ジャパンコネクション

サッカー・グロバリゼーション

[2004.06.29]

欧州サッカーの頂点である「 UEFA EURO 2004」も終盤を迎えました。ドイツ、フランス、スペイン、更にはイングランドも含む、数多くの早熟すぎるとみなされる敗退が相次ぐ中、私が本コラムで以前から追求している理論から逃れることが出来ません。それは、現代サッカーの背景においては「伝統」が試合で「勝利」をもたらす時代は既に終わりを告げたのです。

このテーマを繰り返し取り上げ、新たな例を挙げることで、如何にギリシアとチェコ共和国が番狂わせから程遠いかを理解するために重要なのです。自らのチームを信じて努力を惜しまず、ベストコンディションを維持する能力の高い選手陣を有する代表は、活躍が期待でき勝利を得るチャンスが大きいという実証でもあります。この様な事情からも「ユーロ( UEFA EURO)」は、特にクラブも含め、サッカー・グロバリゼーションへの動向が既に現実化したのではないでしょうか。

彼ら自身が促進した外国人選手獲得の開放が結果的にイングランド、イタリア、スペイン、ドイツのチームの強化に当たって難航する状況になっているのです。 EU(欧州連合)の到来によって、大陸においてサッカー選手達への国境が省かれ、チーム間での国籍混同が誘発されることが選手達の育成自体を衰えさせたのです。

我々は、一体何時から強力なイタリア人 FWを目の当たりにしていないのだろうか? 確かにデル・ピエロ、そして「UEFA EURO 2004」には出場しなかったインザーギがいます。そしてやっと最近になってまだ若手選手カッサーノの才能を見出したのです。そして、スペインではずっと以前からラウルとモリエンテスで構成されており、他には誰もいません。イングランドにはオーゥエン、そして近年になってルーニーがFWとして頭角を現してきてはいるものの、余りにも少なすぎます。ドイツは、過去には多数の名前がすぐに浮かびましたが、現在は不在状態だと言えます。事実は、これらの代表では、以前は中盤から前線に掛けて名選手で構成されていたのですが、今は存在しない状況なのです。

一例を挙げますと、チェコ共和国の選手達は多くがドイツ又はイタリアでプレーしており、オランダの選手達は主にスペインとイタリアのクラブに在籍しています。そして、ポルトガルも例外ではなく、既にギリシアも選手を他国のクラブへ供給し始めているのです。現在の代表は大会などに応じて必要な時に瞬時に集合する正に超国籍軍と言えるでしょう。そして、クラブは多国籍軍代表を構築しているのです。

この様な状況で恩恵を被るのは、ブラジルのようなタレント(才能)供給国、又は、デンマーク、チェコ共和国、日本、韓国、アフリカの国々の様にサッカー競技が発展の過程において確立中か上昇中の国なのです。ブラジルのアドバンテージ(有利、利点)は、強いクラブを維持するためには常に改新を余儀なくされることにあります。この事実に、更に大陸的国土面積と下部組織での育成が含まれます。そして、浮上中の国々の利点は、レベルの均等化と、これらの交流で選手達が得た経験により、他国と対等に戦えることでもあります。

でも、決して伝統的な国から選手達が放出されることが悪いと言ってる訳ではありません。ただ実際には、法外な開放の促進が間違った選択だったのではないかと思います。選手育成を保護するために移籍人数の制限に対する協定が不足したのです。今日では、イタリア又はスペインのユース世代の若年層選手はプロへ昇格するにあたり障害が生じることを知っています。これらの国のチームには、ゴールキーパーからフォワードに至り、隅々まで外国人選手がひしめいているのです。

興味深いのは、政治経済的に強い国は開放を促進することでサッカーへ貢献をしたと同時に、自国の代表へ多大なる損害を与えてしまったことです。ヨーロッパのチームで外国人選手が僅か 2名のみプレーができたレギュレーション時代には、真の優秀選手のみが移籍をしました。

だからこそ、欧州サッカーは危険信号を察知した方が良いのではないでしょうか。仮に何れかの代表が強豪としての復活を試みるのであれば、若い世代の選手達が頭角を現し、スペースを確保できるように、国内市場で彼らの保護に投資しなければなりません。誰しもが現代サッカーではサープライズ(驚くべき、意外な)な結果は存在しないことを知っています。現在ではどんな相手に対しても、世界規模で情報を知り尽くす手段が可能なのです。即ち、献身的に励み、尚且つその中で差別化を図れるのはタレント(才能)だと言えます。

これら全ての説明からも、フランスを除いては「 UEFA EURO 2004」での敗退国に大きなサープライズ(驚き、意外性)は無かったのです。例えば、ギリシアの場合は強堅な守備と言うクラシカル(模範的、古典的、伝統的)な戦略を有します。そして、敵のミスを突くサッカーを展開することで、彼らの壁を撃ち破るのは困難になります! 準決勝進出を果たした4カ国は功績によるものです。私自身は、オランダ、チェコ共和国、ポルトガルのテクニカルなサッカーを好みます。でも、ブラジルも日本も本大会に関っていないので、言えることはあくまでも在り来りのフレーズのみです。勝利の女神が真の強者に微笑む様に!

ウン・グランデ・アブラーソ!

それでは、皆さんまた来週!

ジーコ直筆サイン

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