ジャパンコネクション

監督としてのミッション(使命)

[2003.07.14]

ジーコ監督“私は日本代表のEVOLUTION(進化)に満足をしている”

この週間コラムでは、私の日本代表での仕事、またはサッカー全般・インタビューなどについて、ほぼ毎週東京より皆さん直接お送りします。但し、この記念すべき第1回目は、私が7月上旬よりリオに滞在していることもあり、CFZ(ジーコサッカーセンター)のデスクで書き上げました。公式サイトの公開に合わせて、今回は「私の1年目の日本代表監督としての総括」をすることにしました。

W杯直後に日本代表監督に就任しました。誰しもがご存じの通り、私は監督業に就く事など一度たりとも脳裏によぎった事がありませんでしたが、今回、新たなる挑戦と私を常に温かく迎え入れてくれた素晴らしい国からのオファーに対して期待を裏切る訳にはいきませんでした。今現在、この1年間を振り返り、結果を分析し、満足をしていると言っても過言ではありません。全10試合行い、良い収穫を得たと言えます。コンフェデ杯を終え、来年から始まるW杯予選に向けほぼ80%ベースとなるチームの母体が出来上がったとも言えます。代表で今迄活躍・貢献し続けて来てくれた選手、これから活躍・貢献してくれる選手など、選手個々のサイクルを見極める事も出来ました。

後期最後の追い上げとなる、合宿も含めた親善試合、韓国戦・アルゼンチン戦・パラグアイ戦、さらにはフランスでのコンフェデ杯も含めると約40日間選手達と日々を共にすることが出来たわけです。その間、彼達一人一人と話をし、自分の監督としての哲学を伝える事が出来、チームの戦い方を明確化しました。技術(technics)・戦術(tactics)面を重点的にトレーニングすると同時にチームに対しての要求も厳しくしました。個々の選手達を知る為にも大変有意義だったと思います。

コンフェデ杯以前は、チームを2・3日前に集合し試合に臨んでいました。私のデビュー戦となった10月16日のジャマイカ戦は僅か2日間という短い期間での選手達とのコンタクトの中試合に臨んだ訳です。それにも関わらず、私が理想とも言えるメンバーでチームを構成できた唯一の試合だったような気がします。選手達はW杯を戦った直後でしたので、特にこれといった練習もしませんでした。また、他の幾度かの試合では12~15時間の長旅からそのまま休む間もなくピッチに立たせた経緯もあります。彼達のプレーを見る為にも、理想なフィジカルコンディションでなくても起用する必要性があったからです。

第2戦目は、アルゼンチンとの親善試合でしたが、私の実の母の死という不幸があり急遽リオへ帰国することになり、直接ピッチ上で指揮をとることは出来ませんでした。2003年に入り、3月のウルグアイ戦はイラン戦争勃発によりアメリカ遠征がキャンセルになったことで5日間の練習期間を設けることが出来たのです。しかしながら日本で開催されたこのウルグアイ戦も、ヨーロッパ組みの何選手かは試合前日にチームに合流という状況の中戦わざるを得ませんでした。

実際には、東アジア大会がSARSの影響によりキャンセルになったことで、最後の数ヶ月間でもっと密に練習に励む時間が調整出来たのです。1週間以上チームとして練習することが出来、その後再びアルゼンチン戦、そしてパラグアイ戦に挑みました。フランスでのコンフェデ杯ではコロンビアと対戦するということもあり、南米の国々との試合を要請した訳です。私は現時点では試合の結果には固執しておりません。最大の目的はいかにチームを進化させるかであり、その為には常に強豪国との対戦を求め続けます。仮に弱小国と試合をし、大差で勝利を収めてもさほど意味はないでしょう。我々の方針に対しての成果はフランスで実証出来たのではないかと思います。対フランス戦は日本が大量得点を浴び大敗するのではと確信していた方も少なくはなかったのではないでしょうか。但し、その予測は間違っていたことをお見せすると同時に、さらにはアウェイにも関わらずディフェンディングチャンピオンを下すことだって可能な状況だったのではないでしょうか。

私が監督として抱えている問題はおそらくどの代表監督とも一致するのではと感じています。その最大の問題は時間です。実際には限られたメンバーのみが召集され、現段階では自分が最強だと思うメンバーを全員一度に集合して試合に臨むことが出来てないのが事実です。

コンフェデ杯の直前には5人の主要メンバーを怪我により欠き、大変困難な事態に直面しました。急遽他の選手達を収集したのですが、彼達は自チームでもベストな状態ではなく、ゲーム感も今一歩でした。このような状況にも関わらず、予選ラウンドで敗退したとはいえ、上々の結果を出すことが出来たのではないかと思います。

年末迄の私の目標は日本をアフリカの国々と対戦させることです。なぜなら、世界サッカーにおいて近年もっとも進化を遂げているからです。出来れば技術的・フィジカル的にも優れているセネガル・カメルーン・ナイジェリアとのゲームメイクを実現して欲しいと思っております。さらに2004年には、海外でのアウェイゲームをもっと数多く可能になればと期待しています。不思議にもアウェイでのゲームの方が良い結果を出すことが出来ているのです。6万人のアウェイサポーターで埋め尽くされたソウルでの韓国戦での勝利のように。日本はそれまで韓国との対戦歴史に於いて僅か2勝しか挙げてなかったのです。そして、チームワークの強化の為にも可能な限りチームを集合しトレーニングを行う予定です。これからも日本は多大なる進化を遂げることが出来るでしょう。でも、現段階での状況には私は満足をしています。

来週は東京からお送り致します。

では、またお会いしましょう。

ジーコ直筆サイン

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