ジーコの部屋

Clima descontraido 平穏な雰囲気

選手権が終わる週になると周りのテンションがいつも高くなる。新聞を見て、ラジオやテレビの近くでちょっとの事でも耳を傾け、目を見張り、意見を述べ、論議を起こす。もう準決勝辺りでこの様な状況になり、総てが決勝への話で持ち切りになる。クラブや街角でも。これが決勝になればそれは皆の期待のお祭りである。 

いざ時間が迫って来ると、緊迫した空気も漂ってくるが、この時こそグループの団結というものが効力を発揮する。団結して目標に立ち向かうこと、それが別の空気をかもし出し、落ち着いてタイトルを勝ち取る道を歩むこと事が出来るのだ。それこそが1983年の事だった。あのブラジル選手権3連覇を取りに行ったフラメンゴのチームである。   

あの時の監督はカルロス・アウベルト・トーレスだった。個性的で面白い人物でいつも機嫌が良く、以前このコーナーでも話したように大変な迷信家でもあった。我々のチームはブラジル選手権で決勝に進んでいた。準決勝ではアトレーチコ・パラナエンセをマラカナンにおいて3対0で破り、その時私は2得点を取った。アウエーのクリチーバでは少しビックリした。パラナエンセが2対0にしたからだ。しかし我々の邪魔になるには力不足だった。 

五月の末、サントスを相手の偉大な試合に挑んで行った。空港へ向かうバスの中、始めの試合をアウエーのサンパウロで行う為の出発前、チームの雰囲気はそれまでにないほど最高だった。何が我々の話題だったかはよく覚えていない。だが、皆が笑い転げて居たのは覚えている、笑い過ぎで涙を流す者もいた。  

全く平穏なムードだった。からかったり、笑い話をしたり、選手全員が一緒だった。前の座席には役員達が座っていた。ふと、会話が中断し、一瞬静けさが漂った。もう皆笑うのに疲れている位だった。いきなりジュニオールがため息と共に静けさを破るように言葉を吐き出した; 

「まあね・・・・・俺達は給料安いけど楽しいからね!!」         

反応は直ぐに来た。会長、ダンシェー・デ・アブランテスが座っていた前部座席から怒りの表情で立ち上がるとストライカーのように一発かました。       

「給料が安いとは何事だ!!何だその給料が安いというのは??」 

会長は我々の驚いてうろたえる視線の前で吼えた。  
何秒かのシーンとした時間が流れた。ジュニオルが困惑しているのがはっきりと分かった。
その奇妙な場面にみんなが笑い出してしまい、会長自身もそれをきっかけに話の輪に加わり冗談話しに盛り上がった。              
あの出来事が気まずくならなかったのは、それだけチームの雰囲気が良かったからである。 
自由もあったが、それぞれに責任も与えられていた。一つの大きな家族のように築き上げた。
サンパウロでは強いサントスに2対1で負けはしたが、リオではマラカナンで逆に3対0で勝ち、優勝トロフィーをサポーターの前に掲げることが出来たのだ。

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