ジャパンコネクション

日本のサポーター

[2004.03.16]

先週末、 Jリーグの新たなシーズンが開幕しました。各地で開催された第1節の各チームの奮闘振りをみて、横浜F・マリノスが優勝を果たした昨シーズンよりもレベルアップされた厳しい大会を期待出来るのではないかと思いました。観客も同様な期待感を抱いているようにも感じ取れました。2004年シーズンの開幕となったこの第1節は、満員のスタジアムが象徴的でした。引き分けに終わった横浜F・マリノス対浦和レッズ戦は5万人以上のサポーターがスタジアムを沸かせ、東京の味の素スタジアムでのFC東京対アルビレックス新潟戦には、約3万5千人の観客が詰め掛けました。ここで強調すべきは、アウェイにも関らず約1万5千人ものサポーターをスタジアムへ導いたアルビレックス新潟の動員力です!更に、埼玉スタジアムで開催されたオリンピック代表戦には5万5千人以上ものファンがスタジアムを埋め尽くしたのです。

この熱烈なサポーターを見て、私が来日を果たし初めて鹿島の地に足を降ろした 1991年に想いはさかのぼります。1990年代初頭から今日に至るまでの約10年間、サッカーの進化に伴って日本のサッカーファンも変化を遂げてきました。来日当初、私は地元に密着したスターの育成が観客の増員に繋がることを指摘していました。Jリーグ開幕初期の頃は、ビッグスター達はほとんど外国人で占められていましたが、多くのチームがサポーター不在状態だったのです。しかし、現在では確実に状況は変化しました。サッカーに対しての理解が深まり、選手に対する認識も構築され、ブームにも乗ってグッズ販売の売り上げも伸びました。

日本には、依然としてナンバーワンスポーツに野球があり、更に伝統的国技に相撲が存在しますが、サッカーも引けを取らず一年中メディアを騒がせています。ただ、たいていの年輩層は伝統的スポーツを好み、ひいきにしています。サッカーファンを年齢層で分析すると、中心となるのは 1998年ワールドカップの予選すら観ていないであろう15歳から18歳の年代であり、もっとも高い年齢層群は30歳代位と言えるでしょう。これは、世界最高峰のスポーツ祭典であるW杯出場を目指す過程に於いて、ブルターニュ・スポーツ(サッカー)に目覚め、虜になったファン達が多いということでしょう。

そして、大変興味深いのは若年層ファンであるという事だけではありません。注目すべきは、女性のサッカーへの関心の高さなのです。試合でも、スターの存在によっては女性ファンの数が男性ファンを上回るケースさえ伺えます。また、午後開催の試合では、学校側が、“サッカー観戦ツアー”を企画したりする事で更にファンの年齢層を下げています。

青少年と女性ファンを虜にする要素として、選手達が与えるビジュアルとファッションが挙げられます。しかし、同時に彼ら彼女達はサッカーを理解しており積極的に観戦しています。近代的で設備万全のスタジアム、試合観戦の為の安全性と計画性のある試合運営、年始めに決定される年間スケジュール、試合日時や放送予定・各試合のチケット料金等の情報が事前に得られる事などが、サッカー観戦を容易にさせています。これにマーケティング戦略が加わる事で、ファンを拡大させサッカースポーツの確立を躍進させているのです。

ブラジル同様に日本でも、クラブのみでなく代表にもサポーターグループが存在します。各チームに一つのサポーターグループが存在し、大抵の場合彼達はホームのゴール裏に陣取り、試合を盛り上げてくれます。そして、サポーターのリーダーが声援やコールのタイミング、そしてフラッグ隊などのアクションの音頭を採るのです。それも、全て東洋人の特徴である“規律と組織化”に基づいて行われています。

サポーターの観戦動向には、スタジアムへのアクセスの容易さや困難さなど公共機関の利便性も反映します。ここ日本では、安全性以外にも、電車やバスなどの移動に関するインフラストラクチャーがどこにおいても整備されています。またスタジアム内外でのチーム・キャラクターなどのグッズ販売も興味を引くものがあります。特に、日本人の勤勉さから、鉛筆、ノート、学習用具などの文房具類も人気があり、ユニフォーム、フラッグ、タオルマフラー、その他チームグッズなどが売店のスペースを分け合っています。他には、ミサンガから OA機器関連アクセサリーまであらゆる物が販売されています。各チームがオフィシャルショップとスタジアム販売店を設けているのです。

日本人は、サッカー観戦に食べ物を欠かしません。一部の観客はスタジアム内に設営されている売店で軽食やスナック類を購入するのですが、多くは「サポーターキット」ともいうべき観戦用の弁当を好みます。魚、ライス、野菜、デザートなどが入ったボックスタイプのもので、いわゆる、幕の内弁当の一種です。これに、飲み物のペットボトルを購入すれば完璧な食事の出来上がりです。

日本のサポーター事情の話題を締め括るに当たり、如何にしっかりとした試合運営の組織化が重要であるかを再度浮き彫りにしたいと思います。勿論、魅了出来るゲームとハイクオリティーな選手達の存在は必須要素です。でも、安全性と信頼性、そしてサポーターへの刺激が欠けると、スタジアムへは足を運んでくれません。おのずとサポーターがスタジアムから遠ざかって行くのです。今季も Jリーグは大変盛り上がるシーズンが展開される事でしょう。

これに比して、残念なことに W杯5回優勝を誇るブラジルでは、大会組織・運営に関しては同等の結果がもたらされているとは決して言えません。あえていえることは、他とは類比出来ない、ブラジル国民のサッカーに対する“喜びと情熱、そして崇拝とも言うべき熱い心”が全てを補っているということでしょう。

また来週お会いしましょう!

ウン・グランデ・アブラーソ!

ジーコ直筆サイン

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