ジーコの部屋

何かが変だ

[2008.03.18]

今回はここトルコでブラジル代表のドゥンガ監督のインタビュー(過日サンパウロのモルンビー・スタジアムで行われた代表のW杯予選試合で散々ブーイングを浴びた事に対し不満をぶちまけていた)をテレビで見ていた時に思い出したちょっとほろ苦いエピソードをご紹介しよう。

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現役時代(フラメンゴ又は代表で)は何度も試合でスタジアムに詰め掛けた観客の怒りを買ったり罵声を浴びせられたりしたものだ。
例えば78年W杯の強化試合。ブラジル国内のパラナ州でやった時は移動用のバスに石をぶつけられたこともあった。この頃は、よく強化の一環で国内を廻ってその州選抜と練習試合をしたものだ。こんな時は大体、地元ファンは自分達の地元である州選抜側につき自分達代表に対しては強烈なブーイングを飛ばすのが普通だった。自国の代表チームに対してまるで敵扱いというのも妙な話しだが実際によくあったことだ。まずチームの調子がイマイチだったり彼等の期待通り点が入らなかったりするともうすぐブーイングを頂戴することになる。

でも今回の話しは大量得点で大勝ちした時でもヤジられたというエピソードだ。

78年のW杯の翌年、オランダのアヤックスとの試合があった。試合といっても親善試合だ。しかしながらスタジアムに詰め掛けた観客は決して単なる親善試合とは受けとめていない殺気立った雰囲気があった。特に私に対してのブーイングは厳しいものだった。何事もなく平穏無事に終わるなどとはとても期待出来る様な状況ではない。まずは自分達が先制。程なくして追加点を上げた。この時点でもファンのブーイングはおさまらない。まさに地元出身以外の代表選手への手厳しい扱い。その後スコアは3ー0となり楽勝ムードとなった。しかしファンは一向におさまらない。とにかくチームは必死にプレーを続け私自身も最初の一点目(チームの4点目)を決めた。少しは状況が良くなるかと期待したが何もかわらなかった。そして私がもう一点。・・・・まるで変化なし。

そんな中、チームメイトのゼノンが私に『ガーロ、ガーロ、ありゃ一体どーなってんだ!?』と大声で叫んだ。『何がだっ!?』と私はゲームに集中しながら言った。
『電光掲示板が3ー0のままだぜっ!』私はチラッと確認してから言った『全くここは掲示板までがよそ者の得点は認めないらしいな!』
人生、生きているといろいろな事がある。
今となっては笑い話だが当時は結構傷付いたものだ。

奇しくも今回のドゥンガの一件も同じモルンビー・スタジアム。

彼も私と同じ様にパウリスタ(サンパウロの出身)ではないのでヤジられたのだと思う。
私個人としてはリオ X サンパウロのライバル意識は一度も持ったことはない。

サンパウロでプレーするのは実際楽しかったし親しい友達もたくさんいる。得点も結構したし、良い思い出がいっぱある。まぁ今回の様な苦い思い出も幾つかはあるが・・。よそ者の得点は記録しない地元びいきの電光掲示板の話でした。

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