ジャパンコネクション

進化するスポーツ用具の技術

[2004.08.03]

アテネオリンピック大会の開幕も目前に迫り、我々は白熱したメダル奪取への闘いと共に、スポーツへの新しいテクノロジー技術の導入を目の当たりにすることでしょう。スポーツ種目の中でも、サッカーは世界的に最もポピュラーなスポーツの一つであることからも、その新しい技術の大半の実験が集中します。そして、今週のジャパン・コネクションの論点は、この変化が及ぼす利点と幾つかの支障をきたす事に関して展開したいと思います。

もう30年以上も前の事ですが、私の初めて履いたスパイクはとても重いものでした。スパイクのポイントは釘が埋め込んである状態であり、練習終了時には釘に傷つけられ足裏は出血したものです。スパイク内側に新聞紙やスポンジなど様々な物を詰めて違和感が無くなる様に試したものです。そして、一般的にはジュヴェニール(ユース・カテゴリー)の選手がスパイクの試し履きを担当していました。当時、アルコールに漬けてスパイクを柔らかくするための秘訣を教えてくれたのがフラメンゴのルイス・ボッハーシャでした。でも、現在では状況は完全に異なり、雨天時などのピッチの状況に応じたスパイクが存在し、更に新品を箱から出して直接試合に臨むことすら可能になりました。

ゲームシャツ及びパンツに関しての変化も著しいものがあります。以前は布地のシャツを使用し、雨天時には材質の関係で約2.5キログラム程度増量していました。今では、汗を吸収して肌とのコンタクトを減少させ、快適さを高める工夫された新素材が年々開発されております。スポーツ用具の開発に取り組むには、常にこの快適さを最優先要素として考慮しなければいけません。多くの皆さんにとっては、2002年W杯決勝戦でのDFエジミウソンの姿が記憶に新しいと思います。彼は、ゲームシャツが与える不快感に耐えられず裏地を引き裂いてしまったのです。

現代のスポーツ業界においての技術は暑さや寒さ、晴れや雨など、どんな気候や天候に対しても対策がされています。でも以前は、これだけの利便性が整っていた訳ではありません。私自身、ブラジル代表の一員として寒地で長袖のゲームシャツが手配できずにプレーをした体験があります。1978年に、ドイツのハンブルグで気温2度の中、冬用シャツの一般店舗での購入を余儀なくされたのです! その4年前にはギリシャで寒さに耐えるためにユニフォームの下に更に2枚身に着用しゲームしました。何と、ロッカーで我々にコニャックが与えられた程です! そして、控えのメンバーはベンチへホテルの毛布を持ち込まざるを得なかったのです。イタリアでは、ピッチ上に張った氷を貫通するようにアルミ製のポイントをスパイクに使用していました。

スポーツ用具メーカーの開発への投資も年を重ねる毎に拡大して来ています。デザイン性を重視するメーカーと選手のパフォーマンス及び快適性の向上を目的とした技術面に投資するメーカーが存在します。勿論、後者がアスリート達の要求に沿っていることは言うまでもありません。反対に用具デザインの美を追求するメーカーはアスリート達のパフォーマンス向上を妨げる傾向すらあるのです。

最後に、最重要アイテムである「ボール」について述べたいと思います。ユーロ2004のPKの失敗で一目瞭然の通り、以前よりもシュート時に遙かにボールを吹かし易くなっています。最近でのベッカムとルイ・コスタがその良い例です。技術者達が空気への対抗力を減少させることに成功した事実に基づいた結果として、ボールのヒットポイントが若干下にずれるだけで、ボールは容易く舞い上がってしまうのです。ゴールキーパーは逆にその読みが外れてグラウンダーのボールが来た場合は意表を突かれるのです!更にシュートされたボールが驚異的なジグザグとした動きを描くこともあります。きっと、開発に当たってはゴールキーパー達の意見は聞いていないのでしょう。このようなトラブルを減少させるためには、いち早くボールに馴染むようにあらゆる方式のシュート練習を重ねなければなりません。

私の唯一の批評は、新製品が発表の段階の導入直前ではなく、開発の時点で選手達の意見を求めるのが重要であり、自然の流れではないかと言うことです。上記でも述べたように、衣類の快適性及び軽薄性を追求するのは大変重要なことです。そして、「ボール」は選手達にとっての仕事道具であり、開発者の誰しもがこの道具を知り尽くしている訳ではありません。

…ということで、皆さんまた来週!
それではウン・グランデ・アブラーソ!

ジーコ直筆サイン

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