ジーコの部屋

Nao sai, nao!  前に出るなよ!

このコーナーでも何度かキーパーの話をしました。FW選手のほとんどの人はキーパーが嫌いだとか、キーパーというのは嫌われ役だとか、キーパーの周りは芝も生えないなどと冗談を言ってます。私はいつも逆に冗談でゴールキーパーは大好きで、彼等をかわしてゴールをする楽しさがある、などと言っていた。実際には私はたくさんのキーパー友達がいました。

ある時、相手チームのキーパーを手助けしようとした事もある!どうやって?それは2001年に"子供達の希望"というプロジェクトの慈善試合をマラカナンで行った時のこと。F1レーサーのミハエル・シューマッハやロナウドも参加していた。私はこうしたチャリテイーゲームには状況が許す限り参加することにしていた。それは私がサッカーで得たものから何か還元できる事ではないかと考えているからです。

さて、私達のチームにはジャイルジーニョ、ロナウドにシューマッハがいた。シューマッハは車の上ならではの速力は不足なかったと思う。試合結果に関しては大して意味は無かったけど、この試合ではロナウドが医学的には回復していることがわかり、それ以上にゲームを盛り上げてくれた。私は2得点したが、2点目は特に印象に残るものだった。 

相手チームには、ジュニオールの友人キーパーのパウロ・セルジオがいた。1点目は私が前方に走り、パスを受けるとフリーな状態でパウロの頭上を越えるループシュートを決めた。その直後、私達のチームが再度攻撃し、私はまた走らされた。信じられないかもしれないが、あの時いろんな事を考える余裕があった。一つは友人キーパーにこれ以上酷な目に合わせないようにしてやりたいことだった。 

「パウロ、そこに居ろ、前に出るなよ!僕の言ってる事を聞け!君はまた頭上からゴールされるぞ!」と、私はパウロ・セルジオに大声で言った。 

あの時パウロが私の言葉を聞いてそれが欺くための言葉と受け止めたかどうかは判らないが、逆の事が起きてしまった。彼は私の方向へ何かから逃れるような勢いで向かって来た。私に他の選択をさせなかった。しょうがない、またループシュートするしかなかった。ボールは彼の上を越えてやんわりとネットの中に転がり、またしてもパウロ・セルジオは被害者になってしまった。

試合の後、彼にやろうとしていることを予告したのに言った。
「なんだよ、君に前に出るなって言ってやったのに。君が二度も恥をかかないようにと思ったのになあ。君がゴール前にいれば僕は両サイドのどちらかに入れた。1対1だったらそんなに凄いゴールにならないけど、君は言う事を聞かなかったからね、同じことが起きてしまったよ」

パウロは笑っていたが、私にはキーパーが嫌いという事がウソだという良い証明になった。




2004.10.27

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