ジーコの部屋

O confuso horario ややこしい時差

海外へ行ったことがある人ならば、この時差というやっかいな事を体験したことだと思う。向こうへ行けば違う時間、こっちへ帰ればまた元の時間・・・ワールドカップやオリンピックなどが開催される度に時間のズレで迷う事が起きる。例えばブラジルと日本では日付が変る。電話で話す時、"こんばんは"と言えば"おはよう"と言う返事が返って来る。

この状況はさほど大騒ぎして説明するような事でもない。これは我々が住む地球上で距離を移動すれば起きる事である。この距離を測るのはイギリスにあるグリニッジ天文台を基点とする子午線で決められている。この線から東か西へ向かって時間が計算される。

まずはじめにこの説明をしたのは、このコーナーで有名になった良き仲間のペウーと時差に関する話をするためである。

1981年に東京で行なわれた世界クラブ選手権・トヨタカップで優勝した遠征にも"ヒゲのペウー"は一緒だった。リオデジャネイロを出発し、米国のロスを経由した。それから東京へ向かったわけだが、アメリカの地ではペウーに対し、日本ではヒゲを生やす外国人の入国は禁じられている、などと既にからかい話しで盛り上がっていた。

ブラジリアの時間と東京の時間差は12時間で、日本が12時間進んでいる。ロスはブラジリアより5時間遅れている。我々が何度説明してもペウーには理解出来ていなかった。実際にはこの説明にはあまり関心を持って聞いていなかったようだ。彼の頭は拒絶反応をしていたようだ。

「あ、あ、あのさあ、み、み、みんな、お、俺が知りたいのは、ど、ど、どうしたらお、お、お母ちゃんと話せるのかなあ・・」

ロスでペウーは電話ボックスに向かって行き、国際電話をしようとしていた。アラゴアスに電話する準備は出来ていて、誰かに助けを求めた。その時意地悪好きなハウー・プラスマンが妙案を思いつき、手助けに近寄った。

「いやあ、ペウー!僕だったら今電話をするのはあきらめるね。僕等は今5時間遅れた場所にいるんだ。時差というお陰でね。君の時計は今午後5時になっているだろう?そしたら向こうはプラス5時間なんだよ。つまり君が今電話すると、君のお母さんは夜10時に聞くことになる・・・」

本当の事だった。頭を冷やして考えれば違う場所では時間も違うが、しかし同時刻に話す事になる。しかしそのことはペウーの頭の中でとてつもない苦しみを与えていた。頭を掻きながらうろうろ歩いて何とか理解しようとしていた。何でそんなに理解するのに時間が掛るのだ? 本人が正直に聞こうとするのを遮るようにハウーは追い討ちを掛けた。

「そうなんだペウー。それにまだあるよ。お母さんの返事も遅れるよ。時差とは大変なことなんだよ。」

ペウーは慰め様がなかった。彼はとっさに母親に電話をすると、その返事は5時間後に戻って来ると思ったらしい。ボックスの中で5時間待つ?そんなことしていたら東京へ行く飛行機にも乗り遅れてしまう。彼はもう考えるのを辞めて諦めた。

「も、もう辞めたよ。駄目、駄目だよこれは。この、な、な、なんだか、わ、わ、わからん時差とかは俺にはいらないよ!」

これには又皆で大笑い。そこで又、詳しく説明してやっと誤解を解いてやった。そして彼は直後にアラゴアスのお母さんと話が出来た。彼は本当に時差でボケていたのだろうか!




2004.9.1


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