ジーコの部屋

Camisa ‘carregada’  "不機嫌"なユニホーム

私は魔法使いを信じない、だけどそれは居る、居るのだ・・・。この迷信は随分昔からある。だが、ときどき説明もつかないような異常な現象に出くわした時、二度考えずに魔法使いのせいかもしれないと思わざるを得ない。全く世の中では理解できない事が起きるものだ。サッカーの世界ではそのような出来事のほとんどが奇怪であり、更に迷信的な話を付け加える風習がある。もう私はあまり癖・ジンクスが無い事は話したと思う。また迷信家でない事も自覚している。だけど、何度か不思議なことが自分に起きた事がある。その一つ、1996年に静岡の選抜チームと試合をした時の事がある。         

私はプロ選手を鹿島アントラーズで引退して2年もプロサッカーをしていなかった。だけど、草サッカーは辞めてはいなかった。いつもベテラン達の混ざったチームで遊んでいた。チームにはフラメンゴで共にプレーしたアジリオ、アンドラーデ、ヌーネス、ヘイナウド、ジャイメ、ジュニオル、マガール、マウリーシオ、ベンジャミンやその他。その年には私達は日本を訪れ、何試合かの親善試合をした。CFZ・リオの現役選手だったフェリッペ・バーラとピッタも入れ補強した。                

静岡との試合は開始後間もなく相手チームが1点入れた。15分もの間、相手の一方的な攻撃で我々は攻められっぱなしだった。その中に一人、やたらと上手い少年がいてゴールを決めた。中盤にいる彼を止めるのは大変だった。試合はきつかった。私はサッカー人生の中でも滅多に無駄にしなかったゴールを信じられない状況でミスした。ほんとにおかしかった。バーの下にいて、おまけにキーパーが居ないのに、ボールは入っていない。誰もが信じられない顔をしていた。私など当然だ。  

ハーフタイムで更衣室に戻った。戻るなり私は何故だか早く脱ぎたくて急ぐようにユニホームを脱いだ。周りで見ていた仲間はその光景が驚くくらい異常にも見えたそうだ。マッサーのヴァウミールに新しいユニホームを頼んだ。汗でビショビショになるのは、それは全く普通のことだ。だが、あの日、私は特に疑問が有った・・・おかしな事に後半になったら全く試合内容が変ってしまったのである。私は散歩するかのようにプレーが楽になって、たちまち6対2と逆転してしまった。その内3得点を私がしたのだ。その上アシストを一回した。何だか良く解からない。しかしあの前半で使ったユニホームは何か異様で霊的なエネルギーが染み付いていたみたいだ。私のユニホームでは無かった。迷信かどうかも解からないが、事実、ユニホームを変えた事で効果があったのだ。私は告白するが、あの後半の45分はまるきり別で、体も軽く感じていた。まったく訳が解からない!             

あの試合で、あの奇怪な"少なくとも私には"出来事以外でも面白い事があった。あの我々にがんがん攻めていた少年だ。サントスにその少年を紹介して貰った。あの頃鹿島で仕事をしていた私は、二度考えずに、少年を鹿島に来てプレーするよう招待した。だが、17歳のその少年は既に浦和レッズと契約していた。そう、その私を魅了した少年とはあの中盤の小野伸二である。今はフェイノールドでプレーして、代表選手でもある。

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