Jリーグ、連続ゴールも敗戦
[2011.08.28]
Jリーグ選抜の第2戦は、CFZで11時30分のキックオフ。この日も、入念にウォーミングアップをして、戦いに備えます。
今日の相手は、グレミオ・オサスコ。下部年代の育成に主眼を置いて、2007年に創立された、実力未知数だけに、不気味な相手です。
Jリーグ選抜は試合開始直後から勢いよく攻め込み、相手GKをひやっとさせる場面も。前半に1失点したものの、まずは1点差と、互角の戦いを印象付けます。
天気が回復すると共に、気温もあがり、消耗が響き始める後半。相手に2点を追加されましたが、そのまま終わるJリーグ選抜ではありません。第1戦に引き続き、この日も高山和真選手のゴールで、一矢を報いました。結果、1対3。歓喜と反省、収穫の多い対戦となりました。
GK:斎藤
DF:藤田(田中)、高山、吉原、山口
MF:佐藤(赤塚) / 井手口、大島
FW:高部、牛田(遠山)、奥川
★ヴァンペッタの感想
(元ブラジル代表2002年ワールドカップ優勝メンバー。現在、グレミオ・オサスコ下部組織コーディネーター)
僕らはブラジル人は、いつでも日本と関係が深い。それで今回は、ジーコが日本サッカーを代表するチームを招待している友好カップに、グレミオ・オサスコという新しいチームで参加しているんだ。ここにいるのは、まだ14歳、15歳の育成年代で、近い将来、偉大な選手になりえる少年達だ。そして、日本代表やブラジル代表になりえる少年達だよ。
今日は、Jリーグ選抜と対戦して、3対1で勝った。でも、日本サッカーはすごく成長した。近年はワールドカップにも連続出場している。ヨーロッパとブラジルをミックスしたサッカーをしているね。ただ、15歳の少年達には、まだ足りないことが多いよ。まだ、選手になるための育成が始まったところで、だからこそ、こういう大会に参加するのは良いことなんだ。人生には、いつでも活かすべきことがあるものだからね。
僕は現役を引退して、プレーするのは止めたけど、サッカーで生き続けている。今は、サンパウロにあるグレミオ・オサスコで、選手を育成しているんだ。ストップすることはできない。なぜなら、サッカーとは、いいものだからね。僕らはサッカーで生きてきたし、今も生きている。そして、これからもサッカーで生きていく。そういうふうに続けて、いろんなことを学んできた。それを今は、サッカーを始めたばかりの少年達に伝えているんだよ。
★松橋力蔵監督の総括
前回のフラメンゴ戦と同様、何か自信のないような、やり切れないような、プレーが多かったですね。少しずつ良くなってる部分もいっぱいあるんですけど、何かやっぱり、力を出し切れない部分があるのかな、という感じです。
この遠征に来ているのは、日本の中では、Jリーグの下部組織の中で選ばれた選手達。比較的優秀な選手達、ということは間違いないんですけど、自分が世界に出てきた時には、世界との差や、自分に足りないものに気づいて欲しい。自分が考えていたものが、ブラジルに来て、目からウロコじゃないですけど、「あれ、そうだったんだ」みたいなことに、何か気づいて欲しい。それはやっぱり、なぜ?って考えることだと思うんですね。生活の部分でも、サッカーの部分でも、次の自分のステップアップに活かせるような、いい経験をして欲しいですね。
僕もやはり、見て、感じたいです。例えば今、世界の中でも、スペインサッカーのことが、いろいろ言われてますよね。パスサッカーやポゼッションのサッカーなど、もちろん、それも1つだと思うんですけど、じゃあ一体、ブラジルでは、という。サッカー王国、サッカー大国の中で、どういうふうに、そういうものが扱われているんだろうだとか。それで今回、やっぱり、「個」の重要性を振り返る、ところを、きちんと見せてもらっています。やっぱり、1人1人のレベルを上げることの大切さ。ヨーロッパがダメだとか、南米がいいとか言うんじゃなく、いろんな意味で、次の選手のレベルを、どうやって上げていくのか、ということを、充分、見て、感じることができていると思います。
僕らの時代には、「個」だったり、柔軟性だったり、理屈じゃない部分がいっぱいあったんです。今の日本は、理屈。組織とか、形とか、そういうものばかりが意識されているような。もちろん、それも大切なことだと思うんですけど、そっちがすごく、前面に出ているような、感じがするんですね。ブラジルの選手は、パッとボールを持った時に、パスを考える、ドリブルを考える、というよりも、理屈じゃなく、ゴールに向かうプレーが常にできる。それがドリブルだったり、パスだったり、もしくは、それが出来ない時には、自分で打開していく。背中を向けていようが、何であろうが。形で言えば「こうなったら、こうしましょう」というのはあるかもしれないんだけど、僕らがパッと見た時に、「あれ?そうしないで、自分でやっちゃうんだ」っていう、そういう部分で勉強になりますね。
ともあれ、明日は絶対1勝はしたいですね。本当に頑張ります。
★奥川雅也選手の収穫
今日は、ドリブルで抜けた場面もあったんですが、パスミスが多かったんで、あまり良くなかったです。ブラジル人は体がすごく大きくて、小さいフェイントじゃ、あまり抜けない、というのがあります。でも、明日も自分の持ち味のドリブルで、相手を抜きたいと思っています。そして、体、フィジカルをもっと強くしていくべきだ、ということを学びました。
★井手口陽介選手の収穫
今日は、最初はパスとか繋げて、みんなとコミュニケーション取れていたけど、後半からは運動量が落ちてしまって、パスもらうところが少なくなりました。もっと運動量を増やして、パスをもらって、プレーしたかったです。ブラジル人は強くて、足が速くて、ドリブルがうまいから、そこに負けないように、頑張っていきたいです。そして、自分の持ち味を活かして、パス出してから動いて、シュートをどんどん打っていきたいし、ブラジル人のタフさ、負けない気持ちを学んでいきたいです。
★高山和真選手の収穫
ゴールの場面では、2番の(吉原)大のセンタリングに入ろうと思ったんですけど、入れなかったんで、こぼれを狙おうかな、と思ってたら、たまたまボールが来ました。それで、みんなに打てって言われたんで、気持ち良く、振り抜きました。でも、試合全体の出来としては、まだ30%ぐらいです。守備の面で3点、失点してしまったのは、僕達の反省点だと感じました。
ブラジル人は、思ったより、そんなに速くはないけど、強いってイメージがあるんで、フィジカルでは、自分より2枚ぐらい上手(ウワテ)だなと感じました。
この遠征では、自分の持ち味がロングボールの精度なんで、裏に出てもらったら、蹴って供給するっていうのをやりたいです。あと、外人との距離感、っていうのを、もうちょい、学んでいきたいなと思います。
文=藤原清美、写真=Jorge Ventura / George Henrique