ジャパンコネクション

不適切なシステム

[2004.02.17]

ジーコ監督W杯アジア予選を遠くから(ブラジルから)見守る人達には、ワールドカップへの道のりがいかに困難であるか想像も出来ないと思います。日本の立場のみ考えて言っているのではありません!この広大なアジア大陸に於いての激しいライバル意識の中、32カ国が僅か4つの枠を競い合うのです。各グループ4カ国の合計8グループで争われるW杯第一次予選は、各グループ一位のみが進出でき、正に壮絶な戦いが繰り広げられます。以前にも話した様に、些細な不注意も命取りになりかねません。W杯予選を戦い抜くのは、W杯本戦に挑むよりも難しいのではないかと思うくらいです。

各国は手段を選ばず、南米同様、陽の目を見る為にはあらゆる「武器」を使ってくるのです。代表はアウェイで、練習場の悪環境、ホテル、プレッシャー、更には警備の問題などに直面しなくてはなりません。その例として、W杯南米予選を標高の高いラパスの町で開催するボリビアの策略が挙げられます。そして、アジアでは気候の利点がその手段として使用されるのです。更には、ピッチ外での対立がグランドへ持ち込まれる事で、ライバル意識が今以上にヒートアップするのです。だからこそ、各サッカー協会はこの様な状況に常に注意深く目を配っていなければなりません。

私自身は、試合を盛り上げてくれる地域対決でのライバル意識を大変好ましく思っています。比較の対照にはなりませんが、試合自体の意味合いから考えますと、フラvsフル(ダービーマッチ:フラメンゴ対フルミネンセ)に匹敵するのです。この事は、あくまでもグランド・レベルに関してのみです。そして、「'70~'80年代リベルタドーレス杯」の雰囲気を漂わせるこの予選方式には余り好感が持てません。いわゆる、発展途上の弱小国がこの予選方式の利点を有効に活用し、W杯出場に値する強国を蹴散らす可能性があるからです。アジアには、プロサッカーさえ存在しない諸国が、日本、韓国、中国、サウジ・アラビアと対等に予選を争っています。この4カ国は、過去に重要なタイトルを奪取しており、歴史的な成果も上げ、更には安定したサッカーマーケットを保持し、常に進化を遂げているのです。その反面、W杯予選を戦う為のみに、チームを結成するアマチュアサッカー諸国が存在しているのも事実です。彼達の最大の目的は、番狂わせを狙い反響を巻き起こす事です。そして、サッカーは予測が出来ないスポーツであり、弱小チームが強国を下す可能性があるのです。果たして、この様なシステムが公平だと言えるのでしょうか?

私は、断固として民主主義及び平等権の支持者ですが、この件に関しては多少捉え方が違います。これ程までに不均衡なものを同一視する事は決して出来ないのです。そして、スポーツ進化論に於いて明確にレベルが異なる事からも、絶対的に考慮されるべき要素でもあります。世界で展開されているサッカーのレベルに相応しいワールドカップを開催する為にも、FIFAはこの予選方式を見直す必要性があるのではないでしょうか。この願望は、あくまでもユートピア(理想・幻想)だという事も認識しているのです。何故なら、FIFAの選挙戦に於いて各国が一票に値する事もあり、平等に出場権を与える事は政治的決断でもあるからです。でも、せめて提案し討論をする余地はあるのではないでしょうか。

ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、ドイツ、イタリアは勝者としての伝統を持ち、世界を股に掛け数多くのタイトルを手にしている事からも、何らかの差別化が図られるべきなのです。決して、全W杯に出場権を与える必要があるという訳ではありません。シード制の予備予選方式を導入する事が理想であり、それを実行する事で、サッカー先進国と今後大きく発展を要するサッカー途上国との判別が出来るのではないでしょうか。各大陸に、世界サッカーにおける勝敗の歴史と獲得したタイトル数等も含めた総合評価、更には各国のチームのパフォーマンスさえも対照とした評価を適応基準とし、ポイントを与えランキング付けをするのです。決してこの制度が、サッカー小国のモチベーション低下に繋がる事はありません。むしろその逆とも言えるでしょう。紛れもなく、今後は多くの国がW杯予選のみではなく、その他の重要なタイトルも含め必至に挑戦する事で、確実に実力を付けるのです。これにより、各国の代表は一年を通じてしっかりとチーム作りをする必要性に直面し、ラッキーチャンスの恩恵を被っての上位進出の余地がなくなります。

例えば、南米の場合、この方式を導入しますとボリビアとベネズエラは予備予選を戦わなければなりません。ヨーロッパでも、近年浮上しつつある国々に関しては同じ事が言えます。そして、アジアとアフリカでも同様なのです。再度繰り返しますが、決して伝統のみを判断基準にしておらず、どんな国でも戦わずして名声のみで出場権を得てはならないのです。但し、プロスポーツに於いて、特にサッカーに関しては、少なからず伝統を重んじる必要性があります。例えば、尊重に値し決して見下している訳でなないのですが、ベネズエラはブラジルとアルゼンチン同様のレベルには現段階では達していないのです。そして、アジアに於いての44カ国の内、残念な事に約20カ国は、日本、韓国、サウジ・アラビア、中国と戦えるだけの条件は残念ながら満たしておりません。
現在、FIFAはその年の勝敗のみに基づいてランキング付けをしているのが現状なのです。今後、FIFAはタイトルや勝敗など全ての結果を網羅する方法を考慮しなければならないのです。とは言え、我々は現行のレギュレーションに基づき戦わなければいけません。そして、日本は決戦へ向けて準備は万端なのです。オマーン、インド、そしてシンガポール戦が待ち受けており、我々は勝利を目指して闘うのみです。

という事で…、皆さん、また来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

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