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汚れたゲーム:ドーピング

[2003.11.04]

ドーピング約2週間前、名アスリート達に服用されているというニュータイプのステロイド成分THGの発覚のニュースがスポーツ界に於いて衝撃を与えました。このTHGはアンチドーピング検査では検出出来ない物質なのです。ドーピングは今始まった訳では無く、過去現在に於いて非常に真剣な問題であり、人々が反省し改めていく為にも常に議論されるべきテーマでもあります。成功を成し遂げた多くの名アスリート達がこの様な不正な手段を用いて勝利・記録を達成し表彰台を勝ち取ったのかと考えると大変残念であり悲しく思います。

サッカー界においては、スポーツ愛好者一個人としては1994年W杯での出来事が大変悲観的かつ残念でなりません。ディエゴ・マラドーナのあの目を疑うようなドリブルとファンタスティックなプレーの数々に酔いしれている最中に、突然、彼は不法な成分を服用しフィジカル面で恩恵を受けているという衝撃的なニュースが世界を襲ったのです。それは、1994年6月25日のアルゼンチン対ナイジェリア戦での出来事です。私は不意なニュースに驚かされたのです。マラドーナのドーピング検査でエフェドリンと他4種類の成分が検出されたのです。この様な薬は脳に刺激を与え血液の循環を良くし、酸素の供給を高め、疲れを抑圧し、反射神経等全体的にパフォーマンスを上げるのです。

あの瞬間、マラドーナの問題は彼のサッカー人生にピリオドを打つ事となった、現代社会に於ける薬物使用に対する物質検出では無かったのです。どちらが良いとか悪いとかの問題では無く、私はあの天才的なプレーに何らかの別の力が備わっていた可能性があると言う事が大変嘆かわしいのです。私はその様な事実は無かったと自身に言い聞かせ、悪い取り巻き達の影響によって彼は薬物使用へと走ったのであり、決してそれ以外の目的での使用が彼のサッカーを変えたのではないと信じたく思います。但し、このエピソードに関しては未だ明らかになっていない点が多いのです。

私は生涯アスリートであり、常にサッカー界で生き続けているのです。多くの仲間同様、私は常に努力を惜しまず日々トレーニングに励んで来たのです。16歳の時、将来フィジカルコンタクトに耐えられる様、筋力強化を速やかに施し肉体改造の必要性に直面し、筋力補強トレーニングと食事療法を集中的に行わされたのです。全体プログラムは2段階に分けられ、1行程を6ヶ月単位でクリアしたのです。日々何時間も特殊トレーニングをこなすと同時に食事コントロールも必須条件だったのです。直ぐに結果に繋がる訳ではありませんでした。日々のトレーニングを欠かさない事で徐々に努力が実ったのです。だからこそ、献身的な姿勢で勝ち得た栄光を不正行為な手段によって勝利を手にした人物と表彰台を共にする事が如何に辛い事であるかを想像出来るのです。
この様な現実はスポーツを愛する全ての人々を失望へと導くのです。果たしていったい誰が真の強者なのか・・・。勿論、栄光への野望、そして経済的安定など、その他色々と心理的にも複雑な気持ちが交錯しているとも言えるのです。その様な事から、多くのアスリート達が、薬物使用は健康を激しく害する事を知っているにも関わらず、自分の身体をリスクにさらすのです。今、現在何かを得る事で将来失うものも大きいのです。実際には、自分の命迄も失ってしまう可能性が大なのです。

サッカー界でも、数多くのプレーヤー達がドーピングによりサッカー人生に大きな影響をこうむるかまたは棒に振るかの寸前迄追い込まれたのです。マラドーナを英雄の1例として挙げましたが、他にもズデンク・ゼマン等のケースもあります。1998年、彼がローマの監督時代、「イタリアサッカーは薬局から縁を切らなければならない」というような発言がイタリアをスキャンダルの渦に巻き込みました。当時彼は、成分を摂取する事で筋肉増強に効果のある化学プロテインのクレアチンを例に挙げ、薬物の使用は慢性化されているとのコメントを述べたのです。既に補充食品とみなされており、現在でも多くの専門家達が同じ定義をしているのです。彼は、後に優勝を成し遂げたビアリ&軍団率いるユベントスに対し白羽の矢を向けたのです。ゼマン監督はユベントスの選手達があまりにも肉体的に優れており、そのプロセスが短期間で急激に行われたとの指摘をしたのです。勿論、彼は関係者から非難の的に晒されたのです。その後、イタリアではどれ程の問題が露出され、ドーピング問題が取り上げられた事でしょうか。

私は日本を12年間行き来しており、その間一度もドーピング問題を聞いた記憶がありません。極端に言えば、ドーピングに対し意識過剰とも言える程です。肉体的に不利な日本人は色々なスポーツ分野でスペースを失いつつあるとの指摘をする者もおり、私自身一理関連性があるのではと考えます。バレーボールを例に挙げますと過去日本は世界を圧倒させる強豪国でした。優れた技術と素早いプレー、そしてヂシプリン(規律)が常に日本の特徴でもあります。私自身、日本代表の試合を観てバレーボールを好きになったのです。初めてバレーボールの試合をマラカナンジーニョ(マラカナンスタジアム横の体育館)へ観戦に行ったのも、日本代表とその素晴らしいセットプレーを観る為だったのです。

サッカーでは日本人選手達の体格の差を身にしみて感じているのです。選手達は欧米人と比較するとフィジカル的に劣っているのです。フランスで開催されたコンフェデ杯でこの差は歴然となりました。この打開策として出来るだけフィジカルコンタクトを避けるシステムを見いだす必要性があるのです。

スポーツ全般を愛する一人物として、世界の権威ある機関が、THG等の薬物使用を撲滅出来るような措置をしてくれる事を願うまでです。まるで猫と鼠の鬼ごっこ状態だという事も理解をしなければいけません。何か一つを発見すると直ちに法を潜り抜ける別の手段を発明するのです。だからと言って努力を惜しむ訳にはいきません。ドーピングは、各方面で醜い傷跡を後に残してしまうと云う経緯からも、決して妥協せず幾ら金銭的負担が大きかろうが、絶対に阻止しなければならないのです。特にブラジルでは、全スポーツ協会が積極的に各大会前にはドーピング検査を行うべきなのです。常に闘い続けなければならないのです。自分自身の努力と汗の結晶で勝ち得る勝利程美しく輝くものはありません。そしてこれはスポーツマンとしての勝利のみでなく、人として真の勝者と言えるでしょう。

それでは、みなさんまた来週!

ジーコ直筆サイン

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