言葉の違い
[2009.06.11]
私は日本・トルコ・ウズベキスタンで仕事をしてきたため、我々ブラジル人にとって耳慣れない言葉やフレーズ、複雑な名前などの発音にだいぶ慣れてきた。発音の違いは子音が多く固まってるか、あるいは母音との組み合わせが変わっている。しかし、その言葉そのものだったり面白い発音が、違う国の言語では別の意味となる場合がある。
私は、日本で乾杯の時に使う言葉について既にここで話した事がある。もしブラジル人がコップを持ち上げて乾杯する時に「tin-tin」を言うと日本人達は大爆笑。偶然ではなく、ブラジル人達が乾杯の際にコップを近づく時に言う「tin-tin」は日本では別の意味を持っている。
私がトルコにいた間は、このようなジョークの対象となっていたのはチームのゴールキーパーだった。彼の名前はVolkanであり普通の名前であった。Volkanは、ブラジルではJoão やJoséのようにトルコにおいては沢山いる名前だった。しかし問題は名字にあった。彼の名字をポルトガル語にすると面白くなる。Volkanの名字は「Babacan」であって、ポルトガル語の「babaca」(バカ)の発音に似ているので、多くの人にとってジョークのネタとなった。
言語がロシア語に似ているウズベキスタンでは、同国の首都の名前の発音がジョークとなっていた。私と話したすべての友達が冗談を言いたがった。
「ジーコが今住んでいる所はどこだったけ?都市の名前は?」
私が、「タシケント」と答えると、必ず次のようなコメントを聞かされていた。
「まあぁ…こっちもだよ、ガリーニョ。すごく“タシケント”!日陰で40度くらい。」
(「タシケント」の発音は、ポルトガル語では「タ・ケンチ」(暑いよ)に似ている)
実際には最悪なことに、タシケントでは痛むほど寒かった。
痛むと言えば、このような名前や発音についての違いで日本での面白い出来事を思い出してしまう。鹿島で我々チームに同行していた女性のフォトグラファーがいた。ある試合で私の蹴ったボールがピッチの外で写真を撮っていた彼女に当たってしまった。以降より親しくなり、彼女は私の写真を集めて素晴らしい写真集まで作成してくれた。
そんなある日、彼女に子供ができて既に名前が決まっているとの事だった。その名前について話していた時にポルトガル語にも通訳されていたので、そこにいたブラジル人達が笑っていた。その時に私がその場に着いたのでユミが話しに来た。
「ジーコさん意味がわかりません。ブラジル人は私の息子の名前を聞いてなぜ笑っているのでしょうか?」と聞かれた。
私は彼らが笑っているのをみて、これではユミが傷ついてしまうので彼らに落ち着くようにと頼んだ。彼らがどうして笑っていたのか私は理解しようとした。そして彼女の息子の名前を知りたかったので私は直接ユミに尋ねた。
「ジーコさん、もし男の子であればすごく素敵な名前です。“Shota”です。」
私は一瞬、彼女に知らせるべきかどうかについて考えてしまったがその場で知らせる事にした。“tin-tin”や“Babacan”のように同じ言葉でもそれぞれの国の言葉に置き換えると全く違う意味になる。
では、また!