日伯友好カップレポート・市川トレセン、執念の引き分け
[2009.08.20]
今日は、薄雲の引いた、少し涼しそうな明け方だったにも関わらず、市川トレセンの第3戦バングー戦が始まる9時30分には、すっかりピーカン!
今日の市川は、朝、勝沼了介選手が体調を崩したため、ホテルで休養。代わってCFZからの助っ人ニュートン選手が、スタメンに入りました。そのため、この試合では本来とは違うポジションに入った選手もいるなど、新たなチャレンジと共に、キックオフ!
しかし、さすがに遠征と連戦の疲れが出ているのか、この試合の市川、大会でも初めて、序盤から押され気味で、やがて守りに追われる展開となります。ベンチの立岡監督、デラシーコーチから「もっと上げないと!」「前の方で勝負しろ!」と声がかかる中、前半18分、逆に先制点を奪われてしまいました。それでも、選手同士で「まだ始まったばかりだぞ!」と声を掛け合い、歯を食いしばる市川。そこからようやく、攻め込む場面が増えてきました。
木蔭で水を飲み、気持ちも新たに挑んだ後半。ところが、立ち上がりの後半2分、バングーに意表を突かれ、0対2とビハインドを開けられます。
しかし、それが市川逆襲の合図となったのです。キャプテン早矢仕選手の「まだ終わってないぞ!」の声。市川DF陣は前方の選手達に「お前ら、どんどん前へ行けよ!後ろはまかせろ!」と、頼もしいゲキ。そして後半7分、高木選手から、快心のビューティフルゴールが生まれました!
その後も、攻める市川。疲労の募る時間帯、バングーが交代枠を次々に使い、リフレッシュしていくのに対し、市川はスタメンがそのまま奮闘し、攻められても決定的なピンチには至りません。シュートを打たれても、GK菅野選手が、好セーブの連発でゴールを守ります。
そして、後半30分。市川の攻撃が、バングーのオウンゴールを誘いました。結局、これで持ち込んだ2対2をキープし、市川、執念の引き分け。遠征の最終戦は、最後まであきらめない、市川サッカーを印象付ける形となりました。
この日のもう1試合、センダス対チグリス・ド・ブラジルは0対0の引き分け。最終的に、1勝1分1敗の市川は、Aグループ2位で大会を終えました。おめでとう!
《市川トレセンの試合結果》
市川トレセン 2-2 バングー
GK 菅野
DF 上山、早矢仕、宍戸、山澤
MF ニュートン、奥野、高木、三浦
FW 渡邉、川崎
市川の得点:高木颯斗、バングーオウンゴール
《Aグループ順位》
1位 センダス
2位 市川トレセン
3位 チグリス・ド・ブラジル
4位 バングー
「良く頑張って、0対2から引き分けまで持ち込んだと思います。最終日で疲れもあったのかな。本来のパフォーマンスが発揮できなかったところは、ちょっと残念ですが、いい経験になったと思います。
指導者としては、今回特に選手に対するメンタル面でのサポートとコントロールの大事さを感じました。そして、選手達にとっては、日本で練習しているサッカーを、もう1度見直すチャンスになったと思います。ブラジルでは難しいトレーニングをやってるわけじゃなく、基本的なことを繰り返し、繰り返し行なってる、基本が一番大事なんだということを、デラシーにも何度も言われていました。
子供達は、試合が終わった瞬間、「悔しい」表情をしていました。そういう気持ちを持ってもらえるようになったことが良かったかなと。彼らがこれから先、頑張っていくことを期待していますので、今後も応援よろしくお願いします。」
「ブラジルの選手には、日本人にはないフィジカルがあって、それでいて足元がうまくて、いい選手が多い。今日は点を入れられたシーンもあったんで、今後の試合では、もっと集中して臨みたいです。
今回の遠征では、GKとDFラインの間のロングボールで、自分の飛び出しの判断が甘かったことに気づきました。それを今日の試合で直すことができたと思います。」
「ニュートンが素晴らしいボールをサイドに上げてくれたので、それを決めるだけだと思いました。ゴールをしっかり決めれば、流れが変わると思ったので、本当に良かったです。
ブラジルの選手はファーストタッチやパスミスが少ないので、それが日本人との差だと思います。僕も、球際の強さとか、あきらめない精神を、ここで学びました。日本に帰ったら、U-15の大会があるので、全国目指して頑張ります。」
「日本人のチームでプレーするのは、すごく違った経験でした。普段はブラジル人だけで、プレーしているけど、彼らが日本からやってきた時は、彼らは僕らから少し学び、僕らも彼らから少し学ぶ。すごく良い経験だと思います。
技術力は、ブラジル人の方がやっぱり高いと思う。でも、日本人は戦術面を始め、すべてにおいて、どんどん良くなっていく。その成長のスピードは、ブラジル人にとっても印象的です。」
試合後は、市川の修了式が行われました。大会運営のマルコンは満面の笑顔で「今年の市川の戦いぶりには、ジーコも必ずや、満足してくれることでしょう!」と、太鼓判。
大会中の市川を指導して、今年で10年目となるCFZのデラシーコーチは、「今年のチームは、笑い声のよく聞こえる、本当に明るいチームでした。そして、戦うスピリットを持っているチームでした。グループ優勝こそ逃したけれど、自分にとって10年目の節目を迎えたこの大会で、こんなに素晴らしいチームと一緒に戦えたことを、誇りに思います。」と、感動的な言葉を送ってくれました。
1人1人が修了証書を受け取り、最後まで元気に、CFZを後にした市川。お疲れ様でした!
<文=藤原清美・写真=Jorge Ventura / George Henrique>