ジーコの部屋

Historias do lendario Merica あの伝説メリッカストーリー

ある日の出来事、フラメンゴのトレーニンググランドのカヴェアでの練習の後、ロッカールームに引き上げてきたジュニオールと私と何人かのチームメイトは、すでにシャワーを浴びて極端に派手な、それはまるで空の虹の様なカラフルなシャツに身を包み、自慢の口髭は顔の半分をも埋め尽くすかの大きさで颯爽と帰宅する、あのメリッカに出くわした。それはメリッカがバイチの田舎町アラゴイーニャから、リオのフラメンゴでプレーする為に出てきたばかりの時の話。その姿形を見た我々は瞬時にアイデアが浮かび、サウナにわざわざ彼を呼んでちょっと話しがあるからとドアを閉めさせた。

“リオはどうだい?”“気にいってる?”とか調子の良い事を次から次へとメリッカに質問した。こっちはできるだけ長く会話を引きのばす作戦である。当のメリッカは調子良く話をしているが、だんだん汗が出て来てそのうち汗で自慢のシャツも湿ってくる。そのうち両手でシャツをパタパタやりだし一言

“どうでもいいけどこの部屋暑過ぎない?”だって。彼はサウナを知らなかったんだ。超真面目な奴だけに死ぬほど笑ったよ。

またまたメリッカ第2段。70年代の後半の時期だったと思うけど、メリッカはもう既にチームになじんで良くなって来た頃。マラカナンでたしか対アメリカ戦だったと思う。ゲームがありミドルシュートを強烈に叩き込んで、特にこのゴールはフラメンゴに移籍後、初ゴールだったからファンに向かって走っていって“ゴール”の雄叫びをはでにかました訳。

その時に彼の入れ歯が口から飛び出してしまって、焦ったメリッカはそのまま空中でとんでもないジャンプをし、なんと入れ歯が地面に落ちる前に何とキャッチした。それから口の中に入れるのが早い事早い事。我々もゴールを祝福する為に奴の上に乗っかって大ハシャギなところに一言

“もうちょっとで大事な息子をなくすところだったぜ”だって?なんのこっちゃ?

この2つのエピソードの後はチームでのメリッカの人気は高まる一方。しかし彼には厄介な悪い癖があった。それは新聞を読んでいる人をみると、空手の真似かなんかのつもりだろうが、いきなりその新聞を真ん中からチョップを入れて新聞を台無しにしてしまうんだ。

これに頭にきたジョニオールが、ある日知らん顔で新聞を読んでいるふりをしてメリッカをおびき寄せた。メリッカはいきなりチョップをいつもの勢いで新聞にむけてバッサリ。その瞬間“ギャー”とわめき転げまわった。ジュニオールは新聞の下に分厚い板を入れていたんだ。これにはメリッカも怒って大ケンカになった。結局、彼は手に包帯をグルグルまきでゲームに出てたけど。

時は過ぎてカーニバルの時期。兄貴のエドゥー、ジュジオル、ゼ・ロベルト〔フルミネンセから移ってきた選手で、これがまたしょうもない程のいたずら好きだった〕そして私とでそのカーニバルのヒット曲を替え歌でメリッカバージョンとして作りマラカナンのバスの中でチームメイト達にお披露目した。

メリッカはバスの前の方に座っていて俺達は後の方にいてそれぞれがサンバの楽器を手に

“どけどけこの悪魔野郎”

“お前なんか見たくねえ”

“おまけにデンデ〔これはメリッカの出身地バイアの地方色たっぷりの郷土料理〕なんか手に持ちやがってよ~”

これにはメリッカ大先生も怒爆発。

ラミレスのギターの弦をぶっちぎろうととびかかった。このラミレスもウルグアイで気の短い奴だったのでもうバスは大騒ぎ。これにはまいったね。やっとの事で仲裁した程だった。でもしばらくしてさすがにメリッカも悪いと思ったのかニコニコしながら〔超真面目な奴だからめったにニコニコなんかしないくせに〕俺達に今日メリッカソングは歌わないの?だって。調子良過ぎるよまったく。でも本当に楽しい時期だったな。

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