ジャパンコネクション

14試合を終えて

[2003.10.14]

ジーコ監督本サイトの公開となった第1回目では日本代表監督としての1年目に関しての総括をしました。あの時点ではまだ正確に1年が経っておりませんでした。私の日本代表監督としての実際のデビューは去年の8月16日に行われたのです。今回のこのコラムが公開される14日のちょうど1年前私は日本代表監督として初采配を採るべく、ジャマイカ戦への準備を始めていたのです。練習らしきものは出来ずに試合に臨み1-1で引き分けました。これが合計14試合の記念すべき第1戦目でした。

海外での貴重な2戦を終えた今がこのテーマに付いて語るには最適なタイミングではないかと思います。チュニジア戦(1-0)とルーマニア戦(1-1)、この2戦は我々にとって大変貴重な経験であったと同時にチームを総合的にテストする事が出来た素晴らしいチャンスでもありました。幾つかの課題を残すも、日々固定しつつあるベースとなるチームで臨むことが出来たのです。現段階ではメンバーが完全に決定しているとは言えませんが、私も含め常に代表の進展を見守っている者には、例えば現時点での中盤はと言えば小野・稲本・中田・中村で構成されるカルテットが理想だと自ずと見えているはずです。ベースは出来ているのです。但し、ピッチ上の選手間でのコミュニケーションをもっと多く図る必要があります。経験上、中田選手がこの役割を果たしておりますが、チーム強化の為には他の選手達も積極的に対話を試みると云うのが我々の目的でもあります。

14試合代表の指揮を執り、「ヨーロッパ組み」のほぼ全参加を得る事が出来たのはフランスで開催されたコンフェデ杯、そして今回のアフリカとヨーロッパで行われた試合のみです。今回のアフリカとヨーロッパでの試合には全クラブが快く承諾してくれたのです。問題は日本で行われるホームゲームです。長旅と云うこともあり各クラブは選手を手放したがらないのです。必ずといって良いほど日本サッカー協会に交渉してくるのです。

全勢力で臨める最後のビッグチャンスは11月19日に行われる大分でのカメルーン戦です。そして、日本で開催される東アジア大会では、FIFAオフィシャルマッチデーでは無いと云う事もあり、数多くの選手達の収集に対しての交渉を行わなければいけません。ただ、この12ヶ月間での大きな収穫はそれぞれのポジションに対してのオプションを見極める事が出来た事です。様々な形でのテスト、長く代表を離れていた選手達の起用など、数多く選手達を観察し真剣に取り組んだ結果、少なくとも各ポジションに2名の候補がいるのが現状です。来年2月から始まるW杯予選を戦う為への最大の要素、それはチーム内でいかにポジション争いを活性化出来るだけのメンバーが揃っているかなのです。

クラブチームの様に日々活動に従事出来ていれば、もっと短いスパンで何れかの課題は解決出来ていたのも事実です。長い時には約2ヶ月間の空白、それも同じメンバーを収集しチームを構成出来ない場合は、メンタル的な面を主に優先して来ました。すなわち短い期間内で時間不足を補い良い結果を出す為には、選手達とのコミュニケーション、精神的な面でのサポートなど、自身の力を信用し己に自信が持てるように努めて来たのです。

勿論、これらの役割を私が一人でこなしている訳ではありません。日本サッカー協会と云う恵まれた環境、真剣さとしっかりとした計画性に基づいた素晴らしい組織、そして才能豊かなスタッフ達に支えられているのです。我々テクニカルスタッフは4名で構成されており、日本サッカー及び海外でプレーしている選手達の情報を詳細に於いて常時把握すべき活動をしているのです。個別に分かれて試合観戦を行い、各自レポートの作成をし、定期的に会議を開き、全員でプロジェクトに取り組むのです。

アシスタント・コーチは私の実兄エドゥー・コインブラです。彼の元プレイヤーそして監督としての広範囲なビジョンが日本代表進化プロセスに於いて欠かせない重要な役割を占めています。ゴールキーパー・コーチは私の古くからの友人である、フラメンゴの元ゴールキーパーのカンタレーリ。彼は、ゴールキーパーのみでなく、全てを観察し、アクティブに全面的にバックアップします。そしてフィジカルコーチは里内コーチである。名前の通り純粋な日本人であり、真のプロフェッショナルと言えるでしょう。彼はコンスタントにクラブとの情報交換を行い常に状況を把握し、代表が活動する短期間での選手達の効率アップを計っているのです。更に、もう一人常にサポートをしてくれる和田と云う人物がいます。彼は、我々の活動と相手を撮影し、分析やスカウト等を行っているのです。

簡単に日本代表での我々の仕事の流れについてお伝え出来たかと思います。今迄、私達を応援して頂いた全ての皆様に感謝致します。未だ、日本代表の目標は達成されておりません。これからも険しい道のりを歩み続け進化して行かなければなりません。但し、そこへたどり着く為の素晴らしい環境は整っているのです。7月の時点で私はアフリカ勢と対戦したいと言っておりました。現実となり、残りはあと1戦です。その後、W杯予選へまっしぐらに臨むのみです。私は日本代表の実力を信じています。

それでは、また来週お会いしましょう!

ジーコ直筆サイン

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