ジーコの部屋

熱狂のソンコンラード・スタヂアム

[2007.11.11]

数日前に当時のフラメンゴのチーム寮(ソンコンラード地区)でのエピソードを話してほしいとの依頼を受けた。長い間フラメンゴが寮として使用していたのだがその後閉鎖されていた。
それが近々改築されるらしい。あそこでの思い出は数多いが、何より多少窮屈なところがかえってチームの和を高めたのではないかと思う。

あの名物寮は以前からこのCANTINHO(ペウ、カスカン、フェルナンド・ソアレス・コーチ、ルイジーニョ等のエピソードの際)に何度も登場しているが今回は80年代の後半のエピソードを紹介しよう。

話に登場するアイルトンは現役引退後監督となり現在はCFZを指揮してもらっている。あの頃、寮での楽しみの一つがトトー(テーブルサッカー)という名のサッカーゲーム。二人でチームを組みプレーをするのだがそれこそ選手全員が参加してのお祭り騒ぎだった。私のパートナーは守備の名手アイルトン。攻めは私が担当だ。しかしながら当時圧倒的な強さで無敵を誇っていたのはベベット、ジーニョ組だった。そう、あの名選手だったベベットはゲームでも飛び抜けた技術を発揮した。
そこである日私とアイルトンは彼等の鼻をへし折る大作戦を計画したのだ。

名付けて“熱狂のソンコンラード・スタヂアム”大作戦。

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私達は彼等との決戦当日、寮内の全員に娯楽室に集まってもらい自分達に一方的な声援を送ってくれるように画策した。そう、心理作戦である。だれもがベベット、ジーニョ組が負ける姿を見たかったのだ。

そして遂に試合開始!

何と開始早々にベベットのゴール。そして追加点も楽々とられてしまった。有頂天のベベットとジーニョ。その時である。いよいよ大作戦が決行されたのは。

「おい、ちょっとゲームストップ!ジーコに電話だ!」一人が大真面目で叫んだ。全てが計画通りだ。ベベット組の勢いに水をさす。大ギャラリーは彼等を苛立たせるヤジを浴びせ続け、時間稼ぎの為にボールを隠したりで大騒ぎ。彼等にとっては完全にアウェーゲームである。娯楽室自体が狭い上に溢れんばかりの大観衆を全員敵にまわしているのだ。私達のゴールの時などは大変な騒ぎだ。

圧倒的に不利な環境の中で相手は必死で集中を保とうとしている。時間と共に試合の流れは次第に自分達に向きだしリードを保つ。

そして遂に大歓声の内にタイムアップ。

待ちに待ったあの無敵ベベット、ジーニョ組の敗戦だ。これこそ全員の勝利である。後にも先にもあの時程寮が沸いたのは見たことがない。歓喜のウ゛ィクトリーラン。偽シャンパンの嵐。
突然ベベットとジーニョが大声で「ジーコ、アイルトン、ちょっと待って下さい。別の場所での再試合を要求します。この環境はヒド過ぎます」と泣きを入れてきた。私は「冗談じゃない!そんなものCBFの命令でも受け入れないからなっ!」結局あの後は二度と彼等とは対戦しなかった。「けっ、無敵がなんだってんだっ!ざまぁみろ」今考えると彼等にはきつい冗談だったと思う。とにかくこんな楽しい雰囲気が当時のフラメンゴ寮にはあった。全員参加のお祭り騒ぎ。結局この結束力で1987年の全国選手権を征したのだ。

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