ジャパンコネクション

強者と弱者

[2005.8.9]

つい先日2006FIFAワールドカップアジア地区最終予選で2度勝利した北朝鮮に、今回の東アジアサッカー選手権で敗北を喫しました。強者及び弱者と見られているチーム同士の対戦への感想と現代サッカーでのランキングと伝統の重要性を考えさせられました。既に、他のコラムでこれらに関するテーマを取り上げましたが、今回それを検証する絶好のタイミングでもあります。

テニスは個人競技ではありますが、正に選手のランキングづけで成立していると言っても良いでしょう。例外を除き、トップ50にランクインしている選手は先ず300位以下のプレイヤーに敗れることはありません。結果が物語っております。バスケットとバレーボールに関しては、チームは戦績に基づいて分析が可能となるのです。普遍的に、これら3種目のスポーツは統計学が試合展開をある程度予測することが出来ます。我々は対戦相手を基準とし、近年のチーム内での選手個人のパフォーマンスや国際シーンでの位置づけに基づいて展開を推測することが可能なわけです。

身近な例を挙げるならば、しっかりと調整されて臨み、オリンピックで優勝を果たしたブラジル代表の男子チームがあります。ベストな戦績で世界大会を制覇した最強のチームだったと言えるでしょう。バスケットでは、アメリカ合衆国がプロのベストメンバーを投入して挑んだ時代には最強且つ無敵でした。個人技と組織力の賜物だったのです。テニス界でも主導権があり、番狂わせは極稀だと言えます。但し、パン・アメリカン大会でブラジルがベネズエラに敗北した事実や、世界大会で連敗を喫して、敵に挑む姿勢を考えさせられる状態に陥ったアメリカ合衆国のバスケット代表チームなどが、例外の存在を実証してくれるのです。

しかしながら、サッカーではロジックも複雑なのです。ランキング1位が6対0で2位を圧勝する可能性と同様に、難なくランキング178位が1位を下す可能性を秘めています。数字は疑わしく、実績に基づいた分析は決定的なデーターとは言えません。有効なのはピッチ上でのその瞬間であり、その場の数字が重要なのです。

キックオフと同時に技術的に劣っているチームが、強者の伝統を全て超越できる可能性があるのではないでしょうか? 実際に、「伝統」に関して考慮すれば、代表の歴史を重んずることは選手達にとって有益でもあり、一方で有害だと言う結論に我々は到ります。相手の方が練習に献身しており、自分達よりも存分にチームを調整して勝利への執念を燃やしてきた場合には、伝統の意義は何ら存在しない可能性すら有り得ます。あくまでも例ですが、東京ヴェルディはベストメンバー率いる銀河系軍団のレアル・マドリッドと最近日本で対戦して勝利を得ました。しかしながら、東京ヴェルディは現時点でJリーグ下位争いを転じており、降格の危機に立たされているのも現状であります。この結果はいったいどのように分析したら良いのでしょうか? サッカー界のみが提供してくれる数々の状況が招く結果であり、説明することは出来ません。

私は日本人選手達に、一試合一試合に同じ真剣さ持って挑む重要性を常々話しています。アジア大陸に於いて日本は現在、他国が超越を試みる大国へと化したのです。我々はアジア大陸のトップにランクインしており、「伝統」を代表する存在でもあります。だからこそ、敵に対する優位論に基づいて自ずと得点が生まれるであろうとの精神で試合に臨むことは不十分であり、我々は常に向上心を持ってベストを尽くす必要性があるのです。集中力を持って挑まなければなりません。そして、可能性を信じることも重要です。更には、主審のキックオフの笛と同時に、ランキングの数字は無意味と化すことを認識する必要性があるのです。サッカーとは可思議なスポーツであり、ゲームは90分刻みの新たなる歴史を綴らなければならない白紙本のようなものなのです。

・・・ということで、また来週!

それでは皆さん、ウン・グランデ・アブラーソ!

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