ジーコの部屋

Negocios da China 中国式商法

このサッカー界にいることにより、色々な所を歩き回って知る事が出来る。国や町など世界紀行でもその幾つかを紹介してます。今私の横には日本代表スタッフがいつも一緒にいる。そのスタッフの中でも特に私の兄のエドウー、 GK コーチのカンタレリ、フジィカルコーチ里内とフィジオセラピストのリカルドと一緒に街を歩くことにより楽しさを倍増させてくれる。

チェコのプラハではクリスタルを売る店の売り子が私達のあまりにも多くの質問に気が狂いそうだった。スタッフは我々がかなりの買い物をするだろうと期待して、気を使っていた。二日間に渡り店に行って、店内にはクリスタルがあっちにもこっちにも箱が散らばっていた。恐らく売り子は最後にはその騒ぎにがっかりした事だろう。

カンタレリが一番の値切り屋だった。エドウーはあの有名な“指”を使って品調べをして押したりしていた。それに火を加えるようにリカルドが事を複雑にしていた。その状態を里内がうまくまとめて表現する。彼曰く、エドウーが爆弾を持って来て、リカルドがそれにガソリンを掛けそしてカンタが火を付ける。とんでもない爆発である!

ここ重慶でもいつもと変らなかった。我々は買い物に出かけた。エドウーが半そでのシャツを買いたいと言う。なにしろここの暑さは只事ではない、夜でも40度近いのだから。リカルドがある店で足を止めた。どうやら爆発の被害者に適した売り子がいるのを察知したようだ。売り子は売るための努力を惜しまなかった。次から次にシャツを持ち出して見せる、ズボンを棚から下ろして来たり、その後は半ズボンも出て来た・・・店の品物総てが私達のいるカウンター上に並べられたような状況だ。売り子はかなりの量が売れるものと思っていたのだろう。

実際はそんなものでは無かった。私達はエドウーのために一緒に行っただけなのである。それなのにリカルドもカンタもあれこれと値段を聞いて売り子を有頂天にさせていた。彼は何としても売りたがっていたのだ!エドウーが買いもしない靴を試すまでになっていた。説明も無いままエドウーが手にする物総てが並べられた。

「この靴は中々良いよ。セニョールはきっと気に入りますよ。それに値段も安いし。」売り子が言った。

中国語に少し英語とあとゼスチャーを混ぜてね。

実際にはあの一足は店にあった唯一の品物だった。売り子はそれをエドウーに売ろうとしていたらしい。エドウーは座り、靴を履いて見たが、どうやら自分の足のサイズに合わない事になった。靴はえらく大きかったのだ!

だがその売り子、疲れ知らず簡単には諦めなかった。彼はその場を離れると道具を持って戻って来た。無言で靴を指し、余った部分を切ってエドウーの足に合うようにしようと、考えたらしい。どうしてもエドウーに売る為には靴先を切ってでもと言う商法だった。

私達は笑いを止められず大騒動をした店を出た。先のない靴を持っていない事は明白である。私はそこで“中国式商法”なる言葉の新たな意味を確認したものだ。

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