ジーコの部屋

Medo de ganhar 勝つことへの恐怖

サッカーにおいては全く説明がつかないことがあるものだ。私がフラメンゴでプレーしている頃ある言葉を目にしたことがある。あの頃の役員だったマルコ・アウレーリオ・モレイラ・レイテがボードに貼り付けてあった紙には「負ける怖さがあるとそれは勝つ意欲を奪う」この言葉を私は未だに持ち続けている。私は日本代表をこのように指揮している。我々はリスクを担いで勝利を求めて戦いに行く。そして選手たちにどんな相手であろうと勝つ事は出来るのだと信じさせてきた。この事は生きて行く中でどんな事にも通用する真理である。多くの場合この信念でチームで動くとき、たとえ技術的にリミットがあるにしても、それを克服し大きな勝利を得ることも可能なのだ。

今週のコラムでは1983年にイタリアのウディネーゼでプレーした時の話を紹介しよう。この町の話も既にしたが、街の人々は寛大に私を受け入れてくれ、温かい心を持つ人々には感激したものだ。だが、地元のチームはタイトルを取りに行くにしては少し弱気だった。ウジーネはいつもランクの中間にいて選手権ではあまり脅威にならないようなチームだった。

そのチームの選手たちと初めて会った時、チームを何とか変えなければいけないと感じた。戦いに行かなければ!もちろんタイトルを取るために!この気持ちが私を刺激し、チームも強くなってイタリアの選手権に挑むことになった。初戦でレアル・マドリードに2―1で勝った。私はフリーキックで1得点し、気持ち良くロッカールームに戻った。あの時は皆が同じように嬉しさで一杯だろうと、思っていた。伝統的なチームを倒したのだ。

だが、あのレアルを倒した日に、一人の仲間のリアクションとその言葉に私は驚いた。彼の名前は伏せておくが、全く不幸であり今の時代では常識にも考えられない時間が通り過ぎたのだ。その仲間は洋服を着替えながら面白くないかのように頭を振りながらいた。他の者はふざけたり、笑ったりしている中で、彼は我慢できなくなり口を開いた。

「喜ぶことなど何もないと思うけどね。レアルマドリードを倒した以上、サポーターや報道関係はみんな僕らが全部に勝たなきゃいけないと思うよ。彼らはユベントスや他のどんなチームにも勝つのが普通だとね・・」

あの言葉は私の耳の中に暴走する馬車のごとく走り過ぎた。他の選手たちも同じような心理状態になるのではないかと怖かった。私は会話に加わりそんなことはない、仲間は二部チームから上がって来たばかり見たいな事を言うが、それは過ぎ去るものだと説得した。

「おい、おい、ちょっと待てよ!君は何を言っているんだい? 僕はここに沢山のタイトルを取りに来ているんだぜ。僕はチャンピオンになりたいんだ。我々はこのチームでどんな相手にも勝って行くんだ。そういう風に考えない者がいたらさっさと元のチームに帰って欲しいね。誰もがここで勝つために来ているのだからね!」

私は少し強い口調で言ったかもしれない。何故ならそのチームに何かショックを与えるのが大事だと感じたからだ。劣勢だというコンプレックスなどになる理由は一つも無い。「怖さ」それをあの仲間は引き入れようとしていた。その時フラメンゴでの言葉を思い出した。そして我々はあの試合以後、次の試合へと進んで行った。バスコに3―0で勝ち、あの大会のタイトルを制覇したのだ。

ユベントスがあのシーズンのチャンピオンになったが、我々は最後まで戦った。ホームではチャンピオンと引分け、アウェー戦では3―2で敗れたが対等に戦った。そして我々は常に信じることの教訓が残る。どこの世界でも言われる「不可能は無い!」

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