ジーコの部屋

O nome errado 名前が違う

もうワールドカップがすぐそこまでに来ている。2002年から始まった集積の最高点が示される時だ。注意を研ぎ澄ます時、集中と良いプレーが最大限に出される時だ。そんな緊張感が高まる中でもここボンでは時折、笑いの渦がひと時のリラックス状態を招いている。

期待と不安が入り混じる状況の中でも何かをネタに冗談を言い合ったりする事を見つけ、ストレスを和らげる事もある。われらのフィジカルトレーナーが里内なら、楽しい雰囲気はいつも絶える事はない。

里内は日本人にしては珍しいくらいブラジル人気質が混じっている。私はいつも言っているが、知識を得る事は文化の違う民族と接して吸収してなされるもので、私自身長年日本に居てその文化の影響を受けている事を感じている。彼の場合も日本に居ながら周りに居る多くのブラジル人の影響を受けているのは間違いない。私以外にエドウー、カンタレーリにリカルド、今では更にジュニオールとチッタもいる!そうなんだ、プヒーニャ(楊枝のゲーム)にはまっている日本人がいるよ。里内は我々と反対の位置で影響受けている。

仕事になると彼は真剣だ。日本でも指折りのプロフェッショナルで、比較的飽きが来るフィジカル練習でもそうならないように色々と手を代えて取り組んでいる。創造力を駆使して大体が嫌がられる練習を考えている。ピッチの外では時折ブラジル人よろしくオモロイ里内に変身する。彼はもう何度かブラジルを訪れているし、ブラジルが大好きでポルトガル語もそこそこ話す。彼は良くブラジル人の真似をしたりして笑わせるが、例えば鹿島のパウロ・アウトゥーリとか、話も付け加える。先週は真さに彼が話題の中心だった。

コーチ達が輪になってドイツ戦で負傷した加地の問題を話していた。加地は中々回復状況が進展していなかった。ワールドカップが近づいて多少気にしていた。

しかし、里内は状況を希望的観測に語り、ドイツ選手の悪質なプレーをターミネーターだと言った。私達は彼の言う事が解らなかったが、構わず彼は質問して来た。

「加地を負傷させた選手は何て言う名前だ?」

誰かがそれは中盤のシュバインシュタイガーだと答えた。危険なスライデングをした同選手は退場になっても良かったのにイエロカードさえ出なかった。

里内は頭を横に振りながら否定するように言った。

「シュバインシュタイガー!! 違う、違う、少なくともあの削り方を見る限り彼の名前はシュワルツネッガーだ!!」

一瞬全員が爆笑に陥った。確かに名前が似ている。あの未来のターミネーターを演じた現カリフォルニア州知事だ。

緊張を解す里内が皆をリラックスさせたひと時である。彼は役者だ。

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