ジャパンコネクション

プレイヤーズ・ファクトリー ~ 選手育成工場

[2004.11.22]

今週の日曜日に、「 Esporte Espetacular (スペクタクル・スポーツ、ブラジルのテレビ・グローボの番組)」で新たに Victorino Chermont レポーターの紹介による、下部組織と育成に関する特集番組を見る機会がありました。主題は若年層選手の輸出であり、今週はこの複雑な問題をテーマにしたいと思います。

明確にしておかなければならないのは、現在の法令集では、 CFZ do Rio などや、更には伝統的なクラブであれども、選手の育成に取り組むための何らインセンティブも存在しないということなのです。でも、事実はその逆だとも言えます。その背景には、仮に巨大な困難に直面しても、何一つ投資に対する保障がされないという、極めて悲観的な現実があります。

TV 番組の内容は、“代理人”の欧州市場へ向けての選手育成「工場」をテーマにしたものです。私自身、これに似通った提携案の申し出を受けたのですが、クラブ設立趣旨とは程遠く受け入れませんでした。でも、全てが法律に基づいて成され、透明な育成プランが事実上存在するのであれば、基本的にはこのコンセプトには特に大きな問題はないかのように思えます。勿論、選手育成の役割を果たすべく、クラブのみがこの手順に携わられればベストだと言えます。しかし、残念ながら現状は異なります。大半は 12 ~ 13 歳の少年達が一個人に勧誘されるケースが見受けられるのです。代理人契約を交わして権利を確保するために、お金またはスパイクなどを与えます。これが現実なのです。

だからこそ、私は力不足ながらも CFZ で毎年、下部組織の優秀な少年達を放出しないように闘い続けるのです。でも、どのようにして差し止めることが私には出来るのでしょうか? 何故なら、殆どのケースは、決して果たせそうにもない約束を片手に、選手をビッグクラブへ送り込むべく人物が、既にバックについているのです。そして、その行為を法律は容認するのです。そこで、私は築き上げたチームを失い、注ぎ込んだ努力が報いられる機会に恵まれないのです。きっと、この様に同様な苦境に立たされるのは私のみではありません。

大きな悪影響はそこにあるのです。裏で行動しながら、“代理人”は近将来に利益をもたらすと判断した選手のみに投資をします。彼等は、社会事業に対するコストを払うこともないし、また有望な選手が存在するかどうかも判らない状況では全てのカテゴリーに投資をすることなど全く行いません。それこそ、利益になるところのみを持ち去るのです。クラブが育成に専念して、選手を育て上げ、それを都合主義者が全ての利益を持っていくことを回避する何らかの手段が存在しなければいけません。

現時点では、スポーツに携わる誠実な人材で構成された人達が、育成クラブ保護に対する仕組みを検討中です。恐らくはもっと踏み込んだディスカッションが重要なのかもしれません。何故なら、現行のこのやり方で下部組織として、唯一生き残る手段はビッグクラブと協定を結ぶのみなのです。但し、協約内容は決して有利なものではありません。それでも、存続するために彼等は同意してしまいます。そこで再び、実際に子供を受け入れて、最初から育成に専念したクラブへの恩恵は、遥か彼方を素通りするのです。

コラムの主旨に戻って話を続けますと、現状では、中小クラブの選手育成の実行は困難な状態にあり、“代理人”による欧州市場へ向けてのチーム創りが現時点では最適だと言えるのかもしれません。しかし我々同様の責任を最低限でも彼等は負わなければならないのです。でも、この責務を果たすのでしょうか? 紛れもなく、彼等の大半がこの困難な道を選択しないのが現実だと言えるでしょう。実際には、既に手掛けており、ノウハウを持っている所へ直接求める方が、安上がりであり楽なのです。

残るは、近々布告されるであろうスポーツ法令集の新たな条項が、確実に、真にスポーツに着手する人材に意欲を与えることを期待するのみです。そして、将来的に、サッカーがもたらす恩恵のみを受ける無礼極まりない行為を、法律が許可しないことを願うのです。

それでは皆さん、ウン・グランデ・アブラーソ!

…ということで、また、来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

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