ジャパンコネクション

勝利への方策

[2005.3.14]

例え料理の達人ではなくても、料理の秘訣は調理法にあることは理解できます。実際には、最高級の料理を作るのに、最上級の材料を駆使して、高価で特別な調味料で調理をしても、必ずしも好ましい料理が完成するとは限りません。実は、レシピで求めた味わいとは程遠く、口に合わない場合もあります。サッカーでも同様な現象があり、今週のジャパン・コネクションのテーマは、この事に関して取り上げます。

料理で例えると、レアル・マドリードは調理の本で描かれている、有名なシェフでも推薦するであろう、完璧なレシピだと言えるでしょう。でも実際には、同じチーム内にこれ程のタレント溢れる選手達が揃うと、良いことばかりではありません。チームをうまくまとめるには、的確な方策が必要となります。レアル・マドリードは真のスター軍団であり、私自身も以前試合を観戦してこのコラムで敬意を表しました。でも、あらゆる材料がテーブルに散乱している状態と、調理後の料理とが相違する様に、豪華な見せ場と競技は大きく異なるのです。

スペインのチームの最大なる誤算は、調理鍋に材料を投入する際に、選択を間違ったことではないでしょうか。何故なら、選手全員がそれぞれスタープレーヤーであり、その選手たちを召集し起用する代表チームと、クラブチームでは異なるからです。クラブには、有能な選手が所属していながら、試合に起用しなければ、選手の能率低下という結果になります。決して、見栄やうぬぼれに関して言っている訳ではありません! 私自身、スタメン出場とは異なり、途中出場がどんなに戸惑うものかを、我が身で感じた経験があります。

だからこそ、控えの選手としては、お互いが融合しない個性派の偉大なる選手達よりも、能力的に制限があっても決して引けを取らない、何時何時にでも起用出来る選手達がいた方が良いのです。正にレアル・マドリードで起こった理由だと思います。レアル・マドリードはスター軍団がもたらす、マーケティング面への懸念が優先されたのではなかと私は感じました。更には、無造作に契約をした新たな選手達に関してもそうです。明白な名選手達が、判断基準に添わずにチームに移籍して来ました。結局、この異種族混合がチームを後退させた原因とも思います!

既に、フィーゴがいるにも関わらずにベッカムと契約した例を取り上げましょう。両選手は偉大なるプレイヤーであり、ピッチ上でもほぼ同じスペースでプレーをします。この解決策として、どちらかがスライドを余儀なくされました。勿論、何かがフィットせず、彼らは本来のポジションでのパフォーマンスは出せないでしょう。先ずこれが、一つ目のレシピ・ミスでした。更にクラブは満足せずに、ロナウドとラウルを有しながらもマイケル・オーウェン選手と契約を結びました。似通った調味料は味が絡み合うのです! オーウェンのベンチスタートは、彼本来の実力が発揮できません。だからこそ、この様な理由からモリエンテスは移籍を志願して、レンタル移籍をしました。結果、このアンバランスから勝利を求めるのは無理があると言えるでしょう。

現在、レアル・マドリードは、チーム編成の天才であるヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ監督に指揮を委ねており、彼自身もチームの再生を試みました。でも既にレシピは狂ってしまいました。チーム再生の時間を与えることで、スター軍団を駆使して、紛れもなく妙味に富んだメインディッシュをファンに提供できる人物であるはずです。今後もクラブは、彼を継続させるべきだと思います。何故なら、現時点では敵の、特に優勝へ向けて独走態勢の天敵バルセロナにとって、格好の餌食と化した無秩序なチームだからです。ここで、同等なスター選手がいるチームの例として、ACミランを引き合いに出すことができます。両チーム共に名選手が名を連ねておりますが、相違するのはレシピを補完すべく、交代要員と言う完璧な調味料がある事でした。

私が、レアル・マドリードに所属するほぼ全選手のファンであることは昨年このコラムで語りました。彼らが華麗にプレーしている姿を観るのがとても好きなのです。でも、サッカーは壮大な見せ場と、競争心、が両立しなければなりません。それでこそ、完璧な料理といえるのです。ワールドツアーでのエキジビジョンマッチでは、スタジアムは満員となり、経済的には見返りがあったことでしょう。でも、このスター軍団にはタイトルが欠けています。これ程までのスター軍団で無かった時期には栄冠を手にしていました。今日では、選手がサポーターの野次に直面しなければならない状況で、不本意な敗北に対する苦い思いを強いられております。そう・・・、正に華麗なるプレーを披露するだけではなく、能力を発揮しなければなりません。

レアル・マドリードは、欧州サッカーでは例外とも言うべく、数多くのシェフがスター軍団と言うレシピを試みました。そして、この現状に厨房で新たなる問題への兆候が見え始めているように感じます。でも、教訓として残ることでしょう。実際にスタメン枠僅か4人に対して、6~7人の有能な選手を抱えている事態では問題解決は困難なのです。クラブは、タイトル奪取へ向けての素晴らしい晩餐会を築くべく的確な調味料を求め直さなければいけないでしょう。

・・・と、いうことで、また来週お会いしましょう!

それでは、ウン・グランデ・アブラーソ!

ジーコ直筆サイン

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