ジーコの部屋

Radio pirata 海賊ラジオ

ラジオ近代では監督と指導部の間で無線機などを使って交信するのは珍しくない。試合が良く見える場所とかスタジアムのキャビンの中とかでね。普通こういう状況になるのは大体が監督自身退場を食らったりしてフィールドに居られない時が多い。このシステムは普通「後見機器」とも呼ばれていて、監督が補佐との間で聞いたり指示を出したりあるいは良い場所で見ている補佐からの情報を聞いたりしている。
これの基になったのは一般が聞いているラジオの実況放送であり、それが結構役に立っていた。フィールドでは試合の戦術展開を把握するのに大変であるからである。

1993年に日本で必要に応じてそのやり方を応用した。その時今考えるとまったく可笑しい事が起きた。私のJリーグ一年目であり、鹿島での2年目のこと。試合に出ていない時は、選手でありながら監督業も兼任していた。そういう時はベンチに入れなかった。ベンチに入っていると出場する選手として見られ、そうなると交代選手の座を一人分少なく成る事にも成ったからだ。そこで、べつの場所から試合を見ることになり、そこから通訳の鈴木を通し選手に指示を出した。

この無線機でのやり取りには色々と問題も生じた。ホームゲームの時は居心地の良いキャビンで試合も良く見え、私のウオーキートーキーも完璧だった。しかし相手のホームになった時は・・・・・まず困難であった。私がこれを上から見てやって試合運びのアドヴァンテージがある事に皆が気付くまでにそう時間が掛からなかった。 試合前のミーテイングもハーフタイムの助言も戦術変更,選手交代も全く普通にやった。そうしたら相手達は私を見えにくい居心地の悪い場所に座らせるようにした。ゴール裏とか、更衣室の近くとかね。だけどそれ以外方法は無かったね。

あのシーズンの幾つかの試合は凄く競争力のあるいい試合をした。私は鈴木とは凄く話をした。ある時、鹿島での試合でどうも音がはっきりと交信していないことに気が着いた。聞こえないことは無かったが、普通ではなかった。その時は大して気に止めなかった。その内に芝生の上を数人の警察官らしき人物があまり友好的でない表情で何かを探すように動き回るのが見えた。どうも鈴木の近くに寄って行くではないか。その意味が解明したのは試合が終わってからであった。私達は警備の交信波長に入り込んでいたのだ。これは違法である。もう少しで我々は逮捕されるところだったのだ。彼らの仕事の邪魔に成るだけでなく私と鈴木の会話は法律の代理である人達に取ってギリシアか何処か理解出来なかったであろう。恐らくどこかのテロリストなどと思って居たかも知れない!!

総てが判明したあとで、試合の前に鈴木が何気なしに意図も無く無線機をいじって波長を少しずらせてしまっていたことを発見した。あれ以来,我々は波長の確認を事前に行うようになった。だけど、私は告白するけど、試合で機器を使う時には以前と違う気持ちになってしまう。試合中いつも近くに警官が居るとつい心配になってしまう。あることわざがあるね、「やけどをした猫は冷たい水も怖がる」ってね。 

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