ジーコの部屋

Tem que acreditar...  信じないと駄目だ

私には現役時代、多くの職人的センターフォワードとプレーする喜びがあった。彼等は前線にいてアッという間にキーパーと一対一になる。時にはボールが彼等を追っているのかと言うような錯覚にも陥ったものだ。ボールはあっちへ行き、こっちへ行き、その内に彼等の足元に止まっている。彼等はゴールを決める。あの驚異的なフラメンゴにおいても大変質の高いセンターフォワードと一緒にプレー出来たが、それ以上にチーム全体がゴールをする事を知っていた。もっとも誰も彼もが攻撃陣みたいにネットを揺らしていた訳では無いけれど。 

いつも皆で話している時に、ゴールを決めた回数の少ない仲間達に対して"私のそばにいても駄目だよ"と冗談を言っていた。"もし私よりも前にいればボールをパスしていたが、私より後ろにいる時は私と一緒に走ってゴールを祝さなければいけない"それで皆は"そりゃあ運がないと駄目だ"とか言っていた。私は機嫌良く理論的に述べた"みんなさあ、ミステリーなんて無いよ。コツは信じる事だ、信じないと駄目なんだよ"

彼等は"信じているよ・・"などとぶつぶつ言っていたが。私のシンプルな説明に反抗的になって、なんでも私はエリアの中で運が良いからたくさんゴールをするのだとか言い合っていた。でも私は聞き流し、"信じないと駄目だ・・・"という事を漂わせておいた。

こんな懐かしい合宿での議論の出来事がバイーアのフェイラ・デ・サンターナ市へ地元のチームとの試合のために遠征した時にあった。試合は楽勝だった。皆が得点をするチャンスがあると言っていた。我々のチームはその通り、早くも4点、5点取り、5対0にしていた。まだ得点していない選手は得点を決めることに飢えていて、我々のチームはまるで飢えた獣集団みたいに襲い掛かっていた。

そうこうしている内に、トニーニョ・バイアーノが右サイドでフリーになりボールを受けた。タッチラインに向かって走るのを見て全員がエリアに走った。みんなして怒鳴っている:"ジーコ、前から下がって後ろに回れ!今度は俺たちの番だ!"トニーニョはコーナー付近に入り、丁寧にボールを構えると後ろに丁寧にパスを出した。エリア内にはフラメンゴの赤黒のシャツがヒシメキ合っていた。  

ニアサイドにはチッタがいたが、位置を間違えた。すぐ後ろにクラウジオ・アダンがネットに穴を開けるぐらい近くて良い位置にいたが、空振りした。アジーリオも勢いよく飛び込んだがその時に転んでキーパーと絡まっていてボールに触るどころの騒ぎではなかった。ボールはご丁寧にも私の方に向かって来て居た。私は皆の後ろから来ていて、ファーポストの近くに寄っていた。後は来たボールをネットの奥に押し込むだけだった。

チーム全員が私に吼えた:"それ見たことか、畜生!!皆がボールに向かって行ったのにジーコがゴールをしてしまった。運がいいに決っているよ!"。

私は返答した: 

「昨日皆に言ったじゃないか。信じないと駄目だって。だから僕はいつも信じているよ。みんなは絶対にミスをするって僕が信じていなかったらゴールも出なかったよ。だから信じないと駄目なんだよ"」

・・・一瞬沈黙が流れた。・・・その後は爆笑になった。またしてもフラメンゴの勝利で教訓が残った: 信じないと駄目だ。



2004.10.6

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