ジーコの主張

元選手がクラブの首脳陣へ

[2008.07.16]

ヴァスコ・ダ・ガマの会長を選ぶ選挙戦でのホベルト・ディナミッテの勝利を大いなる喜びと共に受けました。今までのライバル意識は別にして、我々は友人であります。彼の勝利は長きに渡る対戦から得たものであり、私自身も近年はその闘いを見届ける機会に遭遇しました。

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ホベルト・ディナミッテ氏レベルの英雄がビッグクラブのトップへ就任するのは大変重要な事実ではありますが、今回のバーハ・ダ・チジューカ・コネクションでは更に掘り下げてテーマに取り組みたいと思います。重要なのは、選手がトップへと上り詰めることであり、私はスポーツ界での重要なポストに選手達が就くべく準備が普遍的に出来ていると信じています。そして、実際にそうあるべきなのです。

私のコラムでも欧州を渡り歩いて幾度も遭遇する、元チームメイトや元ライバル達がスーパーバイザーや経営部門、又は訪れる先々でクラブの名前を普及するための外交員として、サッカークラブの運営に携わっている彼らとの再開を好ましく感じているコメントしたかと思います。

同時に、こちらブラジルでは如何様な人事が行われるには常に大いなる要求が存在しました。一部では私も同意します。何故ならば、ブラジルでは多くのクラブが社会福祉的要素を持つ団体であり、レガッタ、バスケットボール、水泳、バレーボール、フットサル、テニスなどあらゆる種目のスポーツも視野に納めなければならない必要があるからです。

そして、その反面で海外ではこの様なケースは極稀であり、殆どがサッカー主体のクラブなのです。この様な理由からも、ホベルト・ディナミッ氏が自らの立候補に対して、クラブ内のあらゆる所からの票を集めることが出来た事実により、彼の勝利に対する価値が大いに高まったと言えるのではないでしょうか。

ブラジル人元プレイヤー達が、クラブのみではなく、ブラジルの州や国を代表する連盟も含めて、今後とも重要な役職に就くべく準備を行うことを私は期待しております。例えば、UEFA(欧州サッカー連盟)に於いてミシェル・プラティニ会長の存在は大変重要な事実だと言えます。でも何にも増して、この資格はアスリート全般に対する特権であるべきだと考えているのです。

クラブで行われる競技種目の多様さ故に、この資格はサッカーの領域を超越します。幾つかの組織では既にこのような事実は成立しており、ブラジルオリンピック委員会の会長である元アスリートのCarlos Arthur Nuzmann氏を実例に挙げることが出来ます。

私は、元サッカー選手がクラブの会長に就任することは必要性として捉えるべきではなく、結果論だと信じているが故にこのような私見を述べています。クラブ運営には一連の重要職があり、サッカー部門にはしっかりと準備を整えた元プレイヤーが就くことが出来るのではないでしょうか。そして、他の種目の元アスリートでもクラブの会長として立派に役割を果たすことが出来るのです。

例えば、ボタフォゴは、現在は元アスリートで、元監督でもある、Bebeto de Freitas氏の手によって経営されています。そして彼が、近年クラブに変化をもたらした事に対しては否定は出来ません。

クラブ経営に関して論議する場合、奇跡的な打開策など存在しないのです。そして、クラブの行方を元選手に委ねることが唯一の解決策などと決して考えてはいけません。ケースバイケースを見極める必要性があり、クラブに於いての元プレイヤーの存在に関して、果たしてサッカー担当副会長や管理職、又は既に彼自身が選手として所属した経験がある現場寄りの役職に就くのが最適なのかを考慮しなければなりません。

そして、ホベルト・ディナミッテ氏がヴァスコ・ダ・ガマのイメージを覆すべくミッションに、私は幸運を祈りつつ本コラムを終了したく思います。私は何時もの通りフラメンゴの応援をし続けます。でも、万人は偉大なる敵に対して勝利を得た時に、大いなる喜びを感じるものだと思います。

ボーアソルテ、ボブ(ホベルト・ディナミッテ)!
それでは皆さん、また来週お会いしましょう!
ウン・グランデ・アブラーソ!

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