日伯友好カップ

小笠原満男さん、友好カップを振り返って

[2019.09.07]

大会関係者、チーム関係者、対戦相手の監督など、今年の日本ブラジル友好カップに関わった重要人物に、お話を伺いました。

まずは、今年、アントラーズの下部組織、鹿島、ノルテ、つくばに同行し、指導や視察に奔走した、元鹿島、元日本代表選手の、小笠原満男さんのインタビューをご紹介します。

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Q:小笠原さんはプロとして、ブラジルのクラブチームやブラジル代表などと対戦したことはあると思うんですが、今回U−15のカテゴリーを見て、ブラジルの選手やチーム、サッカースタイルなど、何か発見や再確認はありましたか?

A:ちょうど自分も15歳の時に、U−15日本代表として、マラカナンスタジアムでU−15ブラジル代表と試合をしたので、それに重なって見えて…。

ただ、僕らの頃は、こんなにビッグクラブ、いろんなチームが集まった大会ではなかったので、今の15歳は、こんな良いチームと試合が出来て、すごくうらやましいですね。

ただやっぱり、日本もスコア的には接戦することが出来ましたけど、個々を見たら、だいぶ差があるな、という風に感じています。

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Q:その差はどういうところなんでしょう。

A:まず基本的に、ブラジルの選手は100%サッカーに向き合っているんですよね。局面、局面のところの、ゴールを奪うとか、ドリブルで仕掛ける辺りとか、ヘディングの競り合い、守備での強度っていうところで、100%でやって。

やっぱり、こういう選手がプロになっていくんだろうなっていう予感がする選手は、見受けられます。

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Q:プロレベルでは、ブラジルサッカーは変わってきたとか、多くの選手が早くにヨーロッパへ行ってしまうことの功罪など、いろいろ言われているんですが、この年代でのブラジルサッカーには、変化がありますか?

A:いろいろなチームがあって、本当にヨーロッパのように、システマチックにサッカーするチームもあれば、昔ながらの、やっぱり個々に特化したようなサッカーをするチームもあったり、体が大きくて、フィジカル的なサッカーをするチームもあったりで、面白いんですけど、やっぱり、個々の「止める」「蹴る」の技術であったり、そういう基礎的な部分は、昔と変わらないかなと思います。

ただ、魅せるプレーっていうのは、少し減ったかなっていう。そこで一番、観客が沸くんですけど、そういうプレーよりかは、パスでしっかり崩していくチームが増えてきたかな、という風には思います。

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Q:日本とブラジルの間には、まだ差があると言われた中で、その差を縮めるために、日本に帰ったらどういうことを指導に取り入れようという、アイデアはありますか?

A:やっぱり、ここで見てきたものを、いかに継続できるかですね。

あれぐらいの、ブラジルの本気の守備に対して、やれるようになるためには、日頃のトレーニングから、やっぱり本気でやり合う必要があると思います。

こういうせっかく良い大会に呼んでもらって、それを良い思い出にするんじゃなくて、このレベルを維持して、練習からできるようにやっていけば、少しずつ、近づいていくんじゃないかなと思いますけど。簡単なことではないですね。

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Q:指導者としての小笠原さんの今後のプランは?

A:やっぱり育成年代に携わっていることで言うと、ブラジルも、どんどんヨーロッパに選手が抜けていく中、次から次と、育成年代からトップに上がって来てるんですね。

アントラーズもそういう、トップチームからヨーロッパに行く選手が増えてきて、安部裕葵がバルセロナ行ったり、その他、最近だと4,5人かな、ヨーロッパに行く時代になってきてるんで、やっぱりそのトップチームから、ヨーロッパに抜かれた時に、育成から上げられるようにしたいなと。

この15歳もそうですけど、その下も含めて、どんどんトップチームに輩出できるようにしたいですね。

ブラジルからそのためのヒントがあると思うんで、今回勉強して、見てきたものを、アントラーズに還元できればな、というふうに思っています。

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★スペシャルコメント

Q:小笠原さんは東日本大震災の被災地の方々を、長期的・継続的にサポートされていますよね。
今回、小笠原さんが友好カップに来られているのを見て、逆に東日本大震災の被災地の方々から、小笠原さんの第2の人生への挑戦に、エールが届いています。
小笠原さんから、被災地の方々に向けて、メッセージがあれば…。

A:そういうのを見てくれているんですね。本当に世界が繋がってるなと、すごく思います。

ただ、この施設を見ていると、自分も震災以降、岩手県の大船渡市に、みんなで頑張ってグラウンドを完成させましたけど、これほどの規模ではないんです。

やっぱりこういう施設があって、こういう大会があって、選手が育っていくと思うんで、まだまだハード面を整えていく必要が、東北にはあるかなと思っています。

自分の活動としても、こういう大会を作ったりはしてるんですけど、これぐらいの強豪チームは集められてないんで、今、パッと思うこととしては、今度はブラジルのチームが被災地に来てくれて、大会なんか、していけるようになったら、面白くなりますよね。

せっかく交流を持てたんで、簡単ではないんですけどね、そういうふうになってきたら、お互いのためになるかなと思います。

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文=藤原清美、写真=Jorge Ventura / George Henrique





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