ジーコの部屋

Os meus morangos 我がイチゴ

このコーナーで以前、フラメンゴの黄金時代のマネージャーだったドミンゴ・ボスコの事を書いた事がある。マラカナンで試合の後、私の洋服が無くなった話で彼の賢明さに注目した事を覚えているかな?そう、サッカーの世界ではいつも言われているようにボスコ自身にも結構迷信深いところがあった。 

彼は我々選手のことを"名人"と呼んでいた。だが、本当に名人でなければいけなかった!私達には何も不足している事は無かった。暇も時間も。今から話すことは彼の迷信的な部分と"こうでなければいけない"という少し強情な部分からくる事で結果はOKみたいな話である。    

イチゴ。私はイチゴが好きである。デザートにはどちらかと言うとイチゴを優先的に考えるのは今日まで変らない。ある日曜日、フラーフル(フラメンゴ対フルミネンセの伝統の戦合)戦の前日合宿での事だった。アジーリオ、トニーニョ、クラウジオ・アダンにジュニオル等がデザートにイチゴが無い事を知った。彼等の一人が合宿所の支配人であるゼーとボスコの立ち話を耳に挟んだのだ。ゼーは街中を探し回ったが、一つもイチゴを見つける事が出来なかった。果物は時期はずれだったのである。                  

「名人にイチゴが無い??イチゴが無ければゴールもうまれないよ。」 とボスコは言った。選手達はマネージャーに圧力を掛けた。私も少し加担した。もちろんみんな冗談で言っているのだが。  

だが、ドミンゴ・ボスコは真剣になっていた。いきなり車に飛び乗るとカノアス街道へと走り出していた。その街道は合宿所のあるサンコンラードからバーハへ抜ける道である。彼は以前その辺で仕事をしていた事があり、街道筋に野イチゴが出来る事を知っていた。許可など得る事もない、車を止めると野イチゴを取り集めた。彼が合宿所に笑いながら戻って来たとき我々は昼食をしていた。ボスコはわたしのテーブルに 近づいて言った;
「イチゴが無いからゴールが出ないなどと言わせないぞ。クリームを乗っけて食べてくれ、私の名人よ。後はマラカナンで君のやる事をしてくれ。」         

全く驚きである。試合で私は2ゴールを決めてフラメンゴはフルミネンセに4対0と言う圧勝をしたのだ。そりゃ彼はイチゴ話をするのしないのって大変だった。しかし、その後支配人のゼーが辞めて、新しいエミーリオになった時に又心配事が残った。ボスコが新しい支配人にその事を説明したかは知らないが、1日目にはエミーリオが私に近寄ってそっと囁いた; 

「ジーコ安心してもいいよ。イチゴは不足しないからね。」       

こんな調子で私のイチゴ迷信は伝統的なものに定着した。いつもイチゴが不足しそうになると、選手達が敏感になり合宿所に騒動が起きた。私のゴールが出ないとか。私達は何度もこのイチゴ伝説で楽しんだものだ。だが、一つ私は言う事がある;イチゴはいつも効いていた。


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