ジーコの部屋

Roupeiro trocando a lingua  言葉を取り替える用具係

多くのゴール、数々の勝利、そしてタイトル。これらはサッカーチームが目標にする最も大きなもの。これらには選手や監督、役員などの以外にも沢山の人が関わっている。その周囲にはいつもマッサーや、ガードマン・・・用具係もそう、それぞれのプロが役割の責任を分担していて、ほとんどが試合を観ることが出来ない。   

例えば用具係(ホペイロ)、最近では執事とも呼ばれているが、普通は誰よりも早く一番に更衣室に入るものだ。彼の仕事は試合で使う用具からユニホームの用意をすることだ。ユニホームの番号順に並べて、スパイクもいっしょに置き、選手個々の希望によっても対応している。私の時代ではスパイクを柔らかくするという事が行われていたが、最近はテクノロジーのお陰でそれもする必要もないようだ。

さて、チームはピッチに入っている試合中には、ホペイロは更衣室にとどまりハーフタイムに取り替える別のユニホーム・セットを用意し、なおかつ選手達の個人的な荷物の見張り役にもなる。それでも時々脱け出して試合がどうなっているかを覗きに出ることもある。

今回のこのコーナーではこうした縁の下の力持ち達へ祝福する意味を含めたい。サッカーの世界で精一杯やっているのだが、わりと忘れられてしまいがちな彼らのために。それにこのコーナーではいつも過ぎたことについてエピソードを思い返したり、面白い話を載せたりしているのでね。フラメンゴでプレーしていた時の中で、いくつかの中から一つ選んで見た。そんな話をよく合宿で話題にしては皆で笑い転げていたものです。

フラメンゴがアジアツアーに出た時の事だった。行き先は韓国。いつもの事だが、フェフージェンというフラメンゴの伝統的なホペイロが更衣室にいた。後半に入って彼は最後の準備を終えて、ちょっと試合の様子を見に出た。更衣室のドアからすぐ近くに立っていた。 

遠かったがピッチでは大変な喧嘩が起きているのが見えた。親善試合では珍しいことである。大体がいつもホームのホスト役がいっぱいいて尊重されるものだが。しかし、あそこでは喧嘩が起きていた、何が起きていたかというと選手達が入り乱れていたのである。フラメンゴと相手チームのがね。おまけにホームのチームは韓国と来ている、それだけでも本気なのだ。あっちに走り、こっちに走り・・・その内に回りにいた者も入り込んで大変な騒ぎになっていて何故だかみんな選手たちの後を追いかけていた。

フェフージェンは更衣室にさっさと戻り、ドアに鍵を掛けて中でじっと待った。震えながら。選手達が戻ってくるのに時間はかからなかった。そしてドアを開けようとしたが・・・・

「こら、フェフージェン早くドアを開けろ!!」 選手達が口々に怒鳴った。     

天国のキーを持っているかのように落ち着き、言い放った質問は歴史に残るほどだった 

「僕はどうしたら君らがフラメンゴの選手なのかそれとも韓国人かわかるのだ?」  

一瞬一同沈黙したが、選手達の慌てる気持ちが激怒に変わるには十分だった。     

「おお、神よ、フェフージェン、俺達はポルトガル語で言っているんだぞ!!韓国人はポルトガル語を話さん!!さっさとドアを開けろ!!」

彼は恐る恐る開け、韓国人たちがピッチを横切ってくる前に全員中に入ることが出来た。

だが、フェフージェンはもう少しで袋叩きに合うところだった。選手の一人はホペイロを殺す勢いだったが、そのもう一つの一言で危うく収まった;

「僕は絶対韓国人ではないと言う確信が欲しかっただけだ。だってここでは僕がみんなの荷物の面倒を見ているんだぜ!!」

その言葉に全員何か言う気力が無くなってしまった・・・・・・・・



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