ジャパンコネクション

ユニフォームを身に着ける~愛国心

[2004.03.30]

グーガ (グスタボ・クエルテン)選手のブラジル・テニス界を代表してのディビス・カップ参戦への執拗な迄の拒否が、ここ数週間、スポーツ界の話題となりました。彼は、テニス連盟会長との意見の相違から、反会長運動を率いたのです。グーガが頑なに現体制下では出場を承諾しないと強調している、ネルソン・ナスタース会長は、5月には後任を決める選挙を行い、既に退任を了承しているのです。現状はブラジルを犠牲にしており、如何なる問題に関係することなく、先ず国家が最優先されるべきであると主張し、グーガを不支持する関係者も存在します。

この意見には一理あり、実際にサッカー界の関係組織に過ちがあるとの理由で、選手達がプレーすることをボイコットすれば、自ずと大会自体の開催が成立しないでしょう。私自身、数々の現状に納得いかずとも、幾度と無くブラジルのユニフォームを身に着け、我が国家のサッカーの為に努めてきたのです。

但し、事実を履き違えないようにしなくてはいけません。愛国心の問題では決してないのです。グーガのように若くしてブラジルの名を背負い、世界に進出し闘い続けてきた程の選手に対して、彼の愛国心への疑念など誰しも持っていないのです。サッカー界とは状況が違っていたのかも知れませんが、テニスでは主要選手の決断を尊重せざるを得ません。何故なら、今回のような問題がブラジル・スポーツ界で生じるのは初めてではないからです。

過去に一選手が団体に対して反発をした最大の例は、私がスポーツ庁長官時代に発生した事件です。柔道のアウレーリオ・ミゲーオ選手がブラジル柔道連盟の首脳陣を相手取った奮闘を想い出します。彼は、首脳陣であるマメーデの統制方針を受け入れられず、論争の末にチームから外されたのです。当時、この状況が私の所へ伝えられ、我々は国家スポーツ評議会を通じて連盟への介入を発令したのです。 10日後にマメーデは復職し、本件の解決に至るまでには更に時間を要しました。

事実はケース・バイ・ケースであり、実際には選手の態度を分析して裁く事などしてはいけないのです。今までに、指導方針に同意出来ずにどれだけのバレーボールの選手が代表免除を申し入れた事か?彼達に愛国心が欠けていたと言えるのでしょうか?私はその様には考えません。母国の為に闘いたくない選手など存在し得ないのです。何事も過激主義ではいけませんが、時と場合によっては強い決断を下すことで解決策を見出す事もあるのです。

例えば、今回のケースをリオのサッカーに当てはめて見るとしましょう。仮に私が、リオサッカー連盟の方針への相違から、 CFZ do Rioが州大会の参戦に拒否したとします。そうなると先ず手始めに、どれだけの人材を解雇し、更には数知れない若き才能の芽を摘む事になるかを想像して見て下さい。だからこそ、同意出来なくても、闘いながら共存して行くように努力をするのです。従って、論争を繰り広げながらも、過激主義になり全てを放棄せざるを得ない決断を下さずに済むように出来るのが理想ではないでしょうか。

常に思うようにいく訳でもありません。いつしか疲れ果てるのです。今年度、リオサッカー連盟は、我々がプロの 3部リーグへの参戦をしないのではないかと恐れ、ジュベニールとインファンチルの試合を延期しました。我々は降格したと言うよりも、降格を強要されたと言うべきでしょう。何故ならCFZは会長の反体制であり、そのお陰で彼は満場一致を得られないのです。そして、我々は追撃される事により、結果的に高くついてしまうのです。もし、我々にフラメンゴの力があれば色々な現状を受け入れない事でしょう。でも、我々は弱小であり、その力は持ち得ていないのです。

現在、アスリート達もこの様に弱小な立場なのです。まるで力の無い小さなクラブの様にです。彼達に幾ら反抗されようとも、協会の会長への投票権は有しておらず、更には連盟にとっては何ら重要性も存在しません。正にこれが現実なのです。

私のスポーツ庁長官時代にはこれを正すべく闘いました。現在、クラブに投票権があるのは私のプロジェクトの成果の一つでもあります。でも、私は更なる進化への支持者でもあるのです。今後はアスリート達にも投票権を与えられるようにして欲しいものです。例えば、モータースポーツ連盟の会長はエメルソン・フィッティパルディやネルソン・ピケを選挙支援者に欲しくないと思いますか?そして、ボクシングではエーデル・ジョフレ、テニスではマリア・エステル・ブエノ、…。即ち、支援者が増える程に、プロセスが民主的になります。そして、首脳陣の買収行為や不作為などの確立も減少するのです。この様なシステムが確立される事で、アスリート達がクラブ経営者に就任出来る可能性も拡大するのではないでしょうか。現状の選挙戦ではその様な事を考える余地すらありません。それでは、皆さんも一緒に考えてみて下さい。ある選手がオリンピックで金メダルを獲ったとします。この様な英雄的偉業を成し遂げた人物には投票権を与えるべきないでしょうか。何故なら、本人が勝ち取った権利でもあるからです。実現すれば、元アスリート達の積極的な参加意欲を刺激する事は疑いの余地すらありません。

最終的には、今回の件で重要な事実は、このカオス(大混乱・混沌)とも言える論争が、スポーツ界の透明な経営への道標になる事です。紛争により植え付けられた新たな苗が、テニス界のみではなく全てのブラジル・スポーツ界の倫理を極め、発展へと成長する事を願っています。そして、我々は常に応援し続けるのです。

という事で…、皆さんご機嫌よう。それでは、また来週!

ジーコ直筆サイン

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