ジャパンコネクション

23人の青い侍

[2006.5.16]

この月曜日はW杯に出場する日本代表選手23名を発表した。サッカー監督として私の記念すべき一歩となる日であった。責任は重大とは言え怖さは無かった。これまでに選ぶプロセスの基準を説明するにも自己回避もしていない。日本サッカー協会で行なわれた盛大なイベントで私が紹介した選手は総て優秀であると信じる。誰もが正規な青い侍としてドイツへ行くのだ。今週は此の事を題材にしない訳には行かない。

発表会場には生中継をするテレビカメラが6局に、国内外のジャーナリスト等が多数詰め掛け、最終召集発表の約1時間取材に集中していた。私が指揮を取ってから3年半の仕事が経過し、いよいよ日本代表選手を決める時間だった。始まりには私が考える強いチームを造る為の基盤になる人選を実行する事だった。そしてまとまったチームは、あの優秀を求めることを目的とした査定基準のプロセスの中から生まれた結果である。 

私は各選手達のそばで見て来た。いざ人選する段になってみると、不当なミスを犯す可能性は無いかという恐れが決して無かったとは言えない。過信が理屈を過大にし、傾いた見方で不当な判断をしてしまう事を考えればその方が健康的であると思う。間違いを回避するためには疲れを忘れた多大なる業務と練習の積み重ねを繰り返した。代表の指揮を取りながら共に汗を流したタレント性のある選手達を呼べず本当に残念な部分もあるが、私自身は落ち着きを保っている。

アジアとヨーロッパの距離や地理的な特殊要因から我々は親善試合や大会などに殆ど別の二つのチーム編成を余儀なくされた。一つは国内でプレーする選手だけのと、もう一つは海外組を混ぜた混合チームである。ここにおいて、一方では現在のチームで貴重な存在ともなった例えば加地のように新たな選手を見出せる効果はあった。もう一方では同じポジションで同等に出来る優秀選手が増えたと言う問題も生じた。どうしたものか? ポテンシャル、タレント性、コンデイション状況、生産性など試合の中で比重を置く項目を基準に考え更にグループ内での価値なども含めて私は正当に選ぶ努力をした。根本的には選手が代表の精神を持ち、チームに合致する能力を備えているかを見ている。この点に関して私は運が良かった。それは多くがそうであり23人以上の多くがこの範囲に収まるからであるが、平行して人選には難しさが残ったのは明白である。

発表したグループから2名だけが何人かに疑問を与えた。それは私のビジョンが日本国民の気持ちを反映しているものと感じ落ち着きを与えてくれた。日本国民はドイツの地に自分たちの当然なる代表チームを送るのである。疑問の一つはリストから外れた久保に関してである。私はいつも久保のことは買っていた事をハッキリして置きたい。得点王でもあり、大事な時に良い仕事もした。しかし、ここ数ヶ月フィジカル面での問題を抱えてきている。背中の問題で約一年休んでいたし、その後でも膝やくるぶしなどの怪我もあった。そこで既に貴重な活躍もしているもう一人の偉大な選手である巻を呼んだ。

柳沢については3月に怪我をしたがリストには入っている。記者会見でも説明したが、彼の状況は久保の場合とは全く違う事を言いたい。柳沢は足に骨折を負ったが、この場合筋肉の損傷よりもシンプルである事は私自身良く知っている。骨が固まればOKである。鹿島のアウトゥオリ監督やスタッフとも相談したが、柳沢は既にボールを使った練習もしており、フィジカル面でも良好でつまり、何時でも練習でも試合でも出来る状態である。私にしてみれば彼のコンデイションが一番だった例を取ると、ヨーロッパに所属する選手達を含めて試合をした時、彼らは暫く試合をしていなかったが、柳沢は他の誰よりもフィジカル状態が良かった。

現実として、私が心痛するのは、負傷の原因でW杯に連れて行きたくても連れて行ってはいけない事という状況である。それは私自身が1986年のカップに負傷の後行った時に困難があった事を経験しているので良く解る。この自身の経験も踏まえ、私の基準はW杯が明日から始まると言った時に23人が直ぐにピッチに入れる状態だった。

アタッカー5人とデフェンダー4人にしたのは中盤で攻撃的なミッドフィルダーがいるからである。それに、W杯ではリザーブ全員がベンチに待機出来るので私は必要とあれば誰でも起用出来る。出来るだけ同じポジションに2名ずつ考えた。中田浩二はサイドバックも幾度か経験しているので、もし何らかの問題でアレックスに支障が出た時にそのポジションでも使える。

最後にスコットランドと対戦した選手達に説いたことを言いたい。彼らにはあの日あそこにいた選手の多くはリストから外れるが、立派に代表チームで出来るのだから全員がいつ何が起きても良いようにいつでも準備して置くべきだ、と言った。彼らは落胆する必要も無いし緊急事態が-起こらない事を祈るが- 起きないとも限らない。だからあの時の選手らはリストの一部を成していると言っても良い。私は別の選択も考えねば成らずその事柄を確信を持って行なった。

これから先は我々、選手達の努力、それに指導部総てのサポートスタッフが総力を挙げて最良の結果を求めて団結し、力を合わせる時だ。私はチームに信頼を置いている。23人の青い侍達を信じる。戦う精神が不足しないのは良く解っている、それは日本国民のサポートがドイツの芝生に伝わり共に戦ってくれるからだ。

来週又会いましょう。ウン・グランジ・アブラッソ!

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