ジーコの部屋

宿題

[2008.04.07]

最近サイトを見返していて私の監督キャリアがスタートしてから早くも200試合に到達しようとしていることに気付いた。思い起こしてみると同じ様な経験を1975年にしている。というのは、この年にフラメンゴでの200試合を達成したのだった。

数字というのは興味深いが実際、私自身、正直言うと特別気にしたことはない。子供の頃は細かく入団当時から試合数、得点数等いろいろな出来事ををノートに記録していたにもかかわらず・・・・。

こんな事を冒頭に書いたのも今回のテーマと関係がある為だ。私がフェネルの指揮をとる様になってからチームに起きた幾つかの変化の中で特に著しいのはホームゲームの勝率が高くなったことだ。学業で例えれば“宿題(ホームワーク)”をきちっとこなすと言うか家でやる課題を確実にやると言うか。“宿題”で思い出すのは日本の鹿島時代のエピソードだ。

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当時の若手で「古賀(コガ)」という選手がいた。ものすごくいい奴で名門大学を出たばかりのインテリだった。 あの頃驚いたのは選手達が監督が言ったことを全てノートにメモっていたことだが、コガもまたその中の一人だった。まるで学校で先生の授業をノートにとる様に。

そんなある日、インターナショナル・スクールに通っていた私の息子達が数学の宿題を持って来た。かなり難しい内容で子供等は苦戦していた。私は仕事で手が離せない。なんとか良い方法はないものかと考えたあげく思いついたのが『そうだ、コガに頼もう!』

翌日早速頼んでみたらすんなり引き受けてくれた。お陰で息子達は数学の点数が最高だっただけでなく数学に興味を持った様だ。さてそのコガはと言うと怪我のミルトン・クルスの代役として試合に出始めそのままレギュラーとして定着してしまったのだ!
当時は冗談で「コガはジーコの息子の宿題を手伝ったからレギュラーにしてもらったんだ・・・』と囁く声も聞こえた程、偶然に二つの出来事の時期が重なった。

私が一時期鹿島の監督をやった際にもコガはチームの為にいい働きをしてくれた。たまたまエピソードとして“宿題(ホーム・ワーク)の大切さ”を取り上げたが、実際サッカーに於いてもホームでやるべき事をきちっとこなすことは非情に重要な事だ。フェネルの選手達にも常日頃よりそのことを言っている。ブラジルのサッカー用語がたまたまホームゲームのことを“宿題”と表現するので今回のテーマとして取り上げてみた。「コガ、元気でやっているかい!?頑張ってくれよ!」ちなみに彼は現在鹿島の下部組織のコーチ(ユース監督)として働いてくれている。

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