日伯友好カップ

ブラジルに戻ってきた二人のコメント

[2010.09.02]

今回の大会に大会に参加したコーチに、かつてこのCFZでのキャンプに参加した二人のコーチがいます。その二人に話を聞いてみました。

中村幸聖コーチ(アントラーズ)インタビュー

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高校生の時と、アルビレックス新潟の時に、ブラジルに遠征したことがあります。
新潟の時はパラナで、高校生の時は、熊本県選抜としてここの宿舎に泊まり、「ジーコキャンプ」に参加して、フルミネンセ、ボタフォゴ、ヴァスコ、CFZと試合をしました。
高校生の時は、選手になりたいっていうのはもちろんあったんですが、それ以上に「ブラジル人選手に負けたくない」という気持ちをすごく持ってプレーしました。その時、ブラジル人のアジーリオっていうコーチがずっとついてくれて、1週間の中で、チームとして大きく成長しました。僕自身も、日本人がすごく舐められているのを腹立たしく思いながらプレーして、「やれる」と感じたのは、覚えていますね。

僕が高校で行った時も感じたんですけど、あの時と比べても、ブラジル人は間違いなく、今の方が体が大きいのかなと思います。
ただ、今の子たちと比べて、僕らの時は、根本的には負けるんだけど、個人としては絶対に負けないっていう気持ちがあったり、そういうのを実際プレーの中で出したりとか、そういうことが出来たのかなっていう気がします。
今回も、局面局面ではそういうのがあるんですけど、ただ、それで相手に対して優位に立つところまでは、チームとしては行けない、それだけもう、ブラジルのチームが洗練されてるっていう印象があります。

僕は日本で小学生を教えてるんですけど、去年、その小学生を連れてオランダに行きました。インテルやチェルシー、アヤックスなど、ヨーロッパの名門と試合をやった時には、同じような、大きくて強い選手に対して、どうしたらいいのかなというのを考えました。
今回、ブラジルで感じたのは、ただ「このチームがうまい」っていうんじゃなくて、名前が日本に知られていないようなクラブにも、レベルの高い選手がいっぱいいて、そういう競争が激しい中でもまれてきた選手達が、カンペオナット・ブラジレイロに出るような選手になるんだろうなと感じました。
どうやったら、そういう選手に立ち向かえる環境を、日本の中で作っていけるかっていうのが課題ですね。どっちかっていうと、練習方法もあると思うんですけど、そういう、本当に子供達が限界を超えていけるような環境作りしたいです。
今回の日本のチームもそうなんですけど、ブラジルのチーム対して、小回りが利いてかわせたりとか、スピード活かしてプレーしたりとか、そういう日本の特徴をうまく発揮できるためには、どういう練習をしたらいいのかなっていうのを考えているところです。

工藤尚人コーチ(ノルテ)インタビュー

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第1回の日伯友好カップに、選手として参加したんですけど、実際には1カ月ぐらい前に手首を骨折して、試合には出れなくて、ずっとリハビリをしていたので、基本的には、ビデオ撮影が主な仕事でした。

当時と今と、ブラジル人選手も大きくは違わないと思うんですけど、その時も、やっぱりパスを簡単に繋がせてくれなかったり、本当に最後のところで、1本通ればチャンスなのにっていうところで足が出てきたり、そういった部分は、今も昔も変わらないと思います。

ブラジルと日本では、環境も真逆だし、文化も全然違う中で、やっぱり、ブラジル人が当たり前だと思っていることと、日本人が当たり前だと思っていることの差を感じました。
例えば、ブラジル人はすごく我が強いって言うか、自分っていうものをすごく強く持っています。そして、ピッチの中で自分達で話し合って、解決する力があります。自分達で解決しようし、それに対してベンチが支援したり、アドバイスしたりっていう形なんですね。
日本の場合は、逆にアドバイスを待ってから、自分達で行動を起こす。そうすると、目的がいまいち、はっきりしない。
ブラジル人は自分達で話し合っているので、目的がすごく明確で、シンプルで、決して難しいことをやってるわけじゃないんですけども、サッカーっていう競技を、すごく理解していると感じました。

やっぱり人間は環境によって育てられるものだと思うので、僕ら指導者も、子供達に与える環境を考えていかなきゃいけないと思います。国内だけの活動では、やっぱり限界があるので、もっと積極的に、海外から学ぶこともしていかないといけない。その中で、日本人の良さっていうのも追求していかないといけない。
ただ、その良さだけを考え過ぎて、サッカーという競技の目的を見失ってしまうのが一番良くない。例えば、ボールを保持するのは、試合の主導権を握るためにやっているはずなのに、ただなんとなくボールを持っている、というふうになってしまうことです。

ブラジルとの差を縮めるヒント。それが分かっていれば、もう実践していると思うんですけど、なかなか、それを見つけられないのが現状です。多分、ブラジルはサッカー王国だから、日本に限らず、世界各国のどこの指導者も、ブラジルを倒すために、いろいろなアイデアを練っていると思います。
短い期間では、どうにも埋められないものだし、文化的なものも全然違うんで、今できることをコツコツやって、長い年月をかけて、差を埋めていくしかないのかなと思います。

<文=藤原清美・写真=Jorge Ventura / George Henrique>




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