ジャパンコネクション

プレッシャー = 監督としての宿命

[2004.03.02]

このテーマからは決して逃れられません。ブラジルで報じられている、私に対しての強いプレッシャーのニュースに関する情報が、日本にいる私の耳に入りました。例えば、私が日本代表において僅か皮一枚で辛うじて首が繋がっている等のニュースです。

この内容に入る前に、皆さんに次の様なシーンを思い浮かべて欲しいのです。約6万人の観衆で埋め尽くされたスタジアムでの試合。テレビの情報では、W杯予選でこの試合の総視聴者数は約3,500万人。この状況の中、日本代表は試合終了間際に得点を決め勝利を手にしました。1-0で敗れた相手国はFIFAランキング下位、更には一週間前に同じアジアの他国(韓国)との親善試合で大量得点による大敗を喫しておりました。ファンは今回のスコアに満足出来ず、大勝を望んでいたのです。一部のファンは、勝利を得た代表監督に対し、デモを興すが為にインターネットを通じて同志を募りました。結果、約40人の賛同者が集合したのです。

上記に述べたシーンは正しく、私が先週直面し、ブラジルで過剰報道された現状なのです。でも、果たしてこの40人が国民を代表するのでしょうか?彼達の存在は日本では少ない比率であり、私自身は心配していないのです。更に私は、ネルソン・ロドリゲスの言葉「全ての満場一致は愚かである」にもあるように、万人を満足させる事は不可能だと理解しています。事実、私が退く事が日本国民の望みであり、仮に6千人くらいのファンがデモをするのであれば、きっと要求に応えるでしょう。でも、今回は大きく違ったのです。

そして、日本サッカー協会の会長自身、この反響に対し、特にアクションを起こしていないのです。勿論、私が彼の立場であれば同様な判断を下しているでしょう。ファンは、大量得点による大勝を望んでいる事も十分に理解しています。私自身、それを望んでおり、実現出来るように代表の仕事に取り組んでいるのです。でも、現代における世界のサッカー状勢は大変均等化されており、日本代表自体も発展途上の段階にあるのです。日本は熱烈なサッカー国であり、我々は今後更に進化を遂げるのです。現代に於いてW杯予選の様なハイレベルの大会では、サモア独立国、キプロス共和国、あるいは台湾など、プロサッカーが存在しない一部の国を除いては、大量得点での大敗は極希です。

現代サッカーでは、なかなか驚くべき結果は生じないのです。例えばオマーンの様に、実力で劣るか、又は、アウェイでの不利な立場である事を認識している場合、試合を守備的に展開し困難な流れを招こうとします。いわゆる敵のミスを突くサッカーです。でも、我々はミスを犯しませんでした。そして、勝利を得る事が出来、9試合連続無敗という結果を出しているのです。更には、この期間での失点は僅か2ゴールです。

決してこのコラムが、愚痴を発散する為のものではない事も明確にしておきたいです。私はプレッシャーに対する恐れはありませんし、監督としての去就問題に関しても気に掛けておりません。如何なるビッグクラブの監督も、契約を締結した時点で、当然の事ながらリスクを負っている事は理解しているのです。私も同様であり、特別視は願ってもおりません。自分が備わっている職務への責任に対するプレッシャーに関しても認識出来ております。我々は真剣に仕事へ取り組んでおります。私は過去、選手として今以上の苦悩を経験したのですが、当時はピッチ内において自力で解決する事が出来ました。でも、現在の仕事は選手達に全ての状況において、自分が蓄積した経験とノウハウを伝授する事なのです。我々は現状でのベストを実践しております。今後も更に進化していけると思っております。但し、可能であれば、私自身が理想だと思う、せめて15日間の全員選手参加による合同合宿での生活を共に出来たらと思います。現時点では、未だ実現しておりませんが、必ずベストなタイミングでその機会は訪れるのだと思っております。

実際にこの現状において、私を何よりも不快な気持ちにさせ、今回のこのコラムで取り上げる原因ともなったのは、日本代表監督の座にブラジル人である私の存在を不愉快に感じるプロの記者達による、ブラジルへの偽りと不一致なニュースの流出です。欧州人を監督に支持する一部の外国人ジャーナリストであり、決してローカル・メディアでない事を強調しておかなければいけません。我々の不支持者であり、事実を曲げて伝達するのです。彼らは、我々日本代表の日々の活動を見守る事すらせず、試合のみを観戦しマイナス要素だけを取り上げブラジル及び世界へ発信するのです。この様な現状を避ける事は到底出来ません。だからこそ、本サイトは偏見のない真実の情報を提供する源である事を主張したいのです。

最近では、外出時にファンからの応援の言葉を頂いたり、直接に私のみでなくサッカー協会へも支援の電話が掛かって来ています。遙か遠くより、ご支援及びご配慮頂いている全ての皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたく思います。ご安心下さい。我々の最大の目的である、2006年W杯予選突破を信じて、今まで通りの献身的な姿勢で仕事に専念して行きます。常にプレッシャーがつきまとうのも監督としての使命なのです…。
という事で…。
皆さん、また来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

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