ジャパンコネクション

中盤の決定力

[2005.3.1]

以前このジャパン・コネクションで、ベストチームの編成には、先ずは守護神となるゴールキーパーを筆頭に、守備面の連携が取れた多才なディフェンダーで固める必要性があり、更に総合的にバランスを保つことが効果的な成果を生むのだと述べたと思います。でもチームの安定感を考慮すると、自然に中盤の話題を取り上げざるを得ません。そしてこのテーマを今週の本コラムに選んだのです。

統計を分析しても、チーム内では必然的にボールは中盤を他ポジションよりも遥かに多く経由すると言う事実に気が付くでしょう。即ち、グランド中央に位置する選手達が、守備と攻撃間の中継役を果たすと同時に、得点をも決めるということは、極自然は流れでもあるのです。更には、ディフェンダーのサポートをこなす役目も含まれております。だからこそ、グッドチームと言うのは、「中盤を支配する」必要性があり、これを可能にするには、このポジションに守備的と攻撃的な選手を上手く調和しなければなりません。

但し、私はケーキのレシピに例えて、組織的攻守に対する厳格なるポジション分別を言っているのではありません。正にその逆なのです! 効率よく攻撃参加が出来るクリエィティブな選手を有する場合には、守備面を補うべく、ポジショニングに優れ、敵の攻撃を防ぎきる中盤の選手の存在が必要となります。即ち、結論はあくまでもバランスなのです。

かの80年代のフラメンゴでは、私はカルペジアーネとアンドラーデという感銘的な働きをする中盤選手と共にプレーをしました。興味深いのは、彼らは攻守に対する厳格な特徴を持っていなかったことです。彼らの秘訣は素晴らしきポジショニング感覚と前線で我々が素早く攻撃に転じられる厳密なパスを供給できる能力を持ち合わせていたことです。これこそが中盤から攻撃へかけての機能的布陣だったと言えるでしょう!

即ち、ここがキー・ポイントだと言えます。守備能力に長けている選手よりも、ポジショニングに優れており、パス精度の高い選手の方が重要なケースが多々あるのです。システムの変更に伴い「pontas fixos(固定的ウィング
の意味。)」と共に消滅したポジションですが、現役時代に私は「ponta-de-lanca(槍の穂先の意味。現在の攻撃的ミッドフィルダーやトップ下に類似する。)」と呼ばれていました。私自身は、前線での活躍が著しく、常にフォワードとして認識していたのです。でも、中盤へ戻ってゲームメーカーとしての役割も果たしていました。特にチームがセンターフォワード2名で臨んだ場合は尚更だったのです。但し、チームのフォーメーションによってその比重も変動しました。ここで記述すべき不思議な点は、リオ・デ・ジャネイロ州では一般的に前線の選手が背番号10をつけていたことです。しかし、サンパウロ州では一般的にリオ・デ・ジャネイロ州では8番に値する、中盤の選手であるジェールソン、アデミールやリベリーノ選手が背負っていました。

では、話を戻しますが、実際に私はチームを編成するに当たり、根本的に三つに及ぶ必要条件を満たす選手を選出するように努めています。一つ目は、攻撃的又は守備的ミッドフィルダーに関わらずポジショニング感覚に優れていることで、殆んどの場合に有利に攻撃へ転じられるのです。二つ目は、パスの精度です。効力的なパス一つが、アドバンテージを有している時点ではチームにリズムを与えることができ、先行されている場合には試合のテンポを速めることが可能なのです。そして最後に、同様に重要な要素でもある、シュート力です。精度が高く、特にロングシュートを放てる中盤の選手を有していれば、更に敵の意表を突く武器を持つことになります。

私は何が何でも守りを徹底する、「caes de guarda(番犬)」と呼ばれる思想への信奉者ではないことを明確にしておきたいのです。上記で述べた必要条件を実行すれば、中盤の組織化が図られて、効果的なチーム編制が可能となるでしょう。

単なる理論では決してありません。実際に日本代表で実践しております。例え敵のボールを奪う能力が高いボランチでも、直後にパスミスにより再度敵にボールを渡すようでは何の意味があるでしょう?だからこそ私は、中盤の選手達のポジショニングに関する練習を、攻守の切り替えの正確性、センタリングの精度を洗練すべく内容を交えて入念に行っているのです。多々なる「決定的場面」はこの様な積み重ねから生まれているのだと確信を持って言えます。そして、我々の仕事に対する正当性を結果が物語ってくれていることを、私は喜ばしく感じております。私は選手達個々の、特に中盤の選手の真の長所を引き出すように努めているのです!

・・・と、いうことです!

ウン・グランデ・アブラーソ!

それでは、皆さんまた来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

>一覧へもどる