ジャパンコネクション

アテネ・オリンピックへの懸念

[2004.05.18]

今年、起源地のギリシアへの凱旋を果たす世界スポーツの祭典であるオリンピック大会の開幕まで約 3ヶ月と迫りました。そして、ある面では懸念の時でもあります。こちらに届く映像は未だに会場や施設の建設現場であり、更には最近のテロ活動による会場への安全性も疎かに出来ません。

サッカー競技でアテネへの出場を決めたオリンピック日本代表の山本監督とも話をしました。彼はつい最近、オリンピックギリシャ代表との対戦時に現地を訪れており、不安を隠せない表情でした。緩慢なペースでの工事と交通面での困難性やその他大会に影響を及ぼす問題などを彼は察知したのです。

それ以外にも、世界はここ 2ヶ月間で最低でも二度に渡りテロの襲撃に出会っており、1972年にミュンヘンでの大会中に起こったイスラエル選手団攻撃の悲劇的なシーンの記憶が蘇ります。特に戦地でもあるイラクは、サッカー競技出場の為に代表チームはアテネに滞在します。国際イベントの開催に当たり、オリンピック大会の規模には及びませんが、同様に安全面での警備に対する配慮は必須であるW杯で、2002年大会において日本と韓国はその能力の高さを確証させてくれました。全てが成功するようにテクノロジーとインテリジェンスを存分に駆使し、結果的に達成をしたのです。

勿論、紛争が起こっている多くの国々、特に中東の参加には特別な言及を要するのです。中でも突出しているのがイラクであり、何故なら、戦争の苦境にも関わらず、彼らはテクニックあるハイレベルなサッカーを展開して、予選突破という偉業を母国にもたらしました。私の実兄であるエドゥーは長年に渡り現地で仕事をした経緯から、イラクサッカーが特に日本の支援を得ながら大きく進化を遂げた過程を肌で感じた一人でもあります。ここで必見すべきは、もしイラクが W杯出場権を獲得しても驚くべき出来事ではないということなのです。彼らはサッカーを通じて世界に貴重な教訓を与えてくれました。

何はともあれ、今週のテーマはオリンピックに関してで、本コラムはブラジル日本間のコネクションなのです。そして、私はブラジルのヨット、バレーボール、柔道、体操競技でのメダルの可能性に期待が膨らむと同時に、最近日本で開催されたオリンピック予選で出場権を決めた、日本女子バレーボール代表の躍進ぶりを温かく見守っているのです。日本女子バレーボールは伝統的であり、 1960年代に輝かしい黄金時代を築き、20世紀屈指のチームといわれていたのです。

日本とブラジルの共通点はまさにサッカーにあり、ディフェンダーの闘利王選手は *ブラジル人 でありながら日本の為に闘います。 我々はギリシャのピッチでの ブラジル人 の姿を是が非でも応援したいものです。

(注:闘利王選手は現在日本に帰化しており、生まれ育ちがブラジルの意味。)

私はアテネでの祭典の開幕時には全ての準備が万端であることに確信を持っております。真の願いは平和と安全が保たれたオリンピックが開催されることです。勝利への野望に打ち負かされ手段を選ばず薬物使用に走り、 *有名な男爵 が提案したオリンピックの最大のコンセプト(概念)である競技の重大さが忘れ去られて欲しくないのです。メダルが誠実に競われ、人生の大部分を練習に捧げる多くの選手達の努力が報われることを願っております。そして、日本が既に地位を確立したように、ブラジルも自己記録を更新し、実力を発揮して世界のスポーツ大国の仲間入りを果たすことを期待しているのです。

(注:有名な男爵とはフランスの貴族で教育者クーベルタン男爵の事であり、彼はスポーツを通じて世界中の青年が友情の握手をする平和の祭典を考えだし、古代オリンピックの復活を提案したのである。 1984年6月23日、パリで復興会議が開かれ、そこで国際オリンピック委員会(IOC)を創立し、第1回をアテネで開催する事を決定した。古代オリンピックは単なる競技会ではなく、ゼウスの神に捧げた祭典として誕生したのだ。)

…ということで、ウン・グランデ・アブラーソ!

それでは、また来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

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