ジーコの部屋

007 - A bicicleta do Paulinho パウリーニョの自転車

自分と今はもう故人の大親友でもあり名プレーヤーだったジェラウド(喉の手術の際に亡くなった)はチームの仲間相手によく悪ふざけをしたものだ。70年代の中期頃だったと思うけどチームがバイーアに遠征した時の話は傑作だった。犠牲者はパウリーニョ・カリオカ。彼について知らない人も多いけど、本名はパウロ・ロベルト・ロドリゲス・デ・アモリン、右ウイングでフラメンゴでは'73~'76まで一緒にプレーした。遠征先ではいつものノリでものまね上手なジェラルドがパウリーニョの部屋にTELしていかにも地元のメディアのふりでいろいろしゃべった。内容は地元ラジオ局が持っているスポーツ番組でインタビューをしたいとか何とか。

何も知らない彼は、もうベラベラと自分の事をしゃべり出した。約40分位パウリーニョがしゃべりまくってるのを笑いを押し殺して聞いてるのはもう大変だった。ジェラルドも笑いをこらえて必死でマジな雰囲気を出そうと頑張ってたけど、ときどき受話器を置いて部屋のすみっこで笑い転げてた。パウリーニョときたらBGMを要求したり、ファンをスタジオに集めろとか調子に乗ってガンガンきたけど、こっちも出来るだけ答えてやったよ。

でも冗談はそれにどどまらず、又さらにパウリーニョが自転車をもらえる事にして13時にホテルの玄関でということにしたんだ。インタビューの御礼としてトラックが行きますぐらいの話しでね。もう彼はわくわくもので・・・。

調度、自分の部屋の窓が正面玄関に面してたから好都合で様子が丸見えだった。当時の仲間ロドリゲス・ネト、リミーニャ、アリウソン等がおもしろがって見物してた。そんな時、ジェラウドが下へ降りていってパウリーニョ(もう正装してる)に声をかけた。“ちゃんとした服着てどっかいくの?”なんて白々しい事をマジ顔で聞いた。

“局から自転車もらうんだ。1時間位インタビューに答えたから”とウキウキで言った。そしたらジェラウドが“俺もだよ”なんて言ったものだからパウリーニョも“何で?”くらいの顔になった。“とにかくもっと前に出てないと仲間にからかわれるぞ”とかなんとか言いながら彼の腕を引っ張ったんだ。それでジェラウドの合図で上からバケツの水が彼めがけて・・・・。自転車は手に入らなかったけど、それ以上に心に残る出来事だった!もうパウリーニョも思わず大笑い。それからは彼は常に気を抜かなかった。

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