ジーコの部屋

Diferencas culturais 文化の違い

“ほら、ほら、ほら・・・インディオ(原住民)が笛(ホイッスル)を欲しがっているぞ、早く渡さなかったら怒り狂うぞ・・・”。アロウド・ローボとミルトン・デ・オリヴェイラが1961年に創ったミニ行進曲の一節である。それは、私がまだ8歳の時のことだった。起源はよく覚えていないが、なんでもあの当時の笑い話に関係していたようだ。ただ時間が経つに連れて、これが一般大衆に対して原住民達がインディオ(原住民)文化を伝達するために用いられるようになった。笛は一つの権力のシンボル、指揮系統であり、階級の表現でもある。

だが、君は疑問に思うだろう、それとサッカーとどう関係があるのか?と。そうなんだ、表面的には何も無い。レフェリーが使うホイッスル (笛)以外にはね。それがあの61年の行進曲と私が初めて日本で監督業をした時を結びつける話なのだ。そう・・・それより本当は文化の違いと言うものが主な関連性を持たせているのだけどね、今までにこのコーナーでも幾つか例を紹介して来たけど、もうひとつ・・・

グラウンドで紅白ゲームの準備をしていた。ブラジルでは、通常の場合、練習ゲームではアシスタント・コーチかまたはそのアシスタントがレフェリーをこなす。監督は大体チームを見ていることが多い。指示を入れたりポジショニングをチェックしたりするのだ。何故かと言うと、練習ゲームでもサッカー選手同士の激しい接触も多い。誰もが練習試合とは言え、ポジション確保のためにも必死である。

日本では、このへんの進め方が違うことを全然知らなかった。私はグラウンドでチームをトレーニングさせていて、ホイッスルは一人のアシスタントの口に在った。その内に副会長が出てきて、なにやらホイッスルのことを喋りだした。ホイッスル・・・が、何処で誰が持っているのか、などなど・・・。私は何が起こっているのか解らなかった。ただ、副会長は私が仕事をしていないと思っているのかな?と思った。 

本当は、副会長は別に私に悪気があって無視していた訳ではなく、単純な意味でのホイッスル(笛)の使い手について疑問を持っていたのだ。ある種族(インディオ部族)同様、日本人達にしてみれば酋長は笛を持っている者だと言う解釈なのだ。即ち、あの場所での酋長は私では無く、私が任せたスタッフだった。

このいきさつも、コミュニケーションと文化の違いへの理解の仕方から生じたちょっとしたいざこざ(トラブル・混乱)の一つである。よく耳にする、ブラジル人たちが乾杯の時に「チンチン」と言ってヒンシュクを買う話と同じような感じだ。日本では男性の性器と同類語なのである。大体の人が初めて異文化に触れる時には、この様な意味の取り違えを犯すのものである。  

という事で、君たちもどこか知らない文化や国を訪問する時にはいつも彼らの習慣などを把握するように注意が必要だと思うよ。決して訪問先の文化などを裁いてはいけない。何故なら、彼らにしてみれば、君の方が異人だと思われているに違いないから。それに、種族(インディオ部族)の特徴はそれぞれ違う、そうじゃないか?

だからこそ、もし君が日本へ来ることが有ったら決して忘れてはいけない事は、何かを祝う時に「チンチン」と言わない事と何らかの指揮を採るときは必ずホイッスル(笛)を手にして行うこと・・・・・・。

>一覧へもどる