ジーコの部屋

Sono automatico 自動睡眠

睡眠は、基本的に選手だけではなく誰でも同じように大変重要な事である。良く寝る事、少なくとも8時間は一晩に眠ると、一日の仕事をするためのエネルギーを回復出来る。大事な試合や練習をするためにも同じ事である。私は今その事を心配する。私の場合、現在一番の大敵は時差である。ブラジルから日本へ、あるいは逆の場合も私の睡眠は時差に妨害され、普段のペースに戻すのは大変な戦いなのだ。

まだ選手をやっている頃、私は寝るのが好きだった。急用で無ければ起こさないでくれる事がその時の願いだった。仲間の中でも、睡眠については様々だった。熟睡出来る者もいれば、不眠症にかかっているような者もいた。だが、睡眠に関しては私達のマッサー、イザイアスに勝るものはいなかったようだ。

イザイアスがちょっと変わっていた。フラメンゴが国内遠征旅行をする度に、行った先々で彼は必ず何かを持って帰っていた。まあ、その辺までは普通であろう。一度はロライマで試合をした時は、試合で使っているボールを持ち帰った。試合終了間際にボールがサイドから外に飛び出し、彼は何食わぬ顔で、それを拾って用具の袋に入れてしまった。誰も見ていなかった。みんなで探し回ったが見つかる訳が無い、仕方なしにリザーブを使うはめになった 。

私が、このコラムに書く気になったのは、彼の凄い居眠り能力の話があるからだ。それはピッチやマッサージでの出来事ではない。正直、イザイアスのような人は見たことが無い。立ったまま寝るとかは聞いた事がある。シャワーを浴びながら居眠りをした人もいたほどだ。前日に酒を飲んだ訳でもない。だが、イザイアスのはかなり驚きだ。

イザイアスは、特殊なメカニズムが働いて暗い所を通ると自動的にスイッチが切れるらしい。バスの中では落ち着いているが、トンネルなどに入るといきなり気絶するように眠ってしまうのだ。リオの南と北を結ぶレボウサス・トンネルは、通過するのに4分ぐらいかかるが、イビキをかくのはイザイアスである。トンネルを抜けると、自動的に目を覚ましているのだ。不思議である。その自動的な「眠る、起きる」はどんな大事な試合の移動時でも、親善試合でも同様だった。  

誰もが彼の横に座って飽きる事は無かった。トンネルが前方に見えれば・・・自動的に居眠りをするのは解っていた。あるルートを通った時には、イザイアスは3回も「眠る、起きる」を繰り返した。本人はまったく意識していないのである!これが夜の時にはもうどうする事も出来ない。椅子にこびり付いていた。 

「イザイアス!起きろ!」-そんな彼を 私達はからかっていたのだ。

マッサー、イザイアス・・・偉大な変わり者。フラメンゴに現れる他の仲間達と同様に、このコラムで記念にしたい。私の人生で、一緒に痛みや喜びを分かち合った時間をも共用する一人の仲間

>一覧へもどる