOUCHI(里内 猛)

[2004.01.05]

日本代表のスタッフ陣は国内で活躍する最も優秀なプロフェッショナル達で編成されています。ジーコ日本代表監督は、ゴールキーパー・コーチにカンタレーリ、テクニカル・アドバイザーにエドゥー、そしてフィジオセラピストにはリカルド、のブラジル人3人を自信をもって選びましたが、フィジカルコーチを選ぶことにおいても悩む必要性はまったくありませんでした。22年にもおよぶ豊富な経験の持ち主である里内猛コーチ(47歳)に白羽の矢が向けられたのです。里内さんは、大阪経済大学を卒業後、住友金属(1979-1991)、鹿島アントラーズ(1992-2001)、そしてセレッソ大阪(2002)に在籍した経歴を持っています。

W杯予選へ向けての追い込みのこの時期、ジーコ監督と里内コーチによる代表選手のフィジカル・コンディションに関する情報交換は、日々行われています。このような重要な時期であるにもかかわらず、ジーコ自身がリラックスした対談を披露してくれました。どうぞご覧ください!

里内さん、あなたはなぜフィジカルコーチという道を選択したのですか?

アマチュアの選手だった頃から、将来サッカー界での仕事に就きたいとは考えていました。その考えを実現するために、興味があったフィジカルコーチという仕事を選択したのです。

フィジカルコーチとしてのキャリアは1979年に住友金属でスタートしたのですか?

はい。まだ住友金属がアマチュアのチームで本格的にサッカーへ力を入れ出したばかりの頃です。日本サッカーのアマチュアチームには専門職のコーチは存在しませんでした。選手をふくめた全員がサッカーを愛する、といったムードの中でわたし自身は自然にフィジカルコーチ的な役割を果たしていました。これがきっかけとなって、以後、約22年間フィジカルコーチとして選手を指導することとなったのです。

鹿島アントラーズで得た最大の経験とは何でしょう?

それはジーコ、あなたが来日し、われわれにプロの魂を伝えたことだと思います。その魂は現在でも鹿島アントラーズに強く根付き続け、ジーコ・スピリットと言われています。それは、誠実・献身・忍耐、そして尊重などもあらわし、サッカーの中心にすえるべき姿勢であると思います。

日本サッカーとブラジルサッカーの違いは何ですか?

ブラジル人選手と日本人選手の違いは、サッカーのファンダメンタル(基礎・基本)な部分にあるのではないかと思います。体格面などではそれほど違いはないように思えますが、ブラジル人は心身の成長過程において早熟だということが言えます。定位感覚・バランス感覚・リズム感といった面で優れており、ランニングなどの動きでは緩急の変化にブラジル人独特のものを感じます。

南米サッカーと欧州サッカーの違いは何ですか?

欧州サッカーはフィジカル面を重視しています。この事実は選手たちの体格とトレーニング方法を見れば明らかです。反面、南米サッカーはテクニック面に重きをおいていると思います。日本人選手は南米選手と体格が似ているので、南米サッカーの方が日本のスタイルに合っているのではないか、というのが私の見方です。

日本人選手のフィジカル・コンディションの難しさについて教えて下さい

ここ15年ほどの間に日本人の食文化は大きく変化しました。それによって日本人の平均身長はずいぶんと伸びたのですが、問題はその身長の変化に比例して体重の増加が見られないことです。いわゆる骨太の選手が少ない。日本人選手と韓国人選手を比較すると身長が同等でも体のバランスでは韓国選手が勝っています。若い選手達の食事面の充実を図るとともに、基礎体力作りを行う必要があります。プロ選手として成功するために、いかにバランスの取れた食事をし、日々トレーニングを行い、しっかりと休息を取る必要があるのか、そういったことを理解させなければなりません。また「プロになりたい」という強い精神を持つことももちろん必要です。こういった考え方を普及させるためには指導者間で交流を図る必要がありますし、特にJリーグのクラブが中心となって、積極的に実践していかなければなりません。

海外で仕事をしてみたいという願望はありますか?

大変興味深い質問です。以前、あなたはわたしに、ジーコサッカースクールで働いてみないかと誘ってくれました。わたし自身、もっと多くのことを学びたいという気持ちはあります。まずしっかりと日本で土台を築き、その上で新しい文化と言葉に触れてみたいと思っています。

あなたは何度ブラジルへ行き、どこのクラブを訪問したことがありますか? そして、どのような感想を持たれましたか?

ブラジルへは7度行きました。フラメンゴ、フルミネンセ、CFZ、サンパウロ、コリンチャンス、パルメイラスなどのクラブを訪問しました。私が知る限りのブラジルのクラブをほとんど見ることができたのではないかと自負しています。それらのクラブで実践されているトレーニングの方法を実際に知る良い機会に恵まれたと思っています。

仕事における哲学・信念は何ですか?

とても簡単なことですが、あくまでも献身あるのみ、ということです。

W杯予選ではどのような困難が日本を待ち受けていると思いますか?

気候の問題・食事の問題・アラブ諸国との熾烈なライバル意識から生まれるプレッシャーなどがあると思います。さらに、数多くの代表選手がヨーロッパでプレーしているため、戦術の徹底に時間が足りないかもしれない、といった問題も考えられます。

あなたにはカリオカ(リオっ子)魂が感じられるのですが、いったいどうしてでしょう?

それはわたしがブラジル人、特にあなたのようなカリオカとの親交が深いからでしょう。そういったカリオカとの親交が私の感性をくすぐったのではないかと思います。あなた自身、鹿島アントラーズへ多くのカリオカを招聘してきましたよね。わたしはすっかりかれらの気質に同化されてしまいました。それにわたしはリオ・デ・ジャネイロが大好きなんです!

それでは最後に、「里内さんにブラジル人のモノマネをさせたらナンバーワンだ!」という噂は本当ですか?(笑)

ナナナナナナナナナナナナナォン!(笑)(ポルトガル語で、とととととととんでもな-い)最後になりましたが、本サイトをサポートしてくれている皆さん、素晴らしい内容にパラベーンス!(笑)(ポルトガル語で、おめでとう)ちなみにわたしもいつもアクセスしていますよ。それでは皆さん、ごきげんよう!(笑)

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