ジーコの主張

欧州サッカーを救済するべきチャンピオン

[2008.07.09]

以前から本サイトにアクセスしてくれている人であれば、2004年の欧州選手権の覇者であるギリシアに、本コラムを捧げたこと覚えているかと思います。私はそのコラムで、伝統のないなかでも浮上中の国々に関した例を挙げており、ギリシアの戦略と戦術面での規律とフィジカル面に対して祝辞を述べました。でも、決して私を魅了させるサッカーで無いことも明確にしておいたかと思います。更に4年が経過して、ここで再び本コネクションのコラムで新たなユーロのチャンピオンであるスペインにスポットを当てます。そして、今週の本コラムの話題は2004年に取り上げたテーマよりも喜ばしく感じさせてくれる事実を告白しなければいけません。

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皆さんは私が回顧主義者でないことはご存知でしょう。しかしながら、今回チャンピオンに輝いたスペインは、パスの制度とつなぐサッカー及び攻撃力からなるタレント性を主な特長として、無敗で大会を終えている事実からも、今大会は最も安定したチームでありました。数多くの有能な選手達がピッチ上で活躍するにも関わらず疑問が問われた欧州サッカーのクオリティーに対する信頼性をスペインはある面回復してくれたと言えるでしょう。但し、前述したピッチ内に足を踏み入れる有能な選手達は多国籍プレイヤーでもあります。

Flores、Villa、Fábregas選手からなるスペイントリオは質と精度の高さを存分に披露してくれました。でも、決勝戦でXavi選手が重要な役割を果たして、更に決勝点をTorres選手が挙げたことで、試合が団体競技であることを証明してくれました。更には偉大なるゴールキーパーであるCasillasと、Puyol選手の経験を忘れてはいけません。本音を言わせてもらうならば、スペインは経験豊富なチームでありながらも若いチームなのです。今後更に数多くのタイトル奪取が可能な代表だと言えるでしょう。

私のフェネルバフチェでの後継者でもあるLuis Aragones監督にこの場を借りて祝辞を送ります。大会制覇後にこの様な使命を帯びてトルコへと向かうことは、これ以上に無い好機だと言えます。そして、Aragones監督はフェネルバフチェで素晴らしい成績を残すべき要素を兼ね備えていることだと確信しております。彼が幸運に恵まれることを心から願っています。

そしてトルコと言えば、Fatih監督率いるトルコ代表は、ロスタイムで得点を決めて混戦の末に進出を成し遂げる躍進振りで、若しかしたら今回のユーロで最も感動的な瞬間を演じた立役者かも知れません。でも、それだけではありませんでした。チームは好内容の展開を繰り広げて、ハイクオリティーな活躍ぶりをも披露したのですが、ベンチ要員の欠如へと至る数多くの問題を監督はドイツ戦で避けることが出来ていれば、若しかしたら決勝戦を闘っていたかも知れません。私がフェネルバフチェで日々を共にし、今回立派な活躍をした数人の選手達に、個人的に喜びを感じる次第です。

数多くのチームがカウンターアタックを基本とした試合運びを仕掛けたことで見応えのある試合を多く提供してくれた反面、幾多のチームは勇敢さに欠けるぎこちない展開だったことが観察出来ます。最終的な総括として、ワールドカップ予選の継続へ向けて期待を持たせてくれる、レベルの高い大会だったと言えるでしょう。既に2010年のワールドカップは目前へと迫っており、サッカー界は立ち止まりません。でも、スペインはこの価値あるタイトルに熱狂して祝杯挙げるべく、多少ながらの余韻に浸れることでしょう。そして、スペイン国民の皆さんパラベーンス!

それでは皆さん、ウン・グランデ・アブラーソ!

また来週お会いしましょう!

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