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青の教訓 クルゼイロ

[2003.12.02]

ブラジル全国選手権最終節を待たずしてブラジルは既に2003年度のチャンピオンが決定しました。王者に値する素晴らしい功績で終盤2節を残しながら優勝を決定づけるには充分な勝ち点差を保ちクルゼイロはベロ・オリゾンテ市に初のタイトルをもたらしたのです。クルゼイロは今年度、州大会、コッパ・ド・ブラジルとブラジル全国選手権を制覇しており、一年を通じての活躍ぶりには称賛し喝采を送るものがあります。3冠制覇を成し遂げた真の王者なのです。

以前からも発言している事ですが、長いリーグ戦を制覇する事は、勢いやその場しのぎの対応によって得る事が出来る結果では無く、計画性を持って献身的にチーム作りに専念したクラブの努力に値する公正な結果なのです。クルゼイロの功績は、ブラジルの他の多くのクラブに対して、組織改革を行う為の大きな勇気を与えるお手本となることでしょう。サッカーがいったい何処へ向かっているのかを大部分のクラブ経営陣達がとっくに目覚めていなくてはならないのです。現状では猛スピードで通り過ぎる時代の流れに乗り遅れてしまうのです!

ジーコ監督 前後の活動を観察した限り、リーグ戦方式の大会を通じて終始他チームがクルゼイロを凌ぐ事は無理だったでしょう。この躍進は決して偶然ではなく、その証として、彼らは一歩つまづき負ければ敗退のトーナメント方式で行われるコッパ・ド・ブラジルも制覇したのです。否定の余地はないのです。現段階で3位のサンパウロに勝ち点差17を付け、殆どのデーターも含め、ダントツトップを突っ走っているのです。
これは紛れもなく偶発性の出来事でもブラジルサッカーの一時的な現象でもないのです。クルゼイロが築き上げた組織を見れば理解出来る筈です。チームが安心して専念出来る様にトレーニング・センターの増建設、計画性を持った選手のネゴシエーション、そして、監督が束縛されず自由にチーム作りプロジェクトを展開出来る環境作りを施したのです。これの効果として、耳に挟むのは不満不平や危機などではなく、建設的・発展的な発言なのです。

ここで重要な点は、クラブが選手の移籍交渉を大変効率よく行い、選手育成及びその他への投資資金を手に入れた事です。そして、選手補強は責任感を持って的確に行ったのです。まず、この組織改革に取り組むに当たり、クラブ方針である真剣さと計画性に完璧にマッチする指揮官を迎え入れたのです。80年代の常勝フラメンゴで私のチームメイトでもあったバンデルレイ・ルシェンブルゴ監督なのです。彼は再度能力の高さを証明してくれたのです。

ルシェンブルゴ監督のブラジル代表に於いての早すぎる解任は余りにも不正なエピソードなのです。ブラジルはその時点で予選2位のポジションをキープしており、彼自身良い仕事ぶりを発揮していたのです。勿論予言する事は不可能であり、決して彼はブラジルを世界チャンピオンの座に導いてくれたとは言い切れません。でも、内容的には良い方向へと向いていたのは確かです。彼が持ち得る指揮官としての能力と一個人誰にでも起こり得るプライベートでの問題を履き違えてしまった訳です。そして、彼の監督としての素質自体に誤って失格の烙印を押してしまったのです。これは大きな判断ミスでした。

zinho 監督でありながら、直接チーム構築にも関わり、クルゼイロをチャンピオン・チームに育て上げた功績が彼の能力の高さを再度証明してくれたのです。ルシェンブルゴの長所は、サッカー界に関わる利益や都合に影響されず、聞く耳を持ち的確に判断し必要な駒を揃えられる事です。人材の補強・放出に関しても能力を基準に判断を下したのです。攻守の切り替えのタイミングがしっかりとした攻撃的なチームを作り上げたのです。それだけではなく、私が現ブラジルサッカー界でビッグプレイヤーの一人に挙げるアレックス選手を見事復活させたのです。アレックス選手はフラメンゴで活躍できず忘れられた存在にあったのです。ルシェンブルゴは、彼の長所でもある特徴を生かし、中盤から前線でのポテンシャルを完全に引き出したのです。FKも精度の高い絶妙なキックの持ち主であり、この能力の高さの賜物として、現在僅か5得点差でチーム得点王のコロンビア人アリスチザーバルにぴったりつけているのです。事実は、選手のタレント性を正当に評価出来、持ち得る能力有効に生かせる手腕監督は常に他者を一歩リードしているのです。

但し、2-1でパイサンドゥーを下しタイトルを決定づけた試合ではこのアレックスに代わって出場した選手が輝いたのです。ここもルシェンブルゴの判断能力です。1987年に私自身一緒にプレーし全国選手権優勝を共にした、経験豊富な中盤の選手であるジーニョを起用したのです。ボタフォゴのバルド選手の様に目標達成の為にチームを一丸にする事が出来るプレイヤーなのです。そして強調したいのは、試合終了の笛が鳴るまで一瞬たりともチームは「勝ちゲーム」の雰囲気に陥ることなく、最後まで集中力を欠かさず真剣に戦い抜いたのです。要するに、クルゼイロは熟した大人のチームとしての姿勢、バランスの取れた選手層とオプションの多いチームを再現したのです。だからこそ、シーズン中盤に他チームよりも選手放出等による厳しい状況を免れたのです。

ブラジルサッカー事情を考えると全国大会24チーム出場で争われるのは相変わらず多すぎると思っているのです。目標として2年後22チームに絞る構想があるとも聞いています。良い兆しかも知れませが、方式を守り続ける事が重要なのです。問題は、既に多くのクラブが変更を要求し始めたことです。この様な問題とは裏腹に一年を通じて終始ナンバーワンのクルゼイロの存在が紛れもなく真の「青の教訓」を与えてくれた事でしょう…。

…と云う事、皆さんまた来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

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