ジーコの部屋

Jogada ensaiada, lance combinado セット・プレーとコンビ・プレー

サッカーやその他のスポーツでの練習が、それぞれの目標達成のために重要であることは言うまでもない。そしてその練習は、フリーキックにしても、コーナーキックにしても、それ以外の局面においても、敵が予想し得ないことを実行出来るよう新たな方法を試すことを考えながら練習しなければいけない。練習した事を仲間が約束した通りやらなければ、良い結果は出ない。しかし上手く行った時にはお祭りだ。 

この上手く行ったコンビネーション・プレーではいくつか思い出すことがある。本当に練習していたのか・・・、もしかすると、選手の欲望が引き起こしたのではないかと思わせるほどのプレーのことだ。時にはたまたまという時もある。あのワールドカップでロナウジーニョ・ガウーショがイングランドのゴールに入れたシーンなんて、彼はシュートしたかったのか?それともクロスするはずが入ってしまったのか?後にテレビで見た感じでは、彼は直接ゴールしたかったようだ。・・・だが、多くはいつも疑問を残すものだ。  

外から見ていると、フィールドで起きているいくつかの事は事前に決められているか、練習によってもたらされているという感じを受ける。しかし実際には、動きの中において何分の1秒の決断により起こっているのである。チームが練習している中でのコンビネーション・プレーは正にこういう局面の時に生きてくるのだ。我々は仲間を知り、仲間の視線の動きに素早く反応し行動をするのだ。 

1979年のマラカナン・スタジアムにてサンベント相手の時に、私が体験した興味あるコンビネーション・プレーを紹介しよう。あれは12月2日だった。試合は3-0で勝っていて私はすでにセット・プレーで得点していた。あの時のフラメンゴには仲間にヘイナウド・ゲウジーネ、(現在はブラジリアのCFZ監督)がいた。彼は私同様によくフリーキックを蹴っていた。

ゴールまでの距離がある時は彼が蹴っていたのだが、もう3-0で勝っていたので、彼は私に蹴るように言った。サポーターも私の名前を叫んでいたが、私はボールから離れて彼に譲った。その時、私は彼に冗談混じりに変わったセット・プレーを提案した。

「ヘイナウド、キーパーの正面に強烈なシュートをぶっ放せよ。僕は弾かれたボールを決めてやるから。」と説明した。 

ヘイナウドはその気になり、爆弾のようなシュートを放った。私が思い描いていた通りの事が起きた。キーパーはヘイナウドのシュートを弾いてしまい、そのボールは私の頭に向かって飛んで来たのだった。あとは、ゴールに押し込んで仲間に向かって走った。事前にヘイナウドと話し合った事を皆に説明するのが大変なぐらいに見事なゴールだった。 

ヘイナウドと言えば、彼は変わった経歴の持ち主だ。フラメンゴでは 2年プレーしたことがあって、庶民的で話をするのが好きで、いつも一流のユーモアを振りまいていた。ウイングでは光っていた大物だった。

いつだったか、彼がアメリカにいる時、監督が試合前のミーテイングを始めて、ボードに矢印を幾つも書き込んで戦術の指示をしていた。彼曰く、“何しろ複雑で数学の数値が山のようになっているように見えた”とか。監督が言うことを誰も判らないでいたらしい。そこでからかうのが好きなヘイナウドはひとこと言わせてもらうことにした。 

「監督、恐縮ですが。僕は頭が熱くならないように数字や矢印などの勉強をしませんでした。すみませんがその矢印を取って貰えないですか、何も分からないので。」  

皆は笑いたいのを我慢していたが、監督はそれを機嫌良く受けてくれた。ヘイナウドはいつもそういう奴である。

 

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